ワニちゃん騒動についてのお話


まえがき


ワニちゃんの死後のプロモーション展開について、商標登録の時期などざわざわさせる事が沢山あって、それぞれの意見が飛びかっている今日このごろ。

その中で、ぴよちゃんさんのツイートがとても面白かったのだ。以下引用。ぴよちゃんさんありがとうなの。足向けて寝れないの。

もう批判された理由として、余韻が必要だった。時期が適切ならマネタイズ化しても問題なかったのでは?って意見がヤフコメに合った。

その通りなんだろうなぁ。時期が悪かったってのはあるんだろう。けどこれは作者じゃなくてプロデュース側の失敗だと思う。 https://t.co/CqB9MAXBkh


引用ここまで。
これを見て、今までなんとなくもやっとしてた所が言葉に出来そうな気がしたので書いてみたのである。



作品の感想

まず、両生類はこの作品が好きである。なんでもない日常を切り取っただけ、退屈にも感じるような作品なのに、オチに『終わり』が書いてあるのだ。終わりとは主人公のワニちゃんの死である。



終わりが約束された世界のお話。ワニちゃんの世界で見るならポストアプカリプスものなのかな、とにかくこういうものが大好物なのだ。

死が迫っていて、それを知らず日常を生きていて。優しい絵柄、不快感のないキャラクター達がいきいきと終わりまで過ごしている。読者はそれを見守り、親しみを感じつつ『終わり』を待ち望んでいる。

ワニちゃん達の日常に没頭出来るようになのか、作者は連載を開始してから徹底して自分の言葉をツイートしなかった。これもとても好評価したい。結果それぞれが思い思いに考察されるようになった。


ワニちゃんの死という明確な終わりがわかってるのに具体的な答えがない。作者もヒントを出さない。これがコンテンツとして注目される一因になったのは間違いないと思う。みんな考察大好き。両生類も好き。


両生類はワニちゃん達の日常を覗きながら、少し前に観た舞台『14歳の国』を思い出した。

『これ(悲劇)が見つかって欲しかったんだろ』

両生類はまたしても、起こるべき悲劇を待ち望みながら作品を見ていたのだ。

そして終わりを迎えた。賛否あるラストだけど、両生類的には完璧な終わりかただった。鼻水を啜りながら見たものだ。

終わりが約束されていて、終わってほしくなくて、それでも終わりが見たくなる。そんな素敵なお話だった。



死後当日から

さて、ワニちゃんの物語は終わりを迎えた。
100日目が更新されて程なくグッズ販売、ミュージックビデオ、映画化のプロモーションツイートが作者によって行われた。
(書籍化については100日より前に発表されていたので除外している。)

これがもう、燃えに燃えている。


今やワニちゃんは作品についての話はされなくなり、販売のやり方についてばかりになった。両生類はこれで、ワニちゃんは二度目の死を迎えたように感じている。

両生類もプロモーションツイートを見て最初の感想は『がっかり』だった。次に『うまいことやったな』で、そのあとはなんでがっかりしたのか、どうしてこういう手法をとったのかの『疑問』である。



プロモーションツイートを見たときの気持ちは、よいCMだと思ったら某新聞のものだった時に似てる。
作られた感動、ブームにまんまと乗せられた悔しさかもしれない。

もちろんこれは建前である。

もっと内面の汚い所を晒すと、無償で公開していたものからお金の臭いがしたから。これに尽きる。


タダだから応援してた、タダだから。
お金とるんかい!裏切られた!と思ったのだ。


だからがっかした。今はがっかりした自分にがっかりしてる。


注目され、スポンサーがついて、グッズや映画化される。これは大成功である。


クリエイターさんは作品でご飯を食べているのだ。お金儲けして当たり前なのだと結論に至って、尚更恥ずかしくなった。

思いかけず自分の浅ましさに気付いて顔が真っ赤になったけども、モヤモヤしたものは残り続けていた。



もやもや

なぜモヤモヤしてるのだろう。

それは、作品に愛着が沸いていたからこそ生じたに違いなかった。


ワニちゃんが亡くなった。そっとしといてほしかった。そっとして、心のささくれが気にならなくなった頃にグッズ販売をして欲しかったのだ。



冒頭で引用したぴよちゃんのツイートが両生類の気持ちを代弁している。まさにこれ。これなのよモヤモヤは。

これは両生類に限った事ではないと思う。


だからこそ燃えてるし、燃えるのもやむ無しである。早かった。早すぎたのだ。


ワニちゃんというコンテンツ


ぴよちゃんのツイートを引用した時に話したことなのだけども、『ワニちゃん』は瞬間的にヒットし、すぐに忘れられるタイプのコンテンツである。

こんなnote誰も見んやろ、で偏見を盛りに盛らせてもらうと、二次創作ならクッパ姫、アニメなら第一期のおそ松さんなのだ。その一瞬爆発的にヒットしてあちこちをそれ一色に染め、そのあとは急激に忘れられる。バブルなのだ。


