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【ワンパブ・オープン社内報 vol.5】今年で創刊42年目。月刊『ムー』はこれまでもこれからも、“ひたむきに怪しく”!

第2メディアプロデュース部 『ムー』編集長 三上 丈晴

【ワンパブ・オープン社内報】は、ワン・パブリッシングで働く人を通して、会社が、雑誌が、いまどのような新しいことにチャレンジしているかをお伝えしていくメディアです。今回は、イベントやコラボ商品制作なども精力的におこなっている月刊『ムー』の編集長・三上丈晴さんを直撃取材! ムー民(月刊ムーの読者)はもちろん、芸能界にもファンが多い三上さんの素顔に迫るべく話を聞いてきました。(所属や肩書は取材当時のものです)

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【社員プロフィール】
三上 丈晴
1991年:学習研究社(学研)入社。
『歴史群像』編集部に配属後、約半年で『ムー』編集部に異動。以降、ずっと『ムー』編集部に在籍。2005年に5代目編集長就任。


創刊40周年記念イベントを機に、『ムー』というブランドが確立してきた

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―いまや『ムー』の顔としてさまざまなメディアに出演することも多く、タレントかと見まがうような大活躍ですね! 本業の編集業務に加えて、イベント出演やコラボ商品企画など、忙しい毎日ではないですか?

半分はYouTuberみたいなもんですよ(笑)。ただ、忙しいは忙しいよね。編集部にあと一人、欲しいかな……。オカルトに詳しくなくてもOKだから。これ、オープン社内報だよね、人が欲しいって書いておいて!

―わかりました(笑)。最近では、ピアスやポーチなどのファッション小物まで、じつに幅広いジャンルのコラボ商品が発売されていて驚きました。かつての『ムー』のイメージは「オカルト」でしたが、だんだんと「かわいい」というような、ファッションのアイコン的イメージも根付いてきたように感じます。いつ頃から現在のような月刊『ムー』のブランドが確立したとお考えですか?

2018年から2019年に開催した「創刊40周年記念イベント」が大きいかな。最初はTシャツとか服飾系のグッズからはじまって、靴下やポーチ、インテリア小物にガチャガチャの賞品まで……ひとつ商品ができると、似たジャンルの会社から話がくることが多くて、どんどん広がってきましたね。『ムー』のロゴって、三角形でキッチュな、デザイン的にも完成されてるから。使いやすいし、ひと目見れば誰でも『ムー』だってわかる。

雑誌の『ムー』から受けるイメージは、基本的に「怪しい」、ともすると「(怪しすぎて)ヤバい」でしょ。そこにいろんなコラボ商品が生まれることで、ちょっとネタとして楽しい、ポップなイメージにつながってきてるよね。

―現在の状況は、編集長が狙っていた展開ですか?

流れとしては、予想していた通りかな。2000年に入ったくらいから、「スピリチュアル」をテーマにした女性向けの番組や雑誌の特集が増えてきたでしょ。

本来、スピリチュアルは心霊主義と訳されていて、死んだ人を呼び寄せる……みたいな世界だったんだけど、それがもう少しポップオカルトになってきた。オーラやパワースポット、前世、占いに軸足を置いたような展開が増えてきたんです。そういう特集が受けだした流れに乗って、『ムー』のコラボ商品も受けだしたのかなと。

池袋あたりを歩いてると、『ムー』のポーチを持ってたり、ムーピアスをつけてたりする若い女の子を結構見ますね。そういう層が月刊『ムー』を読んでいるかというと、おそらく読んでないと思うけど。でも、「『ムー』って雑誌、聞いたことあるな」という認識はあって、そこにファッショナブルなコラボ商品を見つけて、広がっていく。

企業ブランドとか商品ブランドは、実際の媒体から独り歩きしていくものだから。『ムー』というブランドが確立されて、雑誌から飛び出した次の段階に来ていると思うよ。

雑誌作りで大切にしているのは、「怪しいテーマとの距離感」

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―『ムー』を読んでいて、特に印象的に思うのが読者ページです。小学生の女の子が書いたイラストもあれば、80代の男性からの投稿があったりと、かなり年齢層が幅広いですね。

