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【読む食事🍽️】ラーメン・スタンド・バイ・ミー

忘れられないラーメンがある。
中央線の武蔵境駅から徒歩5分ほどの場所に、そのラーメン屋はあった。店のドアを開けると、とんでもなく濃厚な豚骨の匂いがぶつかってくる。券売機で食券を買ってカウンターでしばらく待てば、ペーストに近い豚骨スープのラーメンが運ばれてくる。麺を啜ればガツンと来る豚の旨み、焼豚を頬張ればとろとろ。それが千円出してお釣りが来るリーズナブルさだった。
私は1年4か月にわたって日本一周をしたことがある。その過程で美味しいものをいろいろ頂いたが、懐に余裕のない旅人にとって、ラーメンは安く、美味しく、かつご当地グルメとして頂けるうってつけの食事だった。今回はその中から、特に印象に残ったラーメン10種類を紹介していきたい。

①勝浦タンタンメン〈千葉県勝浦市〉

激辛だと思って身構えていたが、辛味と旨味が1対1でぶつかってくる絶妙なバランス。
挽き肉の脂と玉葱も旨味とコクに手助けをしていて、もう一度食べたくなるような逸品だった。

えびね

②小豆島ラーメン〈香川県土庄町(とのしょうちょう)〉

このラーメンには、小豆島特産の醬油・醬(ひしお)が使用されている。もろみの酸味、炙り焼豚の香ばしさも加わり、思わず舌鼓を打ってしまう逸品。
この醬油は主に島の東部で生産されており、このエリアは「醬の郷」と呼ばれている。

小豆島ラーメンhishio   エンジェルロード店

③汁なし担担麺〈広島県広島市〉

広島には美味しいものがたくさんあるが、汁なし担担麺もその一つ。花椒(ホアジャオ)の刺激はハマったら最後、定期的に食べたくなる美味しさ。肉や葱、胡麻だれとのコンビネーションも言うことなし。

キング軒 本通店

④尾道ラーメン〈広島県尾道市〉

醤油ベースのスープに背脂が浮いているが、全くジャンキーではない。むしろ上品な香りと旨みを感じられる逸品。

尾道ラーメン壱番館 本店

⑤天理ラーメン〈奈良県奈良市〉

にんにくと唐辛子の入ったスタミナ系ラーメンで、白菜もたっぷり入って食べ応え抜群。醬油系のスープがコクを引き出し、細麺に絡んで旨味がどんどん押し寄せてくる。
スープを飲む手が止まらなくなるような、癖になる逸品。

彩華(さいか)ラーメン 奈良店

⑥富山ブラックラーメン〈富山県富山市〉

富山ブラックラーメンはなかなかのインパクト。その色はもちろん、醤油ベースで胡椒の効いたスープはジャンキー。コシのある麺やたっぷり入った焼豚もスープに負けない存在感を発揮しており、癖になる逸品。

西町大喜(にしちょうたいき) とやマルシェ店

⑦函館塩ラーメン〈北海道函館市〉

函館には美味しいものがいっぱいだが、塩ラーメンは特に印象的。スープが濃厚で、一口飲めば一瞬で虜になってしまう。

函館麺厨房あじさい 本店

⑧札幌味噌ラーメン〈北海道札幌市〉

味噌の香りとコクが絶品。味噌は数種類をブレンドし、そこに豚骨・鶏・鰹節のパイタンを掛け合わせているそうで、旨味が後から後から押し寄せてくる。麺の歯切れもよく、焼豚もとろとろで美味しかったので、死角はない。

麺屋雪風 すすきの本店

⑨旭川醬油ラーメン〈北海道旭川市〉

少し酸味のある醬油ベースのスープは豚骨の脂で覆われており、これらの掛け合わせによって味と香り、コクが何倍にもなる。絶妙なバランスが美味しい逸品。

らーめんや天金 四条店

⑩弟子屈ラーメン〈北海道弟子屈町(てしかがちょう)〉

魚介しぼり醬油ラーメンを頂いたが、これが絶品。ホタテの貝柱を始めとする魚介や野菜を裏ごしで絞り上げているそうで、粗めの食感と複雑な旨みが堪らない。焼豚も厚切りで炙り立て。オリジナルスパイスが濃厚なスープのアクセントになる。

弟子屈ラーメン 弟子屈総本店

私の忘れられないラーメン屋は、もう閉店している。そして、たとえ今も営業していたとしても、もうあのラーメンは食べられないかもしれない。あの濃厚な豚骨ラーメンは、きっと10年前の若かりし胃でなければ、受け止めることができないだろう。
あの頃東京に住んでいた私は、今地元で働いている。地元にも美味しいラーメンがある。あっさり醬油ラーメン、塩中華ラーメン、鶏白湯ラーメン、他にもたくさんある。諸行無常の世の中で、ラーメンという存在自体は、いつも私の、あなたの側にいる。

※写真は全て筆者撮影

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