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目標に種類はあるか?

ことば遊びの「目標」

「あなたの人生の目標は何ですか?」「今月の営業目標は達成できたか?」「オリンピックに出場して金メダルを獲得するのが目標です。」「物価上昇率を2%目標に取り組んでいます。」「〇〇大学に入学することを目標に勉強しています。」「健康のため毎日1万歩、歩くのを目標にしています。」
 挙げればきりがありません。それらの「目標」は同じ意味で使われているでしょうか?夢に近いものとして「到達できればいいな」ぐらいの目標があります。努力は必要だが、相手やいろいろな条件があって努力だけでは達成できない目標もある。もう一方で努力すれば必ず達成できる目標もある。状況にあった場面で使わないと単に夢を語っているだけか、と思われてしまう。

目標に追われる

 人生において至る所に目標というハードルがある。自ら課したものもあれば半ば強制的に課されたものもある。いずれにしても縛られ、追いかけられ、強迫観念に付きまとわれる。だったら一層のこと目標を持たなければ楽に生きていける、という天の邪鬼もいると思うが世間はそうはさせてくれない。中には目標があったから成功した、という人もいるだろうが希少である。目標達成には努力という苦痛が必要に思われるが、他人からは努力しているように見えても本人はそんなつもりもないことがある。また、努力しなくて達成することも珠にある。

目標の達成と未達

 1万歩を歩くことを目標にしていたが、9,999歩で目標は未達に終わった。入試合格を目標にしていたが、不合格になったので目標は達成できなかった。未達は未達でどちらも未達であることに違いはない。
 次は達成した場合の例。前者は10,001歩で達成。後者は合格したので達成。達成は達成でどちらも同じ努力の成果だ。
 では、見方を変えてみよう。9,999歩と10,001歩を比較しての歴然とした優劣の差とし達成、未達を置き換えられるか。入試の場合は不合格と合格の違いは決定的な優劣の差として達成、未達が同義をなす。
 目標の達成度を検証できるものとできないものがあることがわかる。すなわち、99.9%目標に近づきあと1歩で達成できなかった、あるいは、目標を1歩オーバーして達成できた、と検証できるものがあるが、後者の入試合格を目標にしたものは、そういう検証はできない。

目標と夢

億万長者になる夢、プロスポーツ選手になる夢、作家になる夢、ノーベル賞を受賞する夢、夢を持つのもそれを語るのも自由だ。私の目標は億万長者になること、目標はプロスポーツ選手になること、など夢を目標に変えただけの文であるが、同一の意味とも取れる。全く違うとも言える。ある成功した人は夢を追ったことはないと言い切った。目標を持って努力してきただけだと。英語で言うと、dreamとtarget、似ても似つかない言葉・意味に気づく。

目標設定の基本

 自力・実力・自らの努力で達成できない目標を設定すべきでない。設定したところで意味がない。達成しなくても、いくらでも言い訳できてしまう。
 日銀は2%の安定的な物価上昇を目標としてきた。周知の事だが戦争の関係で物価高騰、何年も日銀がもがいてきた目標はあっけなく達成。日銀は2%の数値目標を達成したことについて、目標としたのは安定的な物価上昇の2%であって一時的は物価上昇に対する目標ではない、と言い訳した。では、今後その目標を達成する手段、方策があって確実に目標を達成できるのか、はなはだ疑問。物価上昇率をコントロールできない機関がそれを目標にするのは無理がある、というより意味がない。

正しい目標設定

 前項の設定の基本から考えると、競技、競争試験については競争相手があることなので、努力して実力を100%出したところで目標を達成できない場合がある。だから諦めろというのではない。目標の設定方法が間違っているだけだ。よく「結果がついてくる」という言い方をするが、努力で達成する目標とその結果に分けて考える、考え方である。結果というのが目的であり、目的を達成するための手段を目標とする。例えば、目指す入試合格のため、毎日3時間勉強することを目標にする。目標を達成すれば入試合格が結果として与えられる。そこには因果関係があることが必須となる。悪い例として、入試合格のため、早起きをして勉強することを目標とする、これは早起きと入試合格に必要な学力向上の因果関係がないので目標にしない。

はびこる似非目標

 先人は間違った目標設定について次のように言った。絵に書いた餅、取らぬたぬきの皮算用、単なる希望、夢物語、など。自分自身が設定した目標について目標という言葉を使っているが、中身が目標になっていないものはないか確認する必要がある。自分の目標であれば修正も簡単であるが、世間に流布されたものはそうはいかない。特に政治家や行政から発する目標については時として似非目標がある。

目標の種類

 この記事の主題である「目標に種類はあるか」であるが、結論を言えば分類の仕方で何種類もある。ただし、間違った設定と間違った使い方を除けば、目標に種類はない。



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