【ワンパブ・オープン社内報 vol.23】 ワン・パブリッシング3年目突入。取締役の同期コンビが目指すのは「いい感じ」の会社
取締役 松井謙介/取締役 正田省ニ
【ワンパブ・オープン社内報】は、ワン・パブリッシングで働く人を通して、会社・雑誌・メディアが、いまどのような新しいことにチャレンジしているかをお伝えしている連載です。今回取材したのは、取締役として会社を牽引する松井謙介さんと正田省ニさん。この7月で3年目に突入したワンパブが目指す姿からスタッフへの想い、そしてお互いに対する本音まで、たっぷりと聞いてきました。(所属や肩書は取材当時のものです)
【プロフィール】
3年目のワンパブが目指すのは「顧客ファースト」のパブリッシャー
―2022年7月1日で、ワン・パブリッシングは3年目に突入しました。いまの率直な感想を聞かせてください。
松井「本当に、あっという間! 特に2年目は一瞬でしたね。(ワン・パブリッシングになる前の)学研プラス時代は、8:2くらいの割合で出版が中心の事業形態でした。それをワンパブになって一年目で7:3、ニ年目で設立当初の目標である6:4に近いところまで、出版以外の法人向けソリューション事業が伸長できたことは、大きな意味があると思っています。
具体的には、コロナ禍にスタートしたオンライン配信事業を筆頭に、新しい事業領域へ積極的にチャレンジしてきました。都度勉強し、新しい学びを得ながら、クライアントの期待を超えるソリューションを提供して……三年目に突入することに感慨深くなる暇もないくらい、気づいたら今日だったって感じですね」
正田「大企業から小回りの利くコンパクトな体制に変わって、スピード感がビジネスのキーポイントになりました。たとえば、これまでは会議を重ね、数日かけて意思決定していたものを、現場判断でその場その場で決めていく。それができるのが、コンパクトになったワンパブの特権であり、クライアントからも求められていること。我々はともかく、現場のスタッフこそ、倍速のスピード感と、倍の案件数に関わってきています。その成果が数字にあらわれていて、本当に感謝しています」
―スピードを上げて、より多くの、そして新しい案件に着手して進めていくために、どのような点を意識してきたのでしょうか?
松井「これまでの企業、特に大きな会社って、トップに経営陣がいて、その下にサポート部門、従業員、一番下にお客様……という三角形の関係性(上記図の左側)がスタンダードでした。でも、これだけ世の中が大きく移ろいゆく中で、昨日の常識が今日通じないこともあるじゃないですか。そうなると、決定事項や方針がトップからお客さんに下りてくる頃には、もう世間のニーズが変わっていたりするんですよね。
一番上がお客様。その下に従業員がいて、経営陣は一番下でいいんですよ(上記図の右側)。一番の決定権を持つのは現場である。そう考えます」
正田「もちろん、任せきりにするわけじゃなくて、目指すべき方向は経営側が指し示す。そこに向かっていくプロセスは、すべて現場の社員にまかせています。一番お客さんの近くにいて、もっともニーズをわかっているから」
-確かに、これまでのオープン社内報の取材でも、「会社に新しい提案をして、反対されたことがない。それがうれしいし、やる気になる」と語っていた方がたくさんいました。それだけ、スタッフを信頼しているんですね。
正田「我々の仕事って、カタチがないところから作り上げていく0→1の商売だから。お客さんのワクワクを妄想しながら、真っ白なキャンバスに言葉やビジュアルをデザインして価値を創っていく。そのファーストデザインを描くのは、AIじゃなくてやっぱり人なんですよ。うちのスタッフは皆、感性豊かで優秀なスペシャリストです。尊敬しているし、信頼しています」
松井「だからこそ、スタッフがやりやすいような仕組みを作らないといけないよね。現場から相談されるのを待つんじゃなくて、僕らから何をやっているか覗きに行く。わからないことがあったら教えてもらいながらね。そうすることで、スピード感を持って顧客ファーストが実現できるのだと思いますね」
「ワンパブっていい感じの人が集まってる会社だね」と言われたい
-お二人は編集として入社されましたが、昔から経営に関わりたいという思いはあったのでしょうか?
