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【有志活動のつづけかた・そだてかた】あなたにあったチームの形は?【有志活動のコツ Vol.2】

2021年2月6日、ONE JAPANでは『ACTI 有志活動座談会』を開催し、有志活動の代表を務める15社全16名が集まって、様々な意見交換を行いました。今回はその中で「学びが大きかった!」との反響が多かったトピックを共有します。


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1.有志活動のつづけかた、ひろげかた

 第一回の記事 (【カンファレンス直前!】有志活動ってなに?最近注目されている有志活動について調べてみた【有志活動のコツ Vol.1】)でも記載したとおり、有志活動は会社の中で”自分達の想い”をもとに様々な人を巻き込みながら活動を行います。人それぞれ仕事の仕方が異なるように、有志活動にもそれぞれ「代表者のリーダのあり方」「チームのあり方」があります。発表した3名のリーダシップのコツについて、聞いてみました。

2.自分のWILLをザラザラでいいから言語化すること (秘密結社わるだ組・富士ゼロックス斎藤謙一)

 はじめに登壇したのは、富士ゼロックス※の有志活動「秘密結社わるだ組」の中心で活躍する斎藤謙一。斎藤からは、「つながり」を大切にした、斎藤さんなりの、代表者像について、話を聞きました。

※2021年4月1日付けで社名を「富士フイルムビジネスイノベーション株式会社」に変更。本記事では、イベント開催時の名称に基づき「富士ゼロックス株式会社」「富士ゼロックス」と記載します。

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 斎藤は、初代の大川氏より、2019年から代表を継承されていますが、引き継ぐまで、わるだ組活動との接点がほぼ無しという、驚きの背景があったことが明かされました。しかし、その後、彼なりの代表者像のもと、これまで・新たなコアメンバーと共に活動を活性化しているとのことで、当日は彼自身が考えるポイントを中心にお話を聞きました。
 まず、自身の代表者像としては、組織のリーダーというよりも、組織のコミュニティハブのような立ち位置をとっており、自分自身がハブとなることで、繋がりの活性化に力を入れてきたとのこと。また、メンバーに対し、無償の愛を持って、「やりたいことがある人を、とにかく応援する」姿勢には、参加者も尊敬の一言でした。若手が自分で企画したイベントにご自身もコミットし、一緒になって楽しみ盛り上げたエピソードなどを聞くことができました。そのような普段からの姿勢を通じて、斎藤のまわりに自然と仲間が集まる、コミュニティハブになっていく様子が想像できました。また、そのような繋がりを広げていく際、彼は、「誰がどんな想いで活動しているか」や、「誰と誰が仲良しで繋がっているのか」などを、押さえようとしてきたとのこと。それが繋がりのシナプス活性化に繋がっているそうです。
 更に、自身の活動のポイントとして、アクションと言語化のサイクルについても説明してくれました。「自分のWILLはザラザラした言語化で十分」。この言葉は、参加者からも非常に印象に残るものでしたが、自分のWILLを完璧・クリアに語れる人はそうそういないはず。やってみて「やりたいこと」に気づくことも多いので、アクションしながら、やりたいことの解像度を挙げていく、WILLは仮セット位の気持ちで、とにかくアクションして、その結果から自分のWILLに問いかけて再度言語化する・・・このサイクルをまわすことが重要。そうすると、やりたいことが見えてくる。との意味が込められており、参加者の納得度も高く、今悩んでいる方にとっても前に進むとても良い刺激になる話でした。

ポイント
✔ 組織のリーダーというよりも、組織のコミュニティハブのような立ち位置
✔ やりたいことがある人を、とにかく応援し、繋がりに行く
✔ 自分のWILLはザラザラした言語化で十分。アクションと言語化のサイクルをまわす

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【参考】斎藤謙一については、過去のnote記事も参照!
関係の質を高め、アウトプットに繋げる-秘密結社わるだ組 組長代理 斎藤謙一【ONE JAPAN事務局インタビュー】

3.自分のやりたいことを大事に(P∞・日本郵便伊藤康浩)

続いて登壇したのは、日本郵便の有志活動P∞(ピース)を引っ張る伊藤康浩。伊藤は本業で配送業務の自動化等を検討する傍ら、3代目代表として有志活動を盛り上げています。

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P∞は、代表者の業務量増加や、中心メンバーの社外出向やライフステージの変化などによって、活動が停滞したことがあったとのこと。そんな時、初代代表からの「今のP∞をなんとかできるのはお前しかいない」という言葉に後押しされて、伊藤は代表を引き受けたそうです。
伊藤がまず取り組んだことは、一人ひとりに声をかけて原点に立ち戻ること。2015年の立ち上げ時の活動指針を皆で見返して、皆の想いが当時からブレていないことを再確認しました。また、課題を皆で話し合い、以下のような方向転換を行ったそうです。
・事務局という組織を解散することでやらされ感を減らし、個人のワクワク不足を解消
・単発の企画ばかりでなく、目標を目指した継続・発展できる企画にチャレンジ
・原点である「若手に活力を」という姿にフォーカス

