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「銀河のヒータービーター」/前向き人生との出会い(気まぐれ雑記)

プラネタリウムに行ったことはあるだろうか。リクライニングシートに身を委ね、見上げる満天の星。心地のいい音楽とナレーションに、ついウトウトと・・・というのが『あるある』だろう。

だが、そんな『あるある』とは無縁な、むしろ、ワクワクドキドキが止まらないプラネタリウムがあったら、どうだろうか

プラネタリウムと演劇を合体させる。そんな無謀なことを、もう20年以上も続けている人たちがいるのである。

「雑貨団」という団体の存在を知ったのは、ちょうど西暦が21世紀に切り替わるころに流行した「個人ホームページ」での創作活動がきっかけだった。自分のページを立ち上げて、みようみまねの「小説もどき」を公開し、志を同じくする仲間を探し求めては、互いの掲示板を往来した。

4コマ漫画、文芸創作、旅の紀行文。当時、そうした創作仲間が集まってできた無数のサークルは、現在の「note」の原型でもあったのかもしれない。

そんな交流の中で知己を得たひとりが「雑貨団」主宰のKさんだった。Kさんが書き上げる作品は、いい意味で荒唐無稽。予定調和をぶち壊すエネルギーに加え、宇宙への愛と世間への野心に満ち溢れていた。

この人に会ってみたい。単純にそう思った。

雑貨団の活動エリアは当時、長野県と神奈川県。北海道から出向くには、少々勇気のいる選択だった。だが最終的には好奇心が勝り、北海道土産の「白い恋人」を手土産に、私は平塚市博物館での公演に足を運んだ。

プラネタリウムの舞台の中で、宇宙服を模した衣装のメンバーが賑やかに駆け回る。正直細かいストーリーは失念してしまった。だが、このセリフだけは忘れられない。

「宇宙は、ヒートとビートでできている!」

ああ、そうだ。と私は思った。

この宇宙を構成しているものは、素粒子やダークマターなのかもしれない。だが、彼らの宇宙を構成しているものは「熱狂」と「拍動」。あるいは「体温」と「鼓動」なのだ。

雑貨団20周年時のPV

うらやましい。そう思うと同時に、私の中に「ヒートとビート」の残り火はまだあるだろうかと自問した。

Kさんをはじめとする団員の皆さんは、遠来の客をこれでもかといわんばかりにもてなしてくれた。当日の舞台演出に手土産の「白い恋人」を入れ込んでくれたり、終演後の打ち上げに誘ってくれたり。打ち上げ会場に向かう前には一緒に銭湯でひとっ風呂浴びたり・・・と、初対面とは思えぬ歓待に、面食らうことすら忘れてしまうほどだった。

夜が更けるまで語らった翌日、Kさんは鎌倉へのドライブに誘ってくれた。湾岸を走り、鎌倉大仏を見て、昼食にウナギを食べながら(記憶では、ウナギは私が奢ったw)車の中では物語の発想法や、文章表現のこだわりなど、おもいつくままにダラダラと語り合った。

Kさんと別れ北海道に戻る飛行機の中で私は、なぜだか敗北感のようなものを味わっていた。Kさんとその仲間たちは、創作の喜びに満ち溢れていた。私は本当にやりたいことができていたろうか

その思いは私に、ポジティブなエネルギーを送り込んでくれた。マスコミ勤務の「現場」で辛い時、苦しい時に、氷点下で握るカイロのような温もりをくれた。

気づけばあれから15年の月日が流れ、私もいまは「現場」を離れた。だが改めて「いまこそモノ作りを」という思いも新たにしている。

だって彼らは、「雑貨団」は、いまだに『プラネタリウムという戦場』で戦い続けているのだから。『ヒートとビート』を抱き続けているのだから。

負けていられないぞ!

と、ひそかに闘志を燃やす、私なのであった。


雑貨団さんプロデュースの「プラネタリウムコンサート」動画です。本来の「シアトリカルプラネタリウム」舞台ではありませんが、貼らせていただきます!

これも!




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