正田「役職へのこだわりはあまりなかったですが、事業で失敗や成功を経験するなかで、もっとしっかりリーダーシップと向き合いたいという気持ちがだんだんと大きくなってきました。より大局的に物事を見ないと、人と組織を成長させていけないなという想いです。経営の立場になったいま、現場が一番成果を上げやすい組織の形を作りたいなと思っています。
ただ、編集としての誇りは今でもあるし、『職業はなんですか?』と聞かれたら『編集者です』って答えたいですね。生涯、編集者でいたいです」
松井「僕も正田さんも、編集長をずっとやってきたので。編集長って、小さな会社の経営者みたいなものなんですよ。そのスケールが大きくなってきただけかな、という気はしています」
-いざ経営側に立ってみて、これまで以上に意識していること、努力していることを教えてください。
正田「とにかく学び続けていくこと。そして、行動に移していくこと。具体的には、2年前からMBA(経営学修士)の大学に通ってます。もはや、従来のビジネス理論が役立たない時代が来ることは覚悟のうえで、体系的に経営を理解して、社員と学びを共有していくことを自分のミッションとして課しています」
松井「大事だよね。言ってしまえば、学ばなくてもある程度仕事はできちゃうし、これまでのスキルを活かして本も作れちゃうんですよ。だから僕も、学ばないといけない環境を作り出すようにしています。そのためには、やったことがないことに挑戦することが大事。『やったことがないからやりません』だと永遠にそのまんま。はじめは勉強しながらでもやってみることで、次第に慣れて、それが普通になる。その環境を意識的に作るようにしています」
-スタッフとのコミュニケーション面ではどうですか?
正田「極論、社員との関係も、顧客との関係も、ビジネスの根幹はコミュニケーションですからね。言葉って、時々すごく暴力的だなって思うんですよ。リーダーは、会社が目指す方向へメンバーを導いていかなきゃいけない。でも、あれこれ指示されるのって嫌じゃないですか。対話しながらビジョンを共有できるように心がけています」
松井「僕も正田さんも、日々苦しいことはたくさんあるけど、楽しそうに仕事をするように意識してます。これ、結構大事なポイントかもしれません。リーダーの我々がつまらなそうな顔で働いてたら、現場だってモチベーションがあがりませんし、実際苦しい会社になると思うから。この仕事が成功したら、こんなに楽しい! という空気を作ること、そこだけは特に気をつけています。
あとは、漠然としてるけど、『いい感じの人が集まってるね』って言われる会社にしたいですね。クライアントから困りごとを相談されたとき、いい感じの対応をしないと『次のご縁』はないじゃないですか。たとえば、チャットが飛んできたとき、内容によっては返事をしなくてもいいケースってあるんだけど、それでも『ありがとう』の一言とか、いいねのスタンプを押せるような人じゃないと、次もワンパブさんに頼もうってならないから。これってビジネス云々の前にヒューマンスキルの話かもしれないけど」
正田「相手の気持ちになって、『こうしたらうれしいだろうな』ってこと自然とGIVEできる人が求められているなと実感しています。『ワンパブさんって、そういう(いい感じの)人がたくさんいる会社だね』と言われるような、自走型の組織でありたいですね」
絶妙なコンビネーションで、さらに高みを目指していく
-お話を聞いていると、お二人のバランスがとても良いなと感じます。どちらかがAという視点で話をすれば、もう一方がBの視点からの考察を話す……まさに阿吽の呼吸だなと。
正田「松井さんが新しい事業を切り開いていき、僕がヒト・モノ・カネを整えていく…という役割分担になってますね。自然発生的に。1人だったら、ここまでのスピード感で会社を引っ張っていくことは難しかったと思います」
-お二人は同期なんですよね。初めて会ったときの第一印象を聞いても良いですか?
