#48 再婚生活 私のうつ闘病日記/山本文緒
山本先生、ご冥福をお祈りします。
で、今までは物語の小説しか読んだことがなかったので、エッセイを。
この本は10年かけて鬱と戦った闘病日記。
鬱だったことを知らなかったからびっくり。
内容は思ったより全然明るい印象。
友人と遊んで、何となく仕事はやる気ない、、けどやって。美味しいもの食べて買い物行って。
旦那さんは優しく、1人になりたいと言えば叶えてくれる(もともと別居婚)。
なんだー、稼いだ人の新型鬱のはなし?
て感じに読めちゃうけど、ちがう。
どことなく異常で、なんとなく不穏。
頑張って楽しもう、楽しくしなきゃ、みんな応援してくれるんだから、頑張らなきゃ…。
そういう作者の気持ちが空回って、日記ですら架空の物語を作ろうとしているというか。
楽しい自分が主人公の、でも心の隅では辛くてたまらない助けて欲しい気持ちが透けて見えている、そんなエッセイ。
自分自身でも気づけていないのか、だんだん悪化していき入退院を繰り返す。
治った時のスーっとした感じは、なんというか、あぁ鬱が治る時ってこうなのかもしれないな。って妙に納得するところだったな。
山本さんの中にある「ひとりでいたい」と「誰かといたい」の狭間で揺れる感じが特に共感できて、あーとなる。難しい。
私は前者の気持ちがめちゃくちゃ強くて、それは「ひとりでいたい」というよりも「誰かといる時間は終わりと意味がないと無理」っていうタイプ。
だから無意味にダラダラおしゃべり…みたいのがダメで、もしそういう環境に置かれて、その選択肢を頑張らなきゃだめ、てなったら辛いんだろうなーていう。
そういう自分が「追い込まれるシーン」を俯瞰で考えさせられる本でした。うむ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?