それでも建築をやる若者は増えない。
前回のノートで誰もが家を作るようになるという話をしました。
矛盾してますがそれでも建築をやる若者は増えないと思っています。
建築という分野における歴史から見た参入障壁はとても下がりました。
しかし、もっと参入しやすい領域がたくさん出てきているからです。
今回は建築業界が変わってきても結局参入者がなかなか増えない理由について書きたいと思います。
■建築をやる人が増えない理由
①生産コストが高い
②管理コストが高い
③拡散性が低い
■生産コストが高い
高い低いといってもこれは全て相対的なものなので必ず比較対象があります。今回の場合ライティングやデザイン、プログラミングといった実態のないソフトウェア産業です。
これらのソフトウェアに比べて建築は圧倒的に生産コストが高いのです。
もっというと、労働コストと金銭コストがソフト産業と比べてかかりすぎます。
そういった点で空間づくりに特別な想いを持った人じゃなければ単純に生産コストだけ考えるとソフト産業に流れる人は多いでしょう。
実際に僕自身も1年に1件以上のペースで自分たちの物件を作ってきましたが、その結果とても疲弊してしまいました。
■管理コストが高い
ソフト産業の管理はデータを守るだけで済みますが、建築は違います。
ハードを維持しなければなりません。
お金もかかるし、体力も使います。また時間も場合によってはかかってしまうことも多いです。
逆にいうと維持するということが価値にもなります。
つまり維持しにくいものを維持するということが価値になるのでその点は建築の優位性かもしれません。
■拡散性が低い
最後にソフトはSNSなどを通して拡散することにコストがかかりませんがハードを拡散することは現段階ではとても大変です。
もちろん、写真を撮ったり、VRにして没入空間を作るということもできますが、リアルな空間を広めようと思ったらきてもらうか、空間デザインを他の場所に移植するしかありません。
その点で拡散、共有の価値が高い若者の間で建築に対するハードルは下がっていかないと思います。
■最後に
それでも空間作りはおもしろいです。
人を没入させるには情報の密度で決まります。そして空間は視覚情報の多くを占めることができるのです。
だからこそ空間でしかできないことがあるということを再認識して、空間づくりに向き合っていく必要があると思っています。
おそらくこれからくる世界は生産性と流通性の発展により、ニーズの細分化とそれに従うサービスの多様化がどんどん起こります。
きっとその世界では今まで以上に一つ一つの物事を理解し、区別していかないといけません。それはより複雑で、より高度な社会です。
そんな中で自分は何を選択して、どんな未来に向かっていきたいのか?
という考え方を持っている人間だけがこの高度化されていく社会に適応していけると思っています。
少し話がそれてしまいましたが、建築をやるのが大変で、もしかしたらソフトウェアの方がいいという意見もあるかもしれませんが僕は空間づくりの可能性をもう少しだけ見てみたいと思っています。
ありがとうございます!引き続き頑張ります!