契約書レビューはペーパーレスになるのか?
皆さん、こんにちは🙋♂️
緊急事態宣言が全国的に解除され、「with コロナ」の時代に突入しました。
電子契約もかなり注目されてきている中で、契約書に関する業務の本丸は、あくまで法務の皆様のレビューです。
そんな中で皆様は、一体どのように契約審査をされていたのか、ふと疑問に思い、Twitter上でアンケートを取ってみました。
アンケート結果
結果はこちらの通りになりました↓
「ほぼ毎回紙に出力する」方が40%近くを占める結果!
一方で「ディスプレイ上で殆どレビューする」という方も3割を超えています。
ただ、こちらは昨今の在宅ワークの影響で、流石に家で全部プリントアウトするのは辛い、または会社が自宅でのプリントアウトを禁止している、といった事情から、やむを得ずディスプレイ上でレビューしているというケースが非常に多いことが、頂いたリプライからは予想されました。
紙でないと、ミスは見つからないは本当か?
ディスプレイ上でレビューをしている方から、「慣れれば行ける!」という声もある一方で、非常に多く頂いたのが「紙の方がミスを見つけられる」というご意見でした。
この「紙の方がミスを見つけられる」という点については、一定の科学的根拠があるようです。
まず、2013年にトッパン・フォームズ株式会社が実施した研究結果によれば、紙の方が情報理解に適しているということが導き出されています。
実に、もう7年も前のことなんですね。
更にその後、情報処理学会の2015年の研究報告『表示媒体の違いが誤りを探す読みに与える影響』(松山麻珠、池内淳)によると、「液晶ディスプレイより紙の方が作業効率・主観評価共に高い」と結論付けられています。
ただし、同報告には「媒体に対する慣れが、負荷の高い読みを行う場面での作業効率の差に影響すると考えられる」ともあり、「慣れれば行ける!」とのご意見も一定の根拠がありそうです。
とはいえ、リスクをもれなく発見するということを求められる法務としては、上記の研究結果に鑑みれば、少なくとも現状では紙でレビューするということが望ましいように思われますね!
紙でしかできない、という難点
かくいう私も、法務の時代は長らく「紙でチェック派」でした。
私の場合は、子供の頃から?紙をどうしてもペンで文をなぞるスタイルが集中を高める習慣になっていたためです。
ただ、法務として勤めていた最後の1年程度は、ディスプレイでの審査頻度が上がりました。
理由としては、国内外の出張がちょくちょくある中で、紙でないとレビューできないということが、業務の進行を阻害する可能性が出てきたことがありました。
私の場合は、やや特殊な例かなとも思いますが、今回の在宅ワークへの移行は、ディスプレイ上でも「紙の場合と同様のクオリティでレビューしなければならない」という課題が、法務パーソンに与えられた出来事だったと思われます。
ディスプレイでの契約書レビュー
上記の問題意識から、当時私は、ディスプレイをなるべく紙に近づけてディスプレイ上でもレビューできるように訓練?していました。
(前述した研究報告でも、「慣れ」で作業効率が変わる可能性に言及されていたので、意外に間違ってなかったかなと…)
◆オフィスでのレビュー
オフィスでは、運よくセカンドディスプレイを与えて頂いたので、こちらを縦置きにしていました!
これにより、通常縦長の契約書の1ページが、ファーストビューに収まるので、多少紙に近い状況にできたと思います。
◆出張先などでのレビュー
出先ではiPad ProとApple Pencilを使っていました。
こちらは、ペーパーライクフィルムを使うことで、気になった点をメモするといった場面では、かなり紙に近い使用感を実現できていたかと思います。
懸念点などをメモ書きする場合には、皆さんご存知のGoodNotesやNotabilityを使っていました。これらのアプリの比較に関しては、詳しい記事がたくさんあるので、今回は割愛します。
最後に
冒頭のアンケート結果や上述の研究報告からしても、契約書レビューから紙が一掃されることはないのかもしれません。
他方で、個人的にはディスプレイ上でのレビューにも慣れておくということも必要なのかなと考えています。
勿論、ディスプレイを長時間眺めることで、眼に疲れが溜まるのも間違いないので、ここは個々人の体調に合わせてということになりますね(私もブルーライトカットフィルムと光の強さの調節は、常に大事にしていました)。
最後になりますが、今回Twitter上のアンケートにご協力頂いた、557名の皆様、ありがとうございました!!
(画像提供:freepik)
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