見出し画像

「文学フリマ東京38」探訪記③/気まぐれ雑記

noteから作家デビューをはたした「せやま南天」さんのことを書こうと思っていたのですが、ちょっと順番を変えて、さきに別のことを記します。
というのは、せやまさんとのことを書くと、必然的にnoteでひごろ交流のある皆様のことを書くことになるのですが、今回、たくさんの人に会い過ぎたため『お祭り』記事になってしまいそう。
お祭りは最後に取っておきたいので、その前に、心に残ったトピックなどを書いておきます。

大阪であったあの人は元気そうだった

去年の文学フリマ大阪で、特に印象に残った人がいました。

たまたまブースが隣り合ったという「物書きセラピスト りな」さんと、北海道から参戦していた「札幌アンダーグラウンド」さんとの姉弟のようなやりとりは文フリならではの、偶然が生んだ人生の一コマでした。

今回、東京に来るにあたってWEBカタログで調べた情報では、お二人ともブースを出す予定と見えました。
りなさんはご自身のnoteでも出展をお知らせしていたので、伺う旨をお伝えしていましたが、アングラさんは連絡がつかず、果たしてどうしているのかと思いながら当日を迎えました。

先にアングラさんのブースの場所を見に行くと、長テーブルの上にはパイプ椅子が載っていて、彼の姿はありませんでした。
見渡せば周囲は人、人、人。
その一角だけ、時が止まっているかのように感じました。

……そうか、なにか事情があったのだな。そんなこともある……。
押し寄せる人ごみの中で20秒ほど立ち尽くした後、私は踵を返しました。

一方の「りな」さんは大阪でみかけた姿と変わらず、詰めかけるお客様に、にこやかに接客をしていました。
「お久しぶりです」と声をかけ、お土産を手渡すと、りなさんは手書きのお便りを渡してくれました。むう、この細やかな気遣いが接客のコツなのですね(^^)/

購入したのは新刊。セラピストとしての経験を踏まえての「恋愛相談」!

これは深みのある本!

札幌アンダーグラウンドさんのことは、特に話題には出しませんでした。それもこれもご縁。運命が導くのならば、またお二人が顔を合わせる日もあるでしょう。


ライター兼エッセイストになってたの!?

去年、文学フリマ大阪で出会い、12月の文学フリマ東京37でもご挨拶した「あやめし」さん。
なんと、8年務めた会社を辞め、ライター兼エッセイストになっていたそう。意思のあるところに道はできる。すごいことです。

だいじょうぶだよ、って私もいわれたいw

等身大の子育て短歌とエッセイ。
ああ。
世が求めているのは、こういう本なんだな。
ページをめくると愛らしいお子さんの写真。
ほのぼのとする短歌が、趣向を凝らしたレイアウトで記され、そこに込めた思いがエッセイとして綴られる。
むむう。
ユーザーのハートを掴むのは、こうしたコンテンツなのだ。

勉強になります。


イロモノに見えて、イロモノじゃない!

今回の文学フリマ東京38に向けて、注目ブースを調べているうちに見つけた「あー(もじのほう)」さん。ちなみに(えのほう)もご活躍です。

noteの有料記事でこんな記事を書かれていたのを見つけました。

なんかアホっぽい体験記事なのかな(スンマセン)、とバリバリ偏見を抱きつつ読んでみると、面白い。
なにより文章がうまい、と感じました。
自慢も自嘲もなく、主観であるはずの体験をどこか傍観者的な感覚でさらりと書かれている。有料部分が気になり、「これはむしろ買いに行こう」と思い立ったわけです。

なんだかんだバタバタして15時を過ぎてからブースをお訪ねすると、無人。隣のブースの女性が「ちょっとお出かけだから、戻られると思いますよ」と教えてくれました。
ではまたきます、と言い残して20分ほどたったころに戻ってみると、テーブルを片付けて帰り支度の女性の姿が……!どうやら「あー」さんらしい様子。
あわてて近寄ると、さきほどの隣の方が、
「あぁ、この方この方!」と声を上げてくれました。
「お話しながらちょっと時間稼いでおきました」とのこと。
いやはや、こういう方がいてくれるから日本は災害に強い。

お礼を申し上げて「あー」さんから2冊を購入。私もちょっとあわてていたので、お目当ての話がどの本に入っているか確認できていませんでしたが結果として一番欲しい本が買えました!

レトロ印刷の絵日記風の本も購入

「南の島 場末のスナックと透明な海」の中に、北海道の話も収録されていました。

煽情的になりがちなテーマであるにもかかわらず、淡々と。それでいながら、読者が知りたいポイントを逃さないセンス。
これはねえ、上質なルポルタージュですよ。レトロ絵日記の味わいとともに、大満足のコンテンツでした。

え、これで「筆を折ってる」の!?

事前のnote調査(w)で発見した方がもうひとり。
三谷朱花さんです。

note記事を拝読すると、WEBで小説を書いていたが去年筆を折った、とのこと。え、そりゃまたなんで?と思っていると「書きたくなくなった」そう。

それなのに文フリ参戦するんだーと思いつつ、お試しを拝読すると文章が上手い!
実力のある方は、地の文が上手い。
これだけ書ける……少なくとも私なんかより格段に腕がある……のに筆を折る。
人には人の事情がある。詮索はすまい。
だけど、この方の本は買って読みたい、と思いました。

装丁がオシャレ

「夏の記憶」の中のタイトル作「夏の記憶」を拝読。
長崎での「お盆」を体験する少年たち。
青春小説の香りを感じさせながら、ミステリーの要素を潜ませる構成が面白い。そして、終わり方の余韻。切れ味がいいですね。

「片側の熱量」も手に取ってめくってみる。
『バイク乗り』ならではと思われるロマンティックのエッセンス。
これはバイクのエッセイを書いていたgeekさんに読んでほしいな、と思いながら一旦、ページを閉じました。


「文学」の周辺には、様々な人がいて、様々な事情がある。
それぞれの思いで道を行く人たちの、詮索はすまい。
余計なことも言うまい。

ただ、「文学フリマ」という場にともにいたことを、文学が好きだという思いで集ったということを、噛みしめたい。


……いいでしょう?それで。

ご縁があるのなら、また会いましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?