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具体的には、全国の若手にタテ・ヨコ・ナナメのつながりをつくる「ナナメ会」などを企画し、その結果新入社員自らがトークイベントを企画する奇跡がおきました。言葉通り「若手が活性化」されたと皆嬉しかったそうです。
最後に、『自分は3代目の代表。一から物事を始められるような初代代表と自分は異なる。でも、それで良い。無理して今ある組織を引き取るのではなく、自分のやりたいようにやるのが良い』というメッセージが伊藤からありました。

ポイント
✔ 迷ったときは「最初の想い」に立ち戻ること
✔ 「お前しかない」と任されると、やる気がでる!
✔ 先代の代表のやり方に合わせる必要はない。自分らしく!
【参考】伊藤康浩については、以下の本業に関する記事も参照!
https://tomoruba.eiicon.net/articles/2179


4.多様性重視で育てる(JGC3.0・日揮田中悠太)

最後に登壇したのは、日揮の有志活動JGC3.0を盛り上げる田中悠太。ACTIの一員でもあります。

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JGCとは日揮の英語名とのこと。「日揮グループを”3.0”に変革するため、越境して外から学ぶ!社内に実装する!コトを起こす!」を目的に活動している有志コミュニティがJGC3.0です。

主な活動として、毎週火曜日の昼休みに、社内で発掘したゲストにプレゼンしてもらう「ランチセッション」を開催。事業会社や部門の壁を越えて互いを知ること、つながることを目的に、300回を超えたそうです。

過去には参加者が3, 4名程度でこっそり開催していた時期もあったランチセッションですが、前任である2代目代表者と共に思考錯誤しながら少しずつ拡大、コロナ禍でTeamsオンライン開催に移行した今では平均40名程度、最大で80名が参加するまでに至ったとのこと。今回は田中が意識した工夫ポイントを聞きました。

上述のとおり、かつては参加者の低迷に悩んだ時期もあったJGC3.0ですが、その状況から現在の盛り上がりにつながる、転機の一つとして、田中は本業のエースである先輩の巻き込み実現を挙げていました。ともすれば、社内の変わり者が集まりやすい面のある有志活動。しかし、田中は前任の代表者と共に、その状況を打開すべく行動、ある時、本業の本丸で活躍するエースと言える先輩をコアメンバーに巻き込むことに成功。そこから、その方の周囲や上司までもが参加してくれるようになり、「意識高い系」と色眼鏡で見られる度合いが減っていったそうです。さらに、毎週行うランチセッションの会場もよりオープンで集まりやすい部屋に変更し、扱うテーマも、社内とは「遠い」内容だけでなく、実務にすぐ役立つスキルアップなどの回も混ぜるように工夫することで、幅広い参加者を獲得していったとのこと。

このように、熱量でリードしつつ、いつも客観的視点を忘れずにコミュニティが内外からどう見えているか?を意識しながらマネジメントしていることが、同社における有志活動の育成・拡大の秘訣と言えそうです。ぜひ他の企業の有志でも参考にしていただけたらと思います。

ポイント
✔ 傍⇔主、既存事業⇔新規事業、外向型⇔内政型・・の片側に寄らないように!
 →尖った人の拠り所としても重要だが、本流人材も呼び込むことで幅を出す。
✔ イベントテーマも既存ネタ⇔新規ネタのバランス!
 →業務に近い系(英語スキル、チーム論)、遠い系(新規事業、ビジネス寄り)のバランス。そして、どちらも「ならでは感」を大切に。
✔ 常に客観的に、冷静に、「見え方」を大事に!
 →「社内外からの見え方」の意識。そのためのCoolマネジメント。
【参考】田中悠太の活動については、以下の記事も参照!
横浜で立ち上げた『横濱OneMM』(通称おねむ)の特集記事。
https://doors.nikkei.com/atcl/column/19/082600113/040600009/

5.主催者より

代表者との座談会も、実はこれで6回目。座談会後のブレイクアウトルームを用いた座談会からも、「団体によって活動内容、形態は様々だな」と改めて感じさせられました。
斎藤も伊藤も『動きながら、自分の想いを探していく』と言っていた通り、どの団体も活動をしながら、あるべき団体の姿に近づいて行くのだと思います。その上で、田中からは『周りの声や見え方にも気を配っていくことが、周りをまきこみ続けていくためのコツ』というアドバイスがありました。


ACTIでは、引き続き、座談会やインタビューを通じて、皆さんの成功談・失敗談を共有していきます。皆さんの経験が、きっと未来の誰かの成功の材料になるはずです!


執筆:
諸藤洋明(ONE JAPAN事務局 有志活動活性化担当幹事/NEC)
西浜秀美(ONE JAPAN事務局 有志活動活性化担当/アステラス製薬)
田中悠太(ONE JAPAN事務局 有志活動活性化担当/日揮)
編集:
岩田健太(ONE JAPAN事務局 広報担当/東急)


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