6年ぶりに茶道に触れてみて感じたこと

今年は地元の市民講座で茶道を始めた。先生は表千家で、学生のころに習っていた流派とは違ったけど、正直そんなに覚えていなかったし、さほど問題はなかった。

※補足:三千家について
表千家・裏千家・武者小路千家は千利休のひ孫の段階で分かれた流派。
三代目宗旦(そうたん)の三男江岑宗左(こうしんそうさ)が表千家を引き継ぎ、養子に出ていた次男一翁宗守(いちおうそうしゅ)が武者小路千家を興す。そして宗旦が自分で作った茶室を引き継いだのが、四男:仙叟宗室(せんそうそうしつ)で、その後裏千家を興すこととなる。

市民講座内での茶道教室

5月から始まった講座は全30回。基礎の基礎から習って、11月には市民講座のお披露目会のようなイベントでお点前をする。(お茶を習っている人にこの話をすると、大抵驚かれるほど発表までのスパンが短い)

最初は、割り稽古と呼ばれる袱紗や茶巾のたたみ方や棗の拭き方、茶杓の構え方など一連の動作を一つひとつに割って稽古する。

それらができるようになると、畳の上で薄茶のお稽古。入りの挨拶から終わりの挨拶までをひとりで行う。

ここで「あれ?次は何をするんだっけ?」の状態になり、つまづくことは数えきれないほど。

ようやく少しずつ覚えられるようになったかなと思うと今度は11月のイベントに向けて畳ではなく、椅子と机を使って行うお点前「立礼」(りゅうれい)を覚える。

そこからは慌ただしく、イベントに向けて猛特訓。できるだけお稽古を休まないように仕事の調整を取り、ひたすら何度も練習を繰り返した。

そして迎えた当日。細かいミスはあったけれど、何とか一連の動作は忘れることなくお点前をできるようになった。当日は100名を超えるお客さんが来て、水屋や半東(はんとう)もてんやわんや。それでも先生のお弟子さんたちの力を借りて何とか終えることができました。

夜のお茶会へのご招待

市民講座を終えると、先生がご自宅のお茶会へ招待してくださった。その日は平日でみんな仕事だったため、夜のお茶会。夜咄(よばなし)のようにろうそくの灯だけの空間だった。

まず風炉に炭入れをするところから。掃除をして、温かいお湯が沸くように炭を入れる。そして練香を入れ、香りを立たせる。この練香は先生のおばさまが作った香らしく、とても良い香りだった。

そしてそこからは通常のお点前。何十年もお茶を続けてきた先生のお点前も、私が習ったお点前の先にあるのかと思ったら、もっと習いたいと純粋に思ったし、脈略と受け継がれてきた茶道に少しでも触れられたことが嬉しかった。

人生に不必要な要素が心の余裕を生む

何も茶道は人生に絶対必要なことではない。でも長い歴史の中で失われずに引き継がれてきた文化を知ることは昔の人の生活や考え方を少しだけ知れるような気がして楽しい。

さらに茶道をすることで無理やりにでも静かな時間をつくることで、心が落ち着いたりもする。もともとは禅の考えから始まった茶道の文化。お茶室のなかにいると、少しだけ現世と違う世界にいるような感覚になることもある。バタバタと日々が過ぎていくなかで、外的要素を利用して落ち着ける時間を作ることも大切なのかもしれないぁと思った冬の1日でした。

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