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アイドル2.0~キャパ戦争の先に見たもの~

1.はじめに

この記事は2018年5月4日に一宮市民会館で行われたでんぱ組.incのライブがあまりにも素晴らしく感情を揺さぶられたので、その気持ちのまま思い浮かんだことを徒然に書いています。記載の内容はほぼ100%主観に基づく意見であり、細かい事実検証などは行っていませんので、事実と異なる記載があっても生暖かい目で御覧いただけると幸いです。

2.前置き~キャパ戦争の始まりと終焉~

まずは本記事における『キャパ戦争』という単語について定義させていただきます。

なんとなく察しはつけていただいているかと思いますが、各アイドルが人気のバロメーターとしてライブ/コンサートを行う会場のキャパシティ(広さ/座席数)を競い合う事象のことを指しています。

このようなキャパ戦争が起こり始めたのはももいろクローバー(Z)の台頭からだと記憶しています(あくまで主観)。もともとAKB48など大きなバックボーンを持ち戦略的にメディアを巻き込んでいったアイドルと対照的に、地道な草の根活動から着実に活動範囲を広げていったももクロ。成り上がりの図式として、また、AKBグループに肉迫していることを示すためにも定量的に測ることのできる「会場のキャパシティ」というのは本人やファンにとっても分かりやすい指標として利用しやすかったのだと思います。加えて、ロックフェスも大規模化していく中で「メインステージに立つこと=集客力のある人気バンド(グループ)」という図式も顕在化してきており、音楽界全体がキャパシティへの挑戦を盛り上げていったように感じます。

時が立ち、少なくともアイドル界のトップクラスでは今この「キャパ戦争」は下火になっているように感じます。一つのきっかけはももクロが2014年、国立競技場という(現時点では)日本最大キャパの舞台に立ったこと。彼女たちは掲げていた目標を達成したと同時に、「じゃあその目標を達成した後、アイドルは何を目標にすればいいのか?」というジレンマが発生することをファンたちに教えてくれました。また、「キャパが増えない=人気が出ない、成長していない」という新たな呪い(のようなもの)を生み出すことにもなりました(実際、でんぱ組はしばらくこの呪いのようなものに苦しめられていたように見えます)。成長、物語性を求められるアイドルにとってこれらは死活問題です。以降、後続でどんどん知名度を獲得していくアイドルもキャパシティに関してはあまり明言を行っていないように感じます。(武道館でやりたいなど、思い入れのあるハコは別)

3.キャパシティの先に見た戦略

前置きが長くなりましたが、このキャパ戦争の終焉/限界を経て、今主戦場を戦っているアイドル達は非常に面白い進化を遂げています。この現象はアイドル2.0と言ってもいいかも知れません。特に如実に進化が見えるグループを列挙すると、このキャパ戦争に終止符を打ったももいろクローバーZでんぱ組.inc、BABY METALなどがあげられます。ベビメタは分かりやすいですね。早々に世界に照準を定めてキャパの限界を自ら拡張しました。(日本も世界の一都市という位置づけで見ている)

本記事では個人的に掘り下げたい『ももクロ』と『でんぱ組.inc』に焦点を当てて話を進めていきます。

4.ももクロの戦略~日本というマスを取る~

ももクロは近年ツアーはもちろんですが、定例イベントとして

①春の一大事

②夏のバカ騒ぎ

③ももクリ(ももいろクリスマス)

というイベントを大規模会場で毎年行っています。この中で注目したいのは『①の春の一大事』です。

このイベントは2017年に埼玉県・富士見市、2018年に滋賀県・東近江市で行われており、来年に関しては会場未定、地方からのリクエストで決めるという方法を取っています。ここにキャパ戦争を終わらせたももクロの戦略が滲み出ていると感じています。

一言でいえば、ももクロは「日本そのもの」というマスを取る戦略にシフトしています。大きなハコを用意して来てもらうのではなく、用意してくれたハコに自分たちが飛び込んでいく。これを繰り返すことで、日本という彼女たちのハコが出来上がる。

この戦略の素晴らしいところは、大規模キャパのライブでは掴み切れないファンも取り込めるという点です。なかなか遠方のライブに行けない層はもちろん、地域振興の観点から行政をも味方につけられます。コアなファンを100万人作るより、ゆる~いファンを1,000万人作るほうが今の時代価値があると運営は見込んだのだと思いますが、素晴らしい戦略だと思います。

5.でんぱ組.incの戦略~概念化~

でんぱ組.incは2014年の日本武道館公演以降、大きなキャパの会場で挑戦するチャンスはありましたが、なかなか実現されることはありませんでした。(COUNTDOWN JAPANで一番大きなEARTH STAGEへの出演はあり)実現されたのは2017年のアリーナツアー、しかしその後グループとしての活動は目立たなくなり、最上もがちゃんの脱退が発表されました。

2017年の充電中(と言う名の模索期間だったと思います)を経て、彼女たちが起こしたのは新メンバー(2人)の加入、そして宇宙に向かうというコンセプトでした。(JAXAも監修するというでんぱ組らしい徹底ぶり!!)

この『宇宙に向かう』というコンセプト、インパクトは大きく面白いのですがフワフワしてるっちゃフワフワしてます。なのでここからは推測になるのですが、おそらく彼女たちは自身を『概念化』しようとしている気概の表れなのだと思っています。

例えば、Aというアイドルグループがいたとして、そのグループを説明するには「メンバーは○○と××がいて、楽曲は△△などがプロデュース…」という情報が必要になると思いますが、おそらくでんぱ組.incはそのようなミクロな情報に左右されない存在になろうとしている(少なくともコンセプトは)と思っています。どのような概念になるかは上手く言語化出来ませんが。

キャパ戦争の終焉、そしてメンバーの脱退という環境変化に適応するために必死で生み出した進化の仕方だと思っています。そしてその真価を裏付けるだけのパフォーマンスが5月4日のライブには在りました。

6.最後に

生命の進化がそうであるように、アイドルの世界はめまぐるしい変遷に適応するように苦しみながらも確実に新しい価値を創造し、我々ファンを楽しませてくれています。アイドル2.0とも言えるこれからの時代を面白おかしく見守っていけたらいいなーと思っています。

個人的な話ですが、自分はバンド畑の人間なのでバンド界もこれくらいの進化しろよ!とは思っています。もちろん良いバンドはたくさん有りますがが、業界全体が色んなベクトルのバンドを表舞台に上げられるよう盛り上げていって欲しいなと思います。アイドルに負けるな!!

本当に書きたいことを書き殴っただけなので、読みにくい箇所、ロジックが破綻している箇所もあるかと思います。読んだことが運の尽きと思ってスルーしてください。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。



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