見出し画像

説明会の時間を300時間削減し、エントリーを増加させたサイバーエージェントの採用DX

こんにちは。ワンキャリアクラウドチームです。

新型コロナウイルスの影響で、説明会をWeb開催に切り替えたり、動画を作成した企業は多いでしょう。新たな取り組みに苦戦した人事の方は多かったと思います。

そんな状況の中、コロナ禍よりはるか前、2017年から会社説明会をオンラインに切り替え、新型コロナウイルスをきっかけに採用イベントも完全にオンラインに移行した企業があるのをご存じですか?ネット企業の雄「サイバーエージェント」です。

説明会のデジタル化によるメリットは、何と言っても「高クオリティのコンテンツを何度でも使える」こと。同社はYouTube説明会「ワンキャリアライブ」への出演も含め、全国への出張を含めた説明会や採用イベントを全て動画化し、約300時間を削減したと言います。さらに、新たに生まれた時間で同社が注力している施策とは……?サイバーエージェントの寺脇さんと中富さんにお話を聞きました。

プロフィール

画像1

寺脇英雄
新卒採用人事 マネージャー
2013年サイバーエージェント新卒入社。インターネット広告事業本部へ配属され2014年にマネージャーへ昇格。2016年動画広告専業代理店、株式会社CyberBullへ営業マネージャーとして出向し、大手ナショナルクライアント・スマートフォンアプリ事業者の営業担当に従事。2019年10月よりサイバーエージェント 新卒採用担当。

画像2

中富麻梨
新卒採用 採用広報
2014年新卒で繊維商社に入社。営業アシスタントとして、服飾資材の手配や貿易事務に従事。その後2016年人材業界の広告営業に転職し、2018年株式会社サイバーエージェントに転職。全社中途採用担当を担当後、12月より新卒採用広報立ち上げに参画。現在は採用広報として広報活動に従事。

合同説明会は本当にハードな仕事だった。

ー説明会の動画化を進めた背景にはどのような課題があったのですか?

サイバーエージェントでは、2017年から自社主催のオフライン会社説明会をやめて、「サイブラリー」というメディアで動画を含めた情報発信を候補者に向けて実施してきました。

その一方で、紹介会社が主催する合同説明会においては、2019年までオフラインのものにも出展していました。思い返してみると、合同説明会ほど大変な仕事はなかったかもしれません(笑)。

プロジェクターやパンフレットなどの準備に加え、当日も数時間立ちっぱなしで話し続けるので体力的にもしんどかったですね。また時間も限られるため学生からの質問にも全て答えられず、学生にとっても良い体験を提供できていないのではという課題感がありました。

ー2020年以降の動画化の取り組みについて教えてください。

2020年にコロナウイルスの影響で、合同説明会もオンライン化が進みましたよね。大規模な説明会への出展も、自社主催のイベントも全て動画化できました。

3月にワンキャリアライブに出演したことがきっかけで、自社のイベントについても改善しました。Zoomにスライドや人事の顔がアップで映り続けるものよりも、社員同士が掛け合いを繰り広げるトーク番組形式の方が、より社風が伝わるのでは思い、SHIBUYA NEXTをはじめとするイベントでは、様々な部署で働く現場の社員に人事が話を聞いている様子をYouTubeLIVEで配信しています。

実際に参加した学生からも、「社員さん同士の関係性がわかって、社風を感じることができた」という声が非常に多いです。また、配信中にお題を投げかけると、YouTubeのコメント欄を通じて学生の回答や反応を見ることができるので、双方向性の高いイベントになっています。

画像6

ワンキャリアライブで出会い、自社の動画番組で深める。

ー自社主催のイベントと、外部のオンライン合同説明会はどのように使い分けていますか?

自社主催のオンラインイベントは、新規接触というより、意向を高めたり、サイバーエージェントの仕事内容を理解してもらう位置付けで実施しています。弊社は様々な事業を展開しているので、コンテンツも切り口を分けて訴求内容も各事業の仕事の魅力を正しく伝える必要があります。そこに候補者視点を掛け合わせ、学生のニーズに合わせたコンテンツと体験を設計するようにしています。

画像7

ワンキャリアライブなど多くの学生や企業が集まる合同説明会は、まずは働く先としてのサイバーエージェントの玄関を見てもらうイメージで出演しています。なかにはサイバーエージェントという会社名を知っていたり、サービスを利用いただいている方とお会いすることもありますが、「就職先」として学生と「再会する」必要があります。

内定者にヒアリングをすると、ワンキャリアライブがきっかけでサイバーエージェントに興味を持ったという学生が一定数いますし、自社主催では出会えない学生との出会いの場として期待しています。まだ興味を持ってもらっていない学生に対しては、まずワンキャリアライブで「就職先としての興味」を持ってもらい、自社主催のイベントで「働くイメージを深めてもらう」というイメージですね。

画像5

ー外部のオンライン合同説明会はどのように選んでいますか?