正田「実は大学も同じなんですよ。内定をもらってから入社まで一年近くあって、キャンパスでも顔を合わせたりしてました。松井さんはね、あの頃『ダ・カーポ』(マガジンハウス・刊)で連載を持ってたんですよ。リリー・フランキーさん、吉田豪さんと並んで。学研ってすごい優秀な人が来るんだなぁって思ってました」
松井「(笑)。同じ年に入社した同期が10人くらいいたんですけど、そのうち真面目なタイプが9割でした。そのなかで、僕と正田さんはわりとふざけてましたね。いつでも辞めてやるぞ! なんて息巻いていたんだけど、結局一番長く会社に居るという。まあ、当時からよく一緒に飲んでました。酒量と酔い方が似てるんです(笑)」
-やはり、すごく良いコンビだなと思います! では、せっかくの機会なので、いまだから言えるかつての大失敗があれば教えてください。
松井「いまでも失敗ばかりですからね……」
正田「むしろ、失敗しかしてないんですよね……」
松井「でも、10挑戦した中の8失敗したとしても、次に成功につなげればいいわけで。先月やったことをもう一回やったら、成功しかしないじゃないですか。基本的に、失敗してる人=新しいことに挑戦している人。そういう人を評価したいし、リーダーにしたいと思います」
正田「むしろチャレンジしないほうがリスキーな時代ですからね。失敗を奨励したいです」
-あたたかいお言葉をありがとうございます! 結局お二人の失敗は教えてもらえませんでしたが(笑)、とても勇気づけられました。では、松井さん、正田さんにとって大切なもの、なくてはならないものを教えてください。
松井「これまで培ってきた人脈、外部の仲間ってすごく大事だと改めて感じています。先ほどの『いい感じの人』にも繋がるんだけど、『いい感じの関係』を維持していると、窮地に陥ったとき、助けてもらえるんですよ。納品まで数日しかなくて、どうにもならないときに『お願いできる?』って言える関係性とか、財産ですね。最初のご縁はもちろん、その後いかに人間らしく良好なお付き合いをしていけるかがカギだと思う」
正田「本当に、人的ネットワークほど大事なものはないですね。間違いない。これからも、広く深くご縁を繋いでいきたいです」
-ありがとうございます。最後に、これから会社として挑戦したいこと、ワンパブの野望をお聞かせください。
正田「いくつもあるけど、商品やサービスのプロモーションだけではなくて、IRとかCSVとか、企業の存在価値を対外的に示すような広報活動の支援もしていきたいです」
松井「今後も出版外の事業を伸ばしていくミッションがあるわけですが、そのためには専門知識が必要です。これまで経験のない、新しいソリューションができる人材を社内で育てる、外から採用することももちろんなんだけど、もっと大きな視点で言うと、そういうことが得意な会社と手を組むこともひとつだと思っています。それができるのが、ワンパブがいる日本創発グループなんですよ。
以前だったら、『3DCDでメタバースを作ってほしい』なんて依頼を受けても断るしかなかったけど、今ならキャドセンターさんとか、いろいろ組む相手がグループ内にいますからね」
正田「そうやってベストパートナーを見つけて、パートナーシップを結んでいくことによって、感動の体験価値を提供できるようなワン&オンリーの会社になっていきたいですね。競合がやっているところに入り込むんじゃなくて、誰も気づいていない、根本的なお客さんの不を解決できるようなソリューションに取り組んでいきたい。そんな土台を作れたら、出版でも出版外でもワンパブという会社は愛され続けていくと思います」
普段から仲の良い様子は伝わってきていましたが、今回あらためて、2人が抱える想いや目指す場所が同じなのだと確信しました。ベストパートナーが繰り出す施策や空気感が、ワンパブを「いい感じの会社」へと形作っているようです。松井さん、正田さん、ありがとうございました!
(取材:水谷映美/撮影:我妻慶一)