「価値」の生まれるところ 〜あの炎上事件から学ぶ「ブランドが壊れる時」・番外編〜
こんにちは。
8millionsの阿部です。
先日まで某老舗和菓子屋の社長(当時)W氏による炎上騒ぎについて、彼や彼の周りの人に欠けていたブランディングの意識について考察してみました。
その記事が一区切りしたそんな時。
僕の目にあるニュースが飛び込んできたのです。
今日はこれについて少し考察してみようと思います。
1986年6月22日、メキシコシティ
その日、その場所で行われたのはサッカーW杯の準々決勝、アルゼンチンとイングランドの試合。
その試合でアルゼンチン代表のエース、D・マラドーナ選手が衝撃的な2ゴールを決め、アルゼンチンを勝利に導きました。
しかしそのうち1ゴールは誤審によるもの。明らかなハンドによるゴールだったのですが、得点として認められてしまいます。
そしてそのゴールは「神の手ゴール」と呼ばれ、今もサッカー界の伝説の一つとなっているそうです。
って、なぜ30年以上前の話が今ピックアップされるのか?
実は今回、こんな出来事があったんです。
2022年11月6日、ロンドン
先日のニュースです。
「恥を知れ!」「なんて図々しいんだ」“神の手&5人抜き”の伝説ボールを競売にかける元主審に英国から猛批判の嵐!
1986年の「神の手ゴール」の試合で使用されたボール。
実はその試合の主審によって保管されており、11月にロンドンの企業によってオークションに出品されるのだそうです。
その試合に出場し、敗退を喫していたイングランド代表の元選手たちはこのオークションを非難しているようですが、オークション企業によると
推定される価値は4億円以上。
なのだそうです。
ただのサッカーボールなのに…
もちろんそのボールはただのサッカーボールです。
プラチナや金が使用されている訳ではない。
持っていたら全ての願いが叶うという特殊能力がある訳でもない。
アディダス社によって製造された、ただのサッカーボールです。
なのに4億円の価値があると言われていたり、激しい非難を浴びたりしている。
これは、前回の記事でお伝えした「情報」によるものです。
その「情報」が付加されたことによって、ただのサッカーボールだったものが、4億円以上の価値があると評価されたり、非難を受けたりするものに変わってしまうということです。
「価値」が生まれる理由
そしてその「情報」がどう判断されるか。
それを決めるのは「人」であり、もっと言えば「個々人の持つ主観」です。
だからある人はポジティブな評価をするし、別のある人はネガティブな評価をする。
ここに「価値」というものが生まれます。
同じ情報でも評価、つまり価値が違ってくるのは、その人たちが持っている価値観や信念が違うからです。
例えば、その試合で敗けたイングランド代表の元選手やファンの人からしたら、このボールが持つ「情報」はネガティブに感じる人が多いでしょう。
逆に、その試合で勝利したアルゼンチン代表の元選手やファンの人からしたら、このボールが持つ「情報」はポジティブに感じる人が多いでしょう。
そして、あまりサッカーに興味がない人からしたら、このボールが持つ「情報」は正直どうでもいいと感じる人が多いでしょう。
同じ情報でも、受け取る人の立場や状況、価値観や信念によって、全く違う評価、すなわち「価値」が生まれるのです。
そしてこれはサッカーに限った話ではありません。
あらゆる状況、あらゆる存在で同じことが言えます。
だから人間は愛し合い、同時に争い合うのかもしれませんね。
余談ですがアルゼンチンには、マラドーナを神と讃える「マラドーナ教」という宗教団体があるそうです。
もし彼らがこのボールを落札したら、それこそ聖杯や聖骸布のような「聖遺物」として崇められるのではないでしょうか。
これは極端な例かもしれませんがw、「情報」というものには(ポジティブ・ネガティブ両面あれど)「価値」というものを生み出す大きな力が秘められているのです。
このニュースから学べること
ただのサッカーボールに付与された「情報」が、多くの人々によってポジティブ、ネガティブ両面から注目されている。
このことからあなたと僕が学べること。
それは
より良い価値を生み出す情報を、自らに付与していこう
というものです。
今回のニュースで紹介されたサッカーボールは、彼の意図とは関係ない外部の存在によって
「神の手ゴールを生み出したボール」という「情報」
を付与され、そしてその情報に対して様々な価値を生み出すこととなりました。
でもあなたはボールではありません。
あなたの「価値」を決める「情報」は、あなた自身で決められます。
そして「価値」は、人によって変わります。
よって絶対的にポジティブな価値も、絶対的にネガティブな価値もどちらも存在しません。
つまり、あなたが感じている価値とは、逆の価値を感じる人もいるということです。
だからこそ、
誰に、どんな価値を感じてもらいたいか。
そのために自分はどのような情報を身につけていくべきか。
を考え、実践していってほしいのです。
「人生には、未来ですべき何かがあり、あなたを待っている人がいる」
と言ったのはV・フランクルだそうですが、僕も同感です。
あなたを待っている人のために、今あなたができる最善を尽くす。
それが価値を生み出す情報となります。
サッカーボールよりもはるかに大きな価値を生み出す可能性を、あなたは持っています。
どうかその可能性が開きますように。
今日もお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
8millions 阿部 龍太
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