出来る限り多くの学生と「再会したい」と考えているので、送客力は重視しています。その上で、ATSを活用し、初期接点の分析を実施し、実際にイベントで出会った学生が選考に進んでくれているのかどうか、をしっかり追って効果検証し、成果のでているイベントに積極的に出展をさせて頂いております。

また、自社ではつくれない偶発的な出会いを作れるイベントは魅力的に感じます。色々な企業さんが集まるイベントなどに出させていただくと、人事としても発見が色々あり、有り難いですね。また、学生の皆様もたくさん採用イベントに参加していると思うので、そもそもコンテンツとして魅力的なものを提供出来ているなと感じると嬉しいですね。

画像6

動画化で300時間の削減に成功。一人ひとりの学生に向き合う時間に。

ー説明会やイベントの動画化による効果について教えてください

まず、時間が大幅に削減できました。

2017年までオフラインで実施していた会社説明会では、1回あたり約4時間ほど(準備片づけなどに2時間、セミナー2時間)かかっており、年間50回開催すると200時間近くかかっていたものが、「サイブラリー」にしてから0になりました。またオンラインイベントでは、話し手とオペレーションを合わせて3名で運用してますが、会場設営から配信、片付けまで含めても2時間弱で完結しています。こちらもオフラインで開催していたときと比べると100時間ほど削減できています。

また、外部主催の合同説明会についても、全国に出張して、出展だけでも丸一日使っていたものが、一回60分の動画に年間で数回出演するだけになったので、費用も時間も大幅に削減できています。

ワンキャリアライブはアーカイブでYouTubeに残るので、新卒採用が通年化する中でも、何度も合同説明会に足を運ばなくてよくなりました。例えば東京の合同説明会の出展では一回あたり7時間、地方では大阪で13時間ほど要していたものが、ワンキャリアライブへの出演で2時間まで削減できています。会ってなくても学生がサイバーエージェントのコンテンツに触れる機会を提供できています。採用担当からすると、移動時間が無くなった分一人ひとりの学生により向き合う時間が増えて嬉しいです。

ーエントリーについて変化はありましたか?

2020年は、自社主催のイベントだけでも3,500名以上の学生と接点を持てたのでエントリーの量は増えていますし、いわゆるCPAも大幅に改善しています。外部主催の合同説明会では、ワンキャリアのものでいうと説明会1回あたりで280名ほど得られた接点がライブへの出演で810名ほどになりました

ー削減された時間や予算でどんなことを実施していますか?

まだこれからですが、オンライン化で効果測定ができるものが多くなりました。得られたデータを分析してより効果の大きい施策に集中投資しようと考えています。

また、データ分析でいうと、アンケートコメントの学生の声の分析なども実施しています。学生の皆さんに持って欲しいイメージの単語がアンケートで何回入っているかなども計測したりしています。例えば、サイバーエージェントの事業をつくる力を学生に知って欲しかった時には、「事業」という単語が何回出現しているかなどですね。データを活用して良い体験を設計していきたいです。

強さの秘訣はカルチャーと、徹底した候補者視点の体験設計

ーサイバーエージェントの採用力のコアは何だと考えますか?

まずは、よい人をみんなで採用するというカルチャーが浸透していることです。経営陣をはじめ社員全員が採用の重要性を理解しています。

ふたつ目に、まずやって、学んで、改善するというPDCAサイクルを採用活動でも取り入れています。イベントのオンライン配信も、はじめは採用チームの誰も動画配信方法を知らなかったですが、社内の他の部署に聞いて勉強し、初回から自分たちだけで開催しました。

また、あらゆる採用のフローにおいてユーザー視点での体験設計を行っています。その際、学生を主語に「何ができればOKなのか」というゴールを最初に決めるようにしています。例えば「参加した学生が、何を得られるとよいか?」「参加した学生が、終わった後にどのような気持ちになっているのが理想か?」と言語化しています。

また学生の価値観や求めることも年々変わっています。学生のことは、内定者など学生自身の方が分かっている、と感じることもあります。例えばインスタグラムの運用でも、内定者の考えたコンテンツの方が反応がいいんです。人事のおすすめ本紹介でも「え?これがウケるの?」って(笑)。学生が求めているものを正しく知ることが大事だなと痛感しています。もちろんKPI設定や目標の整理は担当人事が行いますが、企画考案やクリエイティブの制作等は内定者主導で動かしたりしています。

ーなぜ学生視点での体験設計にこだわるんですか?

採用活動で接点を持った学生には、選考結果にかかわらず全員にファンになってもらえることを目指しています。将来的な顧客になりえますし、選考を受けた体験はクチコミで広がる時代です。先輩の紹介でとか、クチコミがきっかけで学生が興味を持ってくれていることを実感しています。逆に、せっかく来てくれた学生の体験を損ねるのは、学生にとっても、採用担当にとっても、企業にとっても良くない。誰も得しないですよね。損しかないです。

動画化による効率化ができたので、新しくやりたいことが多すぎて困っている状況です。今後も採用を通してサイバーエージェントの正しい姿が伝わる体験をつくっていきます。

ーありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?