こういう瞬間風速高めの物、両生類はオタク界隈しかわからないけども

ヒットする

あちこちで考察、二次創作がされる
───お金の壁───

商業、転売屋の乱立

コンテンツ過多、飽きが来る

廃れる


だいたいこの流れだと思う。


お金の壁を超えたあたりから古参ファンと新規ファンの間、イナゴや転売屋との熱いバトルが始まる。


燃えるものほど冷めるのが早く、それから話題に上がらなくなるのだ。


もちろんそれぞれに根強いファンはいるけども、ファンの数の平均と最大に大きな開きがあるというのか、うまく言えないけど。


で、ワニちゃんもこのタイプ。100日を迎えたと同時にお金の壁を超えたのだ。


全てを追うのは不可能なので憶測でしかないけど、今は商業、転売屋問題で燃えている。

そのうち映画や書籍から入ったファンに1日目から追ってたって謎マウントを取ったりする古参ファンが現れるのではなかろうか。

まぁそれはおいといて、この手のコンテンツはファンも多いけどアンチも多くなるものである。
ワニちゃんはその中でも作品内容よりプロモーション方法でアンチを増やしたように感じるのだ。



商業展開までの早さ

ぴよちゃんのツイートにあるように、読者の心情からしたらこの早さはどっちらけである。

例えるのが難しいけども、感動的な終わりかたをした映画の続編で、最初の戦いは全て仮想空間の話だったと言われてしまう、みたいな。


今までの感動、思いに冷や水かけられたような感じかな。ワニちゃんという作品に思い入れを感じていた人ほどこの早さは萎えるのではないか。

また、これがワニちゃんだったからこそ、他の作品より燃えたと思う。


みんな1日1日、日常を見守ってたから。だから最後の日が際立ったのだ。


ワニちゃんは読者を感情移入させるのに特化した作品に思える。
だから燃えた。作品を追って毎回感想を書いていた人達のツイートをいくつか見たが、商業化については概ね肯定的なのだ。ただ、早すぎたと。


ワニちゃんの商業化に否定的な人達


ワニちゃんの商業化、特にグッズの種類の多さを考えるとワニちゃんの終わりより前にこの話が出ていたのは間違いない。

両生類は100日をリアルタイムで見た後、やたらポップな『追悼ショップ』を見て笑ってしまった。それはやりすぎやん、と。喪に臥されたショップでも困っちゃうけど。

さて、プロモーション方法はかなり練られた上で行われている。
ワニちゃんについての疑惑はあちこちに転がっている。色んなアカウントが一字一句同じ内容のツイートをしている事がつい最近明るみになった。

これを作者一人で、ヒットするかもわからない状態で行うのはかなり難しいのではないか。

作者本人は否定しているのであまり突っ込みを入れないけど、両生類はワニちゃんは『流行らせよう』として流行ったコンテンツだと考えている。

この疑惑が出てしまうと、特にネットの世界ではアレルギーが起きやすい。辛辣な言い方をすると『自分達が育てた』作品が好きなだけで、作られたブームに乗るのを良しとしたくない人が多いのだ。

もうオブラート破れまくってるけど、情報弱者って言葉を使いたがる人ほど、作られたブームに乗ってしまった事に憤りを覚えるはず。


あんだけバカにしてた『メディアに踊らされてる一般人』と同じになったのだ。そして、その大半はその考えを改めるより、叩く事でなかったことにする。

そして、この販売方法で今までワニちゃんを見てなかった人も叩きに加わる。悪しきは叩けである。そこにあるのは義憤ではないのは間違いない。やり方がダメだったら、どんな強い言葉を使ってもいい、そんな空気がある。

これによってワニちゃんは更に燃える。燃えて燃えて燃えるのだ。

でも、炎上したら販売側は困るのだろうか。


商業化発表のタイミング


結論から言うと、売る側は燃えれば燃える程ありがたいのだ。

もし両生類が広告を打つなら、なるべく多くの人に見られる場所に広告を貼る。時間も指定出来るなら、みんなが一番見る時間を指定する。

一部の例外を除いて、売る側も概ねそうだと思う。

そして、ワニちゃんは『あっという間に忘れられる』コンテンツである。

100日目と、それ以降。2、3日でも空いたらワニちゃんへの注目度は下がる一方なのだ。
あの、Twitterのトレンドがワニ一色に染まったあの瞬間。あの時が一番見られる時間なのだ。


