コミュニティから考える、オフラインとオンラインの利点

今更ながら、2018/5/9に発売された、佐渡島さんの『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜 』を読んだ。

当時話題になっていたけど「コミュニティは特に作る気もないし、今は読まなくても良いかなぁ」と素通りしていた。でも今更ながら読んでみて思ったことは、インターネット社会でのコミュニティはもちろん、オンラインとオフラインの違いを考えさせられた。

読んで考えたことは相反するようだが、主に2つ。

・オンラインコミュニティの可能性
・オフラインで感じる安心感

おそらくどちらも必要で、両方のバランスを保ち続けることが重要になっていくような気がした。

オンラインコミュニティは熱が広がっていきやすい

オンラインコミュニティは、クローズドな空間で熱が高まれば、Twitterなどオープンな空間で広がっていきやすいように感じた。

本書で書かれているように、オンラインコミュニティにおいてコミュニティ内に起こるフェーズはこのような順番が今のところ理想な気がしている。

「安心・安全→熱狂→拡大→安心・安全の確保」の順番で繰り返ししていく

過去に私が入っていた伊佐さんのオンラインコミュニティ「旅と写真と文章と」を振り返ってもこの順番だからこそ盛り上がった。

「はい、スタート!」と始まったコミュニティであったが、slack 未経験だった私はどうやって書き込んでいいかわからなかった。でも最初の頃、伊佐さんが「スカイプ(?)でslack勉強会をしましょう」と言って実際にslackに書き込みながら、オンラインでビデオ通話ができたことが頻繁に投稿するきっかけになった。

それからslack内で会話が増え、それぞれがコミュニティのことを愛し始め、その愛がTwitterに流れてハッシュタグでどんどん投稿されていった。

伊佐さんが登壇するイベントではコミュニティメンバーで申し合わせて遊びにいったり、そこでコミュニティに興味を持つ人から話しかけられたりもした。今思えばこれが熱狂として拡大していくフェーズだった。安心、熱狂、拡大が繰り返されているからこそ、期を重ねても100名近くのメンバーが集まるのだろうと思う。

自分が関わる事業への転用できるかと言われたら...

本を読んで、今のインターネットの流れも心の変化も少しだけわかった。けれど、この技法を自分が関わる観光事業で役立てられるかといってもちょっと難しい気がする。1対1の関係性をN対Nにしたところで頻繁に話す話題もない。

コミュニティの運営方法に興味はあるけど、上手く使えるコミュニティは身近にはないかなといったところ。定期的に行けるカフェとか本屋さんなら良いけど、今関わっているような観光拠点だと運用のやり方が中々思いつかないなぁと。

(ん?本屋さんって面白そうでは?今入ってる漫画のコミュニティも面白いし。誰かやって...)

オフラインで感じる安心感の強さ

そしてもう一つ感じたことが、オフラインで感じる安心感だった。

昔の村社会や会社コミュニティ、家族のコミュニティは徐々に崩壊しつつある中で、私たちは個を得る自由と引き換えに、安心や安全を失った。

そこで新たな安心・安全を担う場として生まれたのが、インターネット上のコミュニティだ。

私自身の体験を振り返っても10年くらい前、mixiのコミュニティを代表にマイナーな趣味の人と知り合える仕組みには新しさと面白さがあった。思えばTwitterでも同じバンドを好きな人と連日のように会話をして盛り上がっていた。マイナーなバンド好きにはリアルの世界ではあまり出会えない。同じ趣味を持つ人と繋がれるのはインターネットならではで、新しいコミュニケーションにワクワクもした。

しかしここ最近、個人的にはオンラインで安心や所属感を感じるには限界があるように思っている。今は様々な場所でオンラインサロンがあり、Twitterを見ていると、頻繁にそのコミュニティのことを呟く人も多い。

確かにオンラインのコミュニティに入ると、同じ趣味や目指す方向性を通して繋がれる。さらにslackやFBグループ上だけではなく、Twitter上にハッシュタグをつけて呟くことも多くなっていく。日々動くslack、発展していく会話。確かにコミュニティに対する所属感を感じる。

一方で満たされない感覚もある。それは物理的距離なのか、心理的距離なのかわからないけれど、「所詮オンライン」という感覚が拭い去れない。私の場合は物理的な距離もあるので、イベントがあっても中々会いに行けない。slack上に常駐できるわけではないから、一気に会話が進んでいくと疎外感も感じる。インターネットだからこそ、情報が流れる速度が速すぎるのだ。

そして戻ってきた先がやはりリアルな場でのコミュニティの安心感の強さだった。オンラインとオフラインだと、安心度合いが圧倒的に違う。ここ半年くらいずっとオンラインのビデオ通話でやり取りしていた人と初めてあった時は、「あ、意外と背低いんだ」って失礼なことを感じてしまって親近感が湧いたりもした。

こうした経験は、本書に書かれていた「知ることは安全を生む」に通じているのかもしれない。オンラインコミュニティは大切だと思うけど、オフラインでのコミュニティとのバランスが重要だと思った。

今後はオフラインで会った人と関係性を深めるコミュニティと、共通の趣味や目的を持つ人同士のコミュニティの、どちらも増えていくような気がしている。

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