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朝活

A:最近、寝不足なのよ。
B:あらま。お忙しいようで。
A:だいたい4時間ちょっとしか寝れてないんです。
B:結構短いですね。
A:これから中年になってくるでしょ。そう考えたら心配だわー。
B:そうだねえ。でも俺なんかは、いつも5時起きだけどね。
A:5時?すごいじゃん。「朝活」てやつ?
B:いや別に。
A:じゃあ、何してんの?
B:特に。え、いや。何も。
A:え、じゃ何で5時に起きてんの?
B:そりゃ、5時に起きたいからでしょ。
A:いやいやいや。意味わかんない。
B:ええ?
A:5時に起きて、それじゃ会社は何時に行くの?
B:9時すぎぐらいかな。
A:4時間もあんじゃん!何してんの?
B:そりゃまあ、歩いたり本読んだりいろいろだよ。
A:あそう。いや、それ立派な「朝活」じゃん。
B:ちがうちがうちがうちがう!!
A:そんなに否定するなよ。「朝活」の何がイヤなの。
B:俺は純粋に、朝の5時に起きたいだけ!
A:何だよそれ。
B:なんかさ、5時って、起きておかなきゃもったいなくない?
A:そんなことないでしょうよ。
B:4時はまだ寝てたいし、6時は「5時に起きよう!」と思っていた自分に負けた感じするし。
A:何だよその感覚。
B:わかんないかなあ。
A:意味ないでしょ、それ。そもそも寝るのは何時なの?
B:それは次の日の予定次第だけど……だいたい3時には寝てるかな。
A:……え、2時間しか寝てないの!?
B:アホか、そんなことないよ。
A:いやいやいや、3時に寝て5時に起きたら2時間でしょうが。
B:3、4、5……3時間寝てるよ。
A:3を入れちゃダメだろうが。
B:ほんとだ!
A:単純な計算もできないぐらい頭おかしくなってんじゃん。
B:ともかく俺は、5時起きスタイルを貫きます。
A:勝手にしろよ。
B:てことで、ぜひ君も実践してもらいたい。
A:俺も5時起き?
B:ぜひ。
A:いやだよ!
B:なんでだよ!
A:なんでだよて、100%そっちがおかしいから!
B:「恋人はきれいでいてほしい」とか「料理上手であってほしい」みたいな願望ってあるでしょ。
A:たしかにまあ、求めてしまうものはあるかもね。
B:そういう意味で、俺は相方に5時起きでいてほしいの。
A:ふざけんなよ。
B:えー、なんでさ。
A:5時は寝たいからに決まってんでしょうが。
B:だから寝るのは寝られるでしょうが。3、4、5のほら3時間も。
A:だから3入れんなっつの。6時間ぐらい寝なきゃダメなんだって。
B:そんなこと言ったら11時には寝なきゃだめじゃん。子供かよ。
A:5時起きを基準にすんなって。
B:えー、じゃあ君はいつも何時起きなの?
A:まあ、8時とか9時ぐらいかね。
B:おそっ。
A:普通だから。極めて普通。ちなみに、8時頃は何してんの?
B:さすがに俺だって8時は寝てる。
A:寝てんのかよ。
B:そりゃ、こちとら5時に起きてますから!一回寝させなさいよ!!
A:なんでわざわざ二度寝するために起きてんだよ。めんどくせえな。
B:身体壊しちゃ、元も子もないもの。
A:わかってんじゃん。
B:もう、いい年のおっさんだからね。
A:そう思うなら、家出る1時間前に起きてりゃ十分なんだよ。
B:それだと朝に歩く時間ないなあ。
A:散歩はしたいんだ。めんどくさ。
B:気持ちいいよー、朝日を浴びながらテクテク歩いてさ。
A:まあね、それはリフレッシュになるかもしれない。
B:「おはようございまーす!」「おはようございまーす!」
A:ああ、ご近所さんと挨拶して。
B:「今日は天気がいいですねー!」「そうですねー!」
A:大事ですからね、そういうの。
B:「チュンチュンチュン!」「チュンチュンチュン!」
A:小鳥やんなくていいだろ。
B:遅い時間に起きたら、映画観れないなあ。
A:忙しい朝にゆっくり映画観ようとは思わないけど。
B:なおさら、犬小屋なんてつくれないか。
A:平日の朝にDIYなんて考えもしないからね。
B:新宿から行けても国分寺かー。
A:何の話だよ。
B:ちょっと今日は朝出かけようかな、つってもそれぐらいが限度でしょ。中央線で30分とか。
A:行かないんだよ、朝っぱらから国分寺なんて。いや国分寺がどうこうって話じゃなくて、どうかしちゃってんのあなたですからね。
B:仕事ばっかりの生活でさ、人生の目的を見失ってんじゃないの?
A:そんな壮大な話?良いんだよ、平日は普通に仕事してればさ。
B:ていうか、そういうことでしょ。起きたら仕事で、帰ったら寝るだけ。
A:大きなお世話だよ。だいたい社会人なんてみんなそんなもんだろ。
B:夢を諦めないで!
A:そういう話でもなくて、違うんだって。趣味とかそういうのは、週末とかを有意義に使うんだよ。
B:ふーん。
A:そういや、週末は何してんの?
B:ほぼ1日中寝てるね。

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