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告白された日の感情のゆらぎ

おととい告白のようなものをされた。

年始くらいに好きになった人からだったのだけれど、わたしはもう好きではなかった。

そもそも、当時その人には彼女がいたのであきらめたのであった。

「これからもデートをしたいです」

横顔に向かって放たれたその言葉に、わたしは、こうべをこれでもかと下げて、

「今日のようにご飯に行くことはできるけれど、デートには行けないです」

といった。
強がりでもなんでもなく、"サシでは会えるけれど、付き合いたくはない"という事実以外のなにものでもなかった。わたしはもうその人のことを好きではなかったし、嫌いでもなかった。ただ暇なときにどうでもいいラインを送れるちょうどいい人だと思っていた。ひどい人間かもしれない。

好きではなかったが、ちょうどいい人で嫌いではなかったので、すごく申し訳ない気持ちに襲われて、どうにか落ち込んだこの雰囲気を脱しなければと、嫌いなわけではないこと、今は仕事が楽しいことなどを弱々と説いた。

「いまは、必要以上に頼られたくないし頼りたくない、そういう関係性を求めていないんです」

と、言い終わらないかくらいに食い気味に、

「わかります」

と、わたしのことはすべてわかっているかのごとく、自分なりの解釈を話しはじめた。

驚いた。

序盤からものすごいスピードで間違う彼を制して、

「そんなにすぐにあなたにわかられるほど、わたしはあなたと時間を共有していません。だから、気安くわかるとかいわないでください。わたし以外の誰も完全にこの感情を理解できるはずがないので、訂正してください。

と、ぼそぼそとしっかりといえた。

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