もともとは、学研の『高2コース』の編集者がムーを創刊したんですよ。母体は学年誌なんだよね。夏休みの読み物ページで、ミステリーゾーンとか予言とかの特集をすると、ものすごく反響があったんです。そこで、最初は中高生向けで、『ムー』という雑誌を出すことになった。

ただ、最初は思うように売れなくて、一年後に判型を小さくして、内容も子ども対象ではなく大人向けにリニューアルしたと聞いてます。『ムー』ってある種のオタク雑誌でしょ? 何でもそうだけど、オタクやマニアは小学生だろうと専門書を読む。だから、あえて子ども向けにしなくてもいいだろうっていうことで、10ページから30ページくらいでちょっと難しいテーマの特集を組むようにしたら、それが幅広い世代に刺さったって感じだね。

気づけば創刊して42年目、当時の読者が今でも『ムー』を読んでくれていて、なかには親子2代、3代で愛読してくれている人もいる。

そんな経緯があって、創刊当初は子ども向けの作り……誌面にイラストをたくさん使ったり、読者ページにはお便り投稿とかイラスト募集とか、昔は文通コーナーなんかもあったりしたんだけど、その色が今も残ってるね。

―あえて、当時の色を残しているのですか?

基本的に保守的なんだよね。扱っている内容がぶっとんでるから、誌面のデザインや雑誌全体のイメージは保守的で堅い方がいい。

たとえば、「UFO出現!」って週刊誌的なノリで扱っちゃうと、センセーショナルな感じで終わっちゃう。そこを、信頼性を出すために、カチッとしたデザインと活字でキッチリ作ってる。週刊誌よりも百科事典のような写真の配置というかね。そこが、『ムー』のこだわりですね。

―ともすれば否定されそうなテーマを扱いつつ、読者からの信頼を得るために、意識していることはなんですか?

怪しいテーマとの絶妙な距離感。これに尽きる。テーマを作り手側が信じ込んで、ある意味読者に押し付ける形で特集を組むと、読んでいる側は引いちゃう。かといって茶化してしまうと、途端にしらけちゃう。そのあたりの距離感が非常に難しいんですよ。

人って、結論を押し付けられると反発したくなるでしょ。だから、どんなテーマでも最後に「これが結論です」って言い切るのは良くないよね。また同じようなテーマをやることもあるわけだし、まだまだ不可解なことがあるから、引き続き調査中です、っていう姿勢が大事。

これまで競合誌はたくさんあったけど、得てしてこの距離感を間違えちゃうんだよね。変に茶化したり、これはインチキでした、トリックでした! なんて言い切る構成じゃ、読者もしらけるよね。

あとは、物事には本音と建前があるとか、綺麗事だけじゃないとか、みんな知ってるでしょ。本当らしいことが偽装されていたり、反対に嘘くさいところの裏に真実があったりするじゃない? 見方の多用性というか。そういう点を大切にしてるかな。

「20世紀少年」の主人公・ケンヂのような幼少時代

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―ここからは、三上さんご自身のことについて教えてください。『ムー』的な世界に興味を持ち始めたのは、いつ頃からですか?

子どもの頃からだね。矢追純一さんのUFO番組を見ていた世代だから。学校に行けば、誰かが心霊写真集を持ってきてたり、ユリ・ゲラーのスプーン曲げの話をしたり……もちろん、『ムー』も読んでましたよ。まさに、漫画『20世紀少年』の主人公・ケンヂみたいな子ども時代を送ってたね。

―そして学研に入社、最初は『歴史群像』に配属になり、その後『ムー』に異動になって以来、今日までずっと『ムー』一筋なわけですが。5代目編集長として、日々意識されていることはありますか?

