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05 死ぬまでにもう一度食べておきたい10のもの(ケンタッキー・フライド・チキン)

(いつもよりかなり長い記事です)

初めてケンタッキー・フライド・チキンのオリジナルチキン(あまりに長いので以後はKFCと略しますよ)を食べたときのことと最後に食べた日を、僕は知っている

高校3年生の夏休み、その8月下旬、それは今から45年前、1979年のこと、僕は軽井沢に来ていた
当時の軽井沢は本当の意味の避暑地で、今ではもう信じられないけどお盆を過ぎると多くの店が閉じてしまっていた
そんな閑散とした風景の中で、異彩を放っていたケンタッキー・フライド・チキン
初めて食べたオリジナルチキンはそれはもう美味しくて、冗談でなくこの世界にはこれほど美味しいものが存在するのかと感激したことを、僕は一緒に食べた相手のことと共に思い出す

これがはじまりの物語

こんな感じで始まった「KFCが身近にある生活」
しかしKFCはファストフードの中ではかなりお高め、故に頻繁に食べられるわけではなく、特に家庭を持ってからは、子供の誕生日などの「お祝い事のご馳走」というポジションに落ち着く。そういうご家庭も少なくないんじゃないか
だから、これは覚えてないけど、もしかしたら子供が産まれてからは、外でKFCを食べてなかったかもしれない

そして最後の物語

やがて時は過ぎ去り2017年1月25日。これが僕が最後にケンタッキー・フライド・チキンを食べた日

今から20数年前、僕はそこそこ重い病いに罹り、根治を目的とした治療を受けた後も、予後の悪さから経過観察という定期検査が欠かせない身体になっていた
定期検診は年に4回もあって、しかももれなくかなり痛い検査が待っていて、これがかなり憂鬱で毎回気が重かった

だけどこの嫌な定期検診の日を、どうにかポジティブに変換できないか、そう考え、検査が終わったら自分を思い切り甘やかしてやるのはどうかと思いついた
定期検診は午前で終わるが、その痛い検査の精神的ダメージから出社する気持ちには到底ならず、午後も休むのが恒例。だったら自分にご褒美をあげよう、ご褒美と言ったら御馳走食べて高いビールを飲むこと一択(食いしん坊で呑兵衛なのは昔から)
御馳走は呆気ないくらい簡単にKFCに決定した
(ちなみにチキンは家族の分も買って、家族には夜ごはんに食べてもらった)

そう、2017年1月25日は最後の定期検診の日
治療から10年が過ぎて、寛解したわけではないけど、とりあえず一旦終わりにしましょうか? ということで、年に4回の定期検診がなくなり、そしてKFCを食べることも終ってしまった
もし子供が自宅に残っていたら食べる機会はあったかもしれない。しかし夫婦二人きりでわざわざ買ってきて食べるようなものではないし
そんな感じでかれこれ8年近く。すごい、あんなに大好物だったのに、8年も食べなくて平気だったんだ
食習慣というのか嗜好? とにかく本当に不思議なもの

というわけでおよそ8年ぶりのKFC、オリジナルチキン

よく聞く、オリジナルチキンが小さくなった、味が変わったという話、実は僕もそれを感じた。しかし秘伝のスパイス配合が変わるはずはなくて、しかし「変わった」と感じるのはどういう理屈なのだろう。例の「繁盛してた飲食店が儲かってリニューアルすると味が落ちる」と同じ感覚なのか

とは言えやっぱり美味しい、ビールを飲みながらあっという間に2ピースを食べ終える。しかし美味しいのだけど、じゃあこれを切っ掛けに機会があったらまた食べよう、とは思わなかった。何故だろう

そもそも8年前に切っ掛けがあって食べる習慣を見失い、この8年の時間が、KFCを欲しない身体を作ってしまったのか
アイスを食べなくなり、西瓜も食べなくなり、ここらへんはなんとなく納得できるのだけど、まさかKFCまでもが「もう食べなくてもