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【読む旅路👣】日本の世界遺産(ほぼ)踏破してみた!〈後編〉

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(17)富士山-信仰の対象と芸術の源泉[2013年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・富士山域〈山梨県富士河口湖町など〉◎
・富士山本宮浅間大社〈静岡県富士宮市〉
・山宮浅間神社〈静岡県富士宮市〉
・村山浅間神社〈静岡県富士宮市〉
・須山浅間神社〈静岡県裾野市〉
・冨士浅間神社〈静岡県小山町〉
・河口浅間神社〈山梨県富士河口湖町〉
・冨士御室浅間神社〈山梨県富士河口湖町〉
・御師住宅(旧外川家住宅)〈山梨県富士吉田市〉
・御師住宅(小佐野家住宅)〈山梨県富士吉田市〉
・山中湖〈山梨県山中湖村〉◎
・河口湖〈山梨県富士河口湖町〉◎
・忍野八海〈山梨県忍野村〉◎
・船津胎内樹型〈山梨県富士河口湖町〉
・吉田胎内樹型〈山梨県富士吉田市〉
・人穴富士講遺跡〈静岡県富士宮市〉
・白糸ノ滝〈静岡県富士宮市〉◎
・三保松原〈静岡県静岡市〉◎

世界文化遺産・富士山の構成遺産は多く、大きく以下の三つに分類される。
①神社②登山道③巡礼地(湖など)

特に③巡礼地は湖と富士山の組み合わせを味わえる。富士五湖越しの富士山はもちろんのこと、忍野八海の清水と富士山のマリアージュも圧倒的。そこには度々噴火を繰り返してきた富士山への畏怖と、清浄な湧水を齎す富士山への信仰がある。

河口湖畔から見る富士山

(18)富岡製糸場と絹産業遺産群[2014年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・富岡製糸場〈群馬県富岡市〉◎
・田島弥平旧宅〈群馬県伊勢崎市〉
・高山社跡〈群馬県藤岡市〉
・荒船風穴〈群馬県下仁田町〉

明治時代になって世界的な生糸の需要が急激に伸び、品質安定のために国家レベルの急務で進められた富岡製糸場の建設。不揃いな煉瓦からは当時の苦労が伝わってくる。
蚕が繭を作り、繭から糸を作るその過程の繊細さ、その作業を機械化したことの価値、様々勉強になる。

富岡製糸場

(19)明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業[2015年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・萩反射炉〈山口県萩市〉◎
・恵美須ヶ鼻造船所跡〈山口県萩市〉◎
・大板山たたら製鉄遺跡〈山口県萩市〉
・萩城下町〈山口県萩市〉◎
・松下村塾〈山口県萩市〉◎
・旧集成館〈鹿児島県鹿児島市〉◎
・寺山炭窯跡〈鹿児島県鹿児島市〉
・関吉の疎水溝〈鹿児島県鹿児島市〉
・韮山反射炉〈山梨県伊豆の国市〉◎
・橋野鉄鉱山〈岩手県釜石市〉
・三重津海軍所跡〈佐賀県佐賀市〉
・小菅修船場跡〈長崎県長崎市〉
・三菱長崎造船所第三船渠〈長崎県長崎市〉
・三菱長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン〈長崎県長崎市〉
・三菱長崎造船所旧木型場〈長崎県長崎市〉
・三菱長崎造船所占勝閣〈長崎県長崎市〉
・高島炭坑〈長崎県長崎市〉
・端島炭坑〈長崎県長崎市〉◎
・旧グラバー住宅〈長崎県長崎市〉◎
・三池炭鉱・三池港〈福岡県大牟田市・熊本県荒尾市〉
・三角西港〈熊本県宇城市〉
・官営八幡製鐵所〈福岡県北九州市〉
・遠賀川水源地ポンプ室〈福岡県中間市〉

明治日本の産業革命遺産は、九州および山口県を中心に全国に遺構などが保存されている。今回は特に印象的だった三つ①松下村塾②反射炉③炭坑…について紹介したい。

①松下村塾は伊藤博文や木戸孝允を始め、明治維新以降に活躍した人物が学んだ場所。見た目は小ぢんまりとした家だが、ここが日本の文明開花の源流となっている。
②反射炉のうち、現存しているのは萩反射炉と韮山反射炉の二つ。当時最強の兵器だった大砲を製造するにあたり、銑鉄を溶かせる反射炉は必要不可欠だった。
③炭坑の中でも端島(軍艦島)炭坑は有名。かつて炭鉱の島として栄えた軍艦島は、今や打ち捨てられて廃墟となり、長崎半島の西側に静かに浮かんでいる。最盛期の人口は5,300人(当時の東京都の9倍の人口密度)で、小中学校もあり賑やかな島だったそうだが、建物は風雨に晒されて、往時の活気は見る影もない。

端島(軍艦島)

(20)ル・コルビュジエの建築作品 近代建築運動への顕著な貢献[2016年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・国立西洋美術館〈東京都台東区〉
★未訪問

国立西洋美術館は、7か国(日本、フランス、アルゼンチン、ベルギー、ドイツ、インド、スイス)にまたがる「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」の構成資産の一つ。

(21)「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群[2017年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・宗像大社沖津宮〈福岡県宗像市〉
・宗像大社沖津宮遙拝所〈福岡県宗像市〉
・宗像大社中津宮〈福岡県宗像市〉
・宗像大社辺津宮〈福岡県宗像市〉◎
・新原・奴山古墳群〈福岡県福津市〉

宗像三女神を祀る宗像大社では、4世紀後半から9世紀末にかけて、航海安全に関わる祭祀を行っており、自然崇拝の歴史を現在に伝えている。
宗像市の遥か沖合いに浮かぶ孤島・沖ノ島からは、銅鏡や金製指輪などが綺麗な状態で発掘されており、九州本土にある辺津宮に展示されている。その煌めきは一見の価値がある。

宗像大社辺津宮 神宝館に所蔵される銅鏡

(22)長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産[2018年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・原城跡〈長崎県南島原市〉◎
・平戸の聖地と集落〈長崎県平戸市〉◎
・天草の﨑津集落〈熊本県天草市〉◎
・外海の出津集落〈長崎県長崎市〉
・外海の大野集落〈長崎県長崎市〉
・黒島の集落〈長崎県佐世保市〉
・野崎島の集落跡〈長崎県小値賀町〉
・頭ヶ島の集落〈長崎県新上五島町〉◎
・久賀島の集落〈長崎県五島市〉
・奈留島の集落〈長崎県五島市〉
・大浦天主堂〈長崎県長崎市〉◎

キリシタンの歴史は、①潜伏の開始②信仰実践の試み③共同体の維持④潜伏の終焉…の四つに大きく分けられる。

①潜伏の開始のきっかけとなったのが、原城跡での天草・島原一揆。その後②信仰実践の試みとして、本土各地では貝などの身近なものを信心具とするなど、多様な信仰が行われていた。1800年頃から③共同体の維持のため、キリシタンは離島に集団移住を開始する。そして大浦天主堂にて、宣教師とキリシタンが接触(信徒発見)し、④潜伏の終焉を迎える。
禁教から解禁までおよそ260年。そこには信者の敬虔さと、弾圧の凄惨さが窺える。

頭ヶ島天主堂

(23)百舌鳥・古市古墳群[2019年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・反正天皇陵古墳〈大阪府堺市〉
・仁徳天皇陵古墳、茶山古墳、大安寺山古墳〈大阪府堺市〉
・永山古墳〈大阪府堺市〉
・源右衛門山古墳〈大阪府堺市〉
・塚廻古墳〈大阪府堺市〉
・収塚古墳〈大阪府堺市〉
・孫太夫山古墳〈大阪府堺市〉
・竜佐山古墳〈大阪府堺市〉
・銅亀山古墳〈大阪府堺市〉
・菰山塚古墳〈大阪府堺市〉
・丸保山古墳〈大阪府堺市〉
・長塚古墳〈大阪府堺市〉
・旗塚古墳〈大阪府堺市〉
・銭塚古墳〈大阪府堺市〉
・履中天皇陵古墳〈大阪府堺市〉
・寺山南山古墳〈大阪府堺市〉
・七観音古墳〈大阪府堺市〉
・いたすけ古墳〈大阪府堺市〉
・善右ヱ門山古墳〈大阪府堺市〉
・御廟山古墳〈大阪府堺市〉
・ニサンザイ古墳〈大阪府堺市〉
・津堂城山古墳〈大阪府藤井寺市〉
・仲哀天皇陵古墳〈大阪府藤井寺市〉
・鉢塚古墳〈大阪府藤井寺市〉
・允恭天皇陵古墳〈大阪府藤井寺市〉
・仲姫命陵古墳〈大阪府藤井寺市〉
・鍋塚古墳〈大阪府藤井寺市〉
・助太山古墳〈大阪府藤井寺市〉
・中山塚古墳〈大阪府藤井寺市〉
・八島塚古墳〈大阪府藤井寺市〉
・古室山古墳〈大阪府藤井寺市〉
・大鳥塚古墳〈大阪府藤井寺市〉
・応神天皇陵古墳、誉田丸山古墳、二ツ塚古墳〈大阪府羽曳野市〉
・東馬塚古墳〈大阪府羽曳野市〉
・栗塚古墳〈大阪府羽曳野市〉
・東山古墳〈大阪府藤井寺市〉
・はざみ山古墳〈大阪府藤井寺市〉
・墓山古墳〈大阪府羽曳野市〉
・野中古墳〈大阪府藤井寺市〉
・向墓山古墳〈大阪府羽曳野市〉
・西馬塚古墳〈大阪府羽曳野市〉
・浄元寺山古墳〈大阪府藤井寺市〉
・青山古墳〈大阪府藤井寺市〉
・峯ヶ塚古墳〈大阪府羽曳野市〉
・白鳥陵古墳〈大阪府羽曳野市〉
★未訪問