売る側は売れないと赤字である。喪に臥している猶予はなかったのだ。


そしてプロモーションは成功したのだ。燃えていいのだ。とにかく注目され、話題になればいい。それがよくない内容でも。


グッズを買う人とは

ワニちゃんの追悼ショップはコロナ騒動にも関わらず長蛇の列だった。
ショップは大盛況。ニュースの写真を見るとネットの悪評などまるで関係ないように見える。

そして、追悼ショップの賑わいの後は別の記事で盛り上がっている。メルカリだ。

メルカリに並んでいる沢山のワニ、ワニ、ワニ。

追悼ショップに並んでいた殆どの人は金の臭いを嗅ぎとった転売屋だったのだ。

.。oO(グッズ展開は好きにすればいいと思ってるけど交通事故で死んだと思われるワニちゃんの"交通安全"お守りはどうかと思う)


まぁ、両生類は、これも売る側の戦略なのではと思っている。

もう耳タコものだけど、ワニちゃんは刹那的なコンテンツなので、売る側としては売り切ればいいのだ。用意した分売れればいい。ブームが過ぎるまでに出来るだけ売りたい。

注目させて、炎上させたら転売屋が嗅ぎ付ける。転売屋が買い占めるから売上がとれる。

ショップに行ってないから憶測でしかないなだけど、公式ホームページを見ても購入制限に関する記載が見当たらなかった。ので、このショップは転売屋に買わせる為に作ったのかもしれない。突飛な考えかもしれないけど。

普通のコンテンツならこれはいけない。長く愛される為にコンテンツを守らなくてはいけない。販売制限や再販、転売対策は必須に近い。


でも、ワニちゃんはいいのだ。刹那的なコンテンツだから。売れればいい、その後の事はどうでもよく感じる。

メルカリに出品されたワニが売れてても売れてなくてもいいのだ。もう稼いだから。

もちろんこれからどうなるかはわからない。一般人のグッズの売れ行き、メルカリの売れ行きが良すぎたら再販もあるかもしれない。
でも、今の時点では売る側もワニちゃんを長く愛されるコンテンツにするつもりがあるようには見えないのだ。両生類はそこがもやもやする。



ワニちゃんと作者

ワニちゃんの転売屋に対してのプロモーションは大成功だけども、一方一番割を食ってるのは作者である。


販売戦略の為に露骨と取られかねないプロモーションをしたせいで作品と作者のイメージが悪くなってしまった。


作者へのダメージだけを考えると、作者本人のアカウントでプロモーションしたのもよくなかったように見える。
100日を迎えたあと次々とプロモーションしたものだから、作者の作品に対する思い入れが薄まってとれてしまった。


勿論売りたいし、売らなくてはいけないからこの手法で間違っていないのだけども、このやり方をすると作者は今後かなり大変なのではなかろうか。


次回作を出しても、何をしても『ワニの人』と言われる。"ドラゴンボールの鳥山明"みたいに好意的な意味でそれが使われるならまだしも、この枕詞は今のままでは枷であり呪いなのだ。


どんな素晴らしい作品を出しても作品に対する評価よりステマやグッズ展開を疑われてしまうだろう。


これはもう仕方がない事だ。
あえて燃やす方法で成功させると信頼を失ってしまう。信頼は人それぞれあるから何とも言えないけど、また即プロモーションなのでは、とか、売るためにメディアと手を組むのかな、とかが多そうである。


金儲けは悪い事ではないのだけど、どうしてもそうなってしまうのだ。厳しい目で見られてしまうのだ。


そして、厳しい目を向ける人の殆どは両生類含めて『そもそも買わない』人である。作者は一瞬の旋風と引き換えに、金にならないクレーマーを大量に抱えてしまった。


作者さんは今後の厳しい目に負けず、作品を出し続けて評判を上げるしかないのだ。
これからかなり苦しくなると思うけど、頑張って欲しいと思う。買わないけど。


終わりに


だらだらと書いたけど、両生類は作者さん、ワニちゃんについては今は否定的に考えてはいない。

きっとすぐ忘れて、今年の終わりに『そういえば燃えたなぁ、ワニちゃん』と思い出し、また5年10年経ったらちょっと思い出すかもしれないし、思い出さないかもしれない。

それでも、ワニちゃん騒動について一番もやもやするのは、これを仕掛けた人についてである。

確かにこのやり方はうまいし、これなら売れる。けど、これはクリエイターを使い捨てしてるのと同じじゃないか。

この手法を考えた人は悪魔か。疑惑の否定まで作者にやらせて、自分達は儲かったらそれでいいのか。

こんなやり方したらこれから作者はどうなる。あまりにかわいそうだ。


一緒に商売した仲間なのだから、使い捨てではなくもっと守ってあげてほしい。クリエイターを使い潰しちゃだめだ。

システム的には正解かのかもしれない。でも、もうこんなやり口が出て来て欲しくない。まるっきり感情論だけども。

とにもかくにも、思うところが書けたのでこれでおしまい。

かさねがさね、ぴよちゃん、引用させてくれてありがとう!



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