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めぐり合わせのセリー

”すべてが空虚な不変性をもつ仕事に対する取るに足らぬ抵抗”の果てに、個人的経験として内在化された音楽の全体を追憶すること。
公共的な記憶があるのだとすれば、それは時間空間を超えて反復され生成された、苛烈に渦巻く「私たちの音楽」のうしおのさなかに見出すことができる。再び出逢うことを予想だにしていなかった一枚の写真を視界に見留めたときのような、なんとも定義しがたい興奮の底で、人は眠っていた自分自身とふと出会ってしまった感覚に似た言い知れぬ恐れと懐かしさに捉えられる。そうした希薄な不意打ちを体験した者たちがその動揺を表象するための唯一の手段として、仮初の「私たちの音楽」の名を以下に連ねる。


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