ひたむきに怪しく。作り手側の距離感を大切にしています。

―先程の「怪しいテーマとの距離感」につながりますね! ちなみに、街を歩いていて、声をかけられたりしますか?

しない(笑)! 普段はサングラスかけてないから。そういう意味では、メディアに露出するときはサングラスをかけて、ある種のアイコンというか、イメージを作るようにしてます。

―続いては、ワン・パブリッシングTwitterのフォロワーさんからの質問です。「編集部内で起こった、これまでで一番不可解でミステリーな事件を教えてください」とのことですが……。

いろいろあるけど……超能力者が来て、そこに立ち会うと、ものすごいことが起こるよね。たとえば、中国から来た女性超能力者が、目の前で1円玉に穴をあけたり。普通、モノに針なんかを刺すと、片側が凹んで反対側が出っ張るでしょ。でもそのときは、穴の両側が(出っ張って)あいてたんだよね……。

あとは、薬局で買ってきた瓶入りのサプリメントに超能力者が手をかざしたら、中身の錠剤だけがパラパラ落ちてきた。錠剤の数を数えると、ちゃんと中身と外に出てきたもので、合計数が合ってるっていう。

―それを目の前でやられたら驚きますね!

ガチのやつはスゴイよね。信じようが信じまいが人それぞれだけど、でも(超能力とか)本当にあるからね。

―ちなみに、三上さんご自身はUFOを目撃したことはありますか?

あります。

―さすがです……! 

夢は「世界征服」!? その真の意味とは

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―いろいろとお話は尽きませんが、最後に三上さんの今後の夢や野望を教えてください。

世界征服。

―世界征服ですか?

そう、世界制服。世界って、わかる? 世界の“世”は、どういう意味でしょう? これは十を3つ重ねた字で、30を表す。子どもを生む年齢を平均すると30歳と言われていて、つまり一世代30年なのね。世界っていうのは、30の界。

じゃあ、世界を「この世」なんて言い方もするけど、この世の“こ”ってなんだろう。これは、“己”なんだよね。おのれ、自己。「自己」と「命」と「人間」、この3つに関しては、じつは哲学的に答えが出ていない。どんなに優秀な大学の教授でも、この3つに対して答えを出してる人っていないの。でも、みんな「答えがない」ということは否定している。

世の中には、嘘もたくさんある。でも、疑ったり、考えたりすることを、学校では教わってこないんだよね。白と言われたものを白だとずっと思ってちゃダメで、自分の頭で考えないと。たとえば、自然と天然の違いはなんだろう? 天然温泉はあるけど、自然温泉はないよね。天然ボケはあるけど自然ボケはない。変じゃない?

英語にすると、どちらも「Nature」だけど、日本語にはもっと細かな違いがある。似たような言葉があったら、どう違うのか考える、つまり思考の訓練をしていくといいよ。「命日」ってあるでしょ。死んでるのに「命の日」。「亡命」は命を亡くすって書くのに、生きてるじゃない。命が亡くなっても、生きてる。「命」は「~のみこと」といった、神様の呼び名でも使うよね。

―これまで、まったく考えたことがありませんでした……。

自己とはなにか、命とはなにか、人間とはなにか。このことを、皆一度考えてみてもいいんじゃないかな。この3つがわかれば、この世がわかり、世界がわかる。つまり、世界征服。

というわけで、『ムー』はオカルト雑誌ではなく、哲学雑誌です。

―ここに書ききれないほど興味深いお話をたくさん聞けて、もっと普段から思考の訓練をしなくてはと痛感した取材でした。オカルト雑誌ではなく、哲学雑誌である月刊『ムー』の奥深さが伝わったでしょうか? 今後の『ムー』、そして三上さんの活躍に期待です! 三上さん、ありがとうございました!

月刊『ムー』
世界の謎と不思議に挑戦する スーパーミステリー・マガジン
毎月9日発売
【ホームページ】https://muplus.jp/

(取材:水谷映美/撮影:我妻慶一)

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