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《特集》カール・ホグセット氏を偲んで(1)「音楽樹」に届いた1通の手紙

Kariさんからの手紙

Tokyo Cantatの招聘講師として1997年から2016年まで13回の登場を数え、私たちに本当に多くの大切なことを教えてくださったノルウェーの合唱指揮者・声楽家であるカール・ホグセット氏が、2021年6月2日、79歳で旅立たれました。
それから1年が経とうとしていた2022年4月の末、彼の奥様であるカーリ・ホグセットさんから「音楽樹」に1通の手紙が届きました。

Dear conductors, singers and administrative staff of "The Music Tree"
Thank you so much for the beautiful flowers in red and white that  you sent to Carl's funeral.
Some time has passed since we arranged for Carl's funeral in the end of August of last year . I wanted the church to be filled with singing people, with Carl's choir Grex Vocalis, miusicians and soloists. I believe that Carl would have appreciated how we arranged the ceremony.
On September 28th we arranged for a memorial concert for Carl in Oslo.
Four of Carl's friends among the conductors in Oslo participated in the concert .
An important part of Carl's life was his connection to Japan, most of all his connection to you in "The Music Tree" In many ways you became his second family. It is always the people you meet that is important, and Carl felt that you were his friends, you the conductors, singers, and administrative staff of "The Music Tree".
I want to thank you all on behalf of Carl for the kindness and friendship you always met him with.
Many of you also became my friends. I have many good memories from these visit. 
A new part of my life has began. It is empty without Carl.
We shall all miss him .
Best regard from Kari.


Kari and Carl

《日本語訳》
指揮者のみなさま
合唱歌手のみなさま
音楽樹事務局スタッフのみなさま
 
カールの葬儀の折には、赤と白の美しいお花をいただき本当にありがとうございました。
昨年8月の終わりにしつらえたカールの葬儀から、幾月かの日々が過ぎました。私は彼の葬儀には、グレックス・ヴォカーリス、音楽家やソロ歌手のみなさん、“歌”に関わる全ての人々で教会をいっぱいにしたかったのです。私たちがこんな風に企画した彼の葬儀のことを、きっとカールも喜んでくれていると信じています。
9月28日には、カールのメモリアルコンサートをオスロで行いました。
多くの指揮者の中から、4人の指揮者にご出演いただきました。
カールの人生において、日本とのつながりというのは非常に重要な部分を占めていました、そしてそのつながりの大部分は音楽樹、みなさま方との絆でした。さまざまな意味においてもみなさんは彼の第二の家族であったと思います。音楽樹で出会うみなさますべてがとても大切な友人であり、指揮者のみなさん、合唱歌手のみなさん、そしてスタッフのみなさんに対して、カールはいつもずっと前から知り合っていた友のように感じていたと思います。
カールに代わって、これまで彼にいつも親愛と友情を育んで下さったこと、みなさまにお礼申し上げます。中には私自身も東京やオスロでお目にかかった方々もたくさんいらっしゃいます、そして私とも友人になってくださいました。日本を訪れた時のたくさんの良き思い出は私の心の中にあります。
新しい私の人生が始まりましたが、カールのいないそれは空っぽです。
寂しいものですね。
どうか皆様によろしくお伝えください
                        カーリ・ホグセット

ご葬儀の教会にて
音楽樹として献花をしました
メモリアルコンサート プログラム

Carl HØGSET カール・ホグセット
合唱指揮者、カウンター・テナー、バリトン歌手。
オスロ大学にて音楽学及び語学の学位を、ノルウェー国立音楽院にて声楽・合唱指揮の学位を取得。1971年にGrex Vocalisを創設。アレッツォ、ゴリツィア、トロサ、マークトーバードルフなど国内外のコンクールにて1位を受賞。1999年アレッツォ国際合唱コンクール・グランプリ受賞。
ノルウェー・ユース・クワイアの指揮者としてもアレッツォ、スピッタル、カントニグリスのコンクールにおいて1位を受賞。2002年アレッツォ国際合唱コンクール・グランプリ受賞。
1977年オスロにてカウンター・テナー歌手としてデビュー・パーセル、ヘンデル、グリーグ、ノールハイムの作品を集めたソロCDを1995年にリリース。ノルウェー国内外で合唱指揮・発声法を指導しており、ノルウェー国内はもとより、各国の国際合唱コンクールの審査員としてもたびたび招聘されている。その国内外の合唱界における業績に対して、ノルウェー国王より2007年『聖オラフ勲章』を授与された。
著書の「Singing Technique」は10か国語に翻訳されている。2016年、NHK「奇跡のレッスン」合唱編の《コーチ》として出演し好評を博した。
Tokyo Cantat への招聘は14回をかぞえる。('97、'98、'01、'04、'05、'06、'07、'08、'10、'12、'14、'15、'16、'21(オンライン審査))

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