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【読む旅路👣】日本の世界遺産(ほぼ)踏破してみた!〈前編〉

現在、世界遺産は全部で何件登録されているかご存知だろうか。その総数は1,199件に上り、今後も世界遺産登録に向けた取り組みは全世界各地で行われていくと思われる。
そのうち、日本の世界遺産は25件。これだけ見ると少ないように思えるが、登録件数ランキングで日本は11位に位置しており、アジアでは中国、インド、イランに次いで4番目の件数となっている。

私は1年4か月にわたって日本一周をしたことがある。その旅路を振り返ってみれば、全25件のうち23件、92%の世界遺産を網羅していた。
そこで今回は、実際に訪問した日本の世界遺産について紹介していきたい。なお、世界遺産は複数の建築物等によって構成されていることもあり、その場合は訪問した構成資産に◎を付している。

(1)法隆寺地域の仏教建造物[1993年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・法隆寺〈奈良県斑鳩町〉◎
・法起寺〈奈良県斑鳩町〉◎

法隆寺は世界最古の木造建築群。飛鳥時代に建造された五重塔や金堂など、数々の国宝が保存されている。
五重塔等がある西院伽藍に対して東院伽藍も存在し、伽藍中央にある建つ夢殿には、聖徳太子によく似た秘仏・救世観音像が安置されている。また、境内にある大宝蔵院では、玉虫厨子や百済観音を始めとする国宝がずらりと並んでいる。

法隆寺 五重塔

(2)姫路城[1993年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・姫路城〈兵庫県姫路市〉◎

最も早くに登録された日本の世界遺産の一つである姫路城。別名を白鷺城といい、その由来となった白亜の漆喰には圧倒的な優美さを感じる。高い石垣の上に作られた天守の存在感も言わずもがな。
他にも居住と防御の役割を兼ねる「百間廊下」、姫路駅へと真っ直ぐ延びていく大手町通りなど、圧巻の見所がいくつもあり、かつての西の要塞として風格を放っている。

姫路城

(3)屋久島[1993年記載]

種別…自然遺産
登録区域
・鹿児島県屋久島町

屋久島の深い森の中に佇む縄文杉。そこまでの道程は往復22km(9時間)と決して楽ではないが、その果てにある老木には有無を言わせぬ威厳を感じる。
他にも道中数々の巨木を見かける。中でもウィルソン株は中が空洞になっており、そこに入ることができる。
片道11kmのうち8kmは、もともとトロッコの線路だったものを歩道として使っている。岩の間を通り抜けたり、端から豪快な川を見下ろしたり、シンプルながらスケールの大きな風景を眺めることができる。

縄文杉

(4)白神山地[1993年記載]

種別…自然遺産
登録区域
・青森県深浦町
・青森県鯵ヶ沢町
・青森県西目屋村
・秋田県藤里町

白神山地にはいくつかのトレッキングコースがあるが、今回は十二湖コースを訪問。紺色の池には靄がかかり、その合間から底に沈んだ木が垣間見えて、水面の境界が曖昧になっているように見える。
ぶなの原生林も鬱蒼と茂っていて、静かに香りを放ちながら包み込んでくれる。森全体がとても神秘的。

十二湖

(5)古都京都の文化財[1994年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・上賀茂神社〈京都府京都市〉
・下鴨神社〈京都府京都市〉
・教王護国寺(東寺)〈京都府京都市〉
・清水寺〈京都府京都市〉◎
・延暦寺〈滋賀県大津市・京都府京都市〉◎
・醍醐寺〈京都府京都市〉
・仁和寺〈京都府京都市〉
・平等院〈京都府宇治市〉
・宇治上神社〈京都府宇治市〉
・高山寺〈京都府京都市〉
・西芳寺〈京都府京都市〉
・天龍寺〈京都府京都市〉
・鹿苑寺(金閣寺)〈京都府京都市〉
・慈照寺(銀閣寺)〈京都府京都市〉
・龍安寺〈京都府京都市〉◎
・本願寺(西本願寺)〈京都府京都市〉
・二条城〈京都府京都市〉

どの国においても古都(Ancient City)は見応えがあり、もちろん京都も引けを取らない。特に清水寺や金閣寺、平等院、二条城などはインバウンドの認知度も高く、オーバーツーリズムが叫ばれるほどである。
それらに比べると、今回訪れた龍安寺は比較的観光客が少なく、禅の世界にゆったりと浸れる。その石庭は特に有名で、枯山水の極致とも評されるそのシンプルさには、解釈によって世界が広がる。
石庭だけではなく、どこを切り取っても美しいのが龍安寺。若草色の楓並木、池に映る本堂、ブーケのような八重桜と、そこには古都の矜持が香る。

龍安寺 石庭

(6)白川郷・五箇山の合掌造り集落[1995年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・白川村荻町地区〈岐阜県白川村〉◎
・平村相倉地区〈富山県南砺市〉◎
・上平村菅沼地区〈富山県南砺市〉◎

富山県側に位置する五箇山は、相倉集落と菅沼集落が世界遺産に登録されている。最も特徴的な茅葺き屋根の頂点は約60°と急傾斜。その屋根裏(アマ)では養蚕が行われていたため、風通しが良くなるよう窓が設けられている。
相倉集落は向こう側に北アルプス、菅沼集落はすぐ側に庄川と、奥深い自然に囲まれた五箇山は、ささらと呼ばれる竹製の伝統楽器を使った「こきりこ節」など、独特な文化を発展させてきた。
そんな集落には、少数ながら今も人が住んでいる。

五箇山 相倉地区

(7)原爆ドーム[1996年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・原爆ドーム〈広島県広島市〉◎

原爆ドームは、もともと広島物産陳列館として建築された美しい建物だった。そのままの姿で現代に残っていれば、きっと違った形で広島のシンボルになっていたかもしれない。
広島平和記念資料館も訪問。あまりの凄惨さ、残された言葉の悲痛さに、胸がいっぱいになり全てを受け止めることができなかった。街中を包む炎の赤、空から降る雨の黒、放射能に侵された人の肌に浮き出た斑点の紫。そんな強烈な色が脳裏に焼きついている。

原爆ドーム

(8)厳島神社[1996年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・厳島神社〈広島県廿日市市〉◎
・厳島〈広島県廿日市市〉◎

天橋立、松島と並ぶ日本三景・宮島。そのシンボル的な存在の厳島神社大鳥居は、干潮の際には鳥居の逆側から本殿を眺めることができる。鳥居も本殿も朱色が眩しいくらいに映えており、全体が御神体とされている宮島の霊力を一挙に集めているかのよう。
鹿もたくさんいたが、テンションは低め。その静けさとバランスを取るように、修学旅行中の高校生が元気に燥いでいた。

厳島神社 大鳥居

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※写真は全て筆者撮影。
※世界遺産の登録件数は2023年時点。

参照サイト
・世界遺産オンラインガイド
・日本の世界遺産一覧(文化庁)

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