本世界遺産は、堺市内に広がる百舌鳥古墳群(22か所)と藤井寺市・羽曳野市両市内に広がる古市古墳群(26か所)によって構成される。

(24)奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島[2021年記載]

種別…自然遺産
登録区域
・鹿児島県奄美市(奄美大島)
・鹿児島県大和村(奄美大島)
・鹿児島県宇検村(奄美大島)
・鹿児島県瀬戸内町(奄美大島)
・鹿児島県徳之島町(徳之島)
・鹿児島県天城町(徳之島)
・鹿児島県伊仙町(徳之島)
・沖縄県国頭村(沖縄島北部)
・沖縄県大宜味村(沖縄島北部)
・沖縄県東村(沖縄島北部)
・沖縄県竹富島(西表島)◎

本世界遺産は①奄美大島②徳之島③沖縄島北部④西表島…の4島より構成される。このうち今回は④西表島を訪問。
西表島の浦内川では、大自然に分け入る本物のジャングルクルーズを楽しめる。川岸には立派なリュウキュウマツ。マングローブもびっしり。浦内川のマングローブはほとんどがオヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギの3種類で構成されているそう。
上流船着場に着いたらジャングルトレッキング。湿度の高い森の中を抜けると、そこには巨大なカンピレーの滝が流れている。水に足を浸すと、歩いてきた疲れが一瞬で癒えるようだった。

西表島 浦内川

(25)北海道・北東北の縄文遺跡群[2021年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・太平山元遺跡〈青森県外ヶ浜町〉
・垣ノ島遺跡〈北海道函館市〉
・北黄金貝塚〈伊達市〉
・田小屋野貝塚〈青森県つがる市〉
・二ツ森貝塚〈青森県七戸町〉
・三内丸山遺跡〈青森県青森市〉◎
・大船遺跡〈北海道函館市〉
・御所野遺跡〈岩手県一戸町〉
・小牧野遺跡〈青森県青森市〉
・入江貝塚〈北海道洞爺湖町〉
・伊勢堂岱遺跡〈秋田県北秋田市〉
・大湯環状列石〈秋田県鹿角市〉
・キウス周堤墓群〈北海道千歳市〉
・大森勝山遺跡〈青森県弘前市〉
・高砂貝塚〈北海道洞爺湖町〉
・亀ヶ岡石器時代遺跡〈青森県つがる市〉
・是川石器時代遺跡〈青森県八戸市〉

本世界遺産は北海道南部、青森県、秋田県北部、岩手県北部に広がっている。今回は青森県の三内丸山遺跡を訪問。
開放的な草原の中に、竪穴式住居や掘立柱建物が佇んでいた。5000年前の遺構が今も残っているとなると、昔の人もこうして夏を感じていたのかもしれないと、遠い過去に思いが馳せられる。まさに縄の文様を施された縄文土器も多数展示されていた。

三内丸山遺跡

以上25件に及ぶ日本の世界遺産を振り返ってきたが、いかがだろうか。よほど熱心に勉強していない限り、知らなかった世界遺産や構成資産も多くあるのではないかと思う。しかしそこにも漏れなく、豊かな自然や歴史が保存されている。そこに漂う美しさ、はたまた生々しさを、ぜひ肌で感じていただきたい。

※写真は全て筆者撮影。
※世界遺産の登録件数は2023年時点。

参照サイト
・日本の世界遺産一覧(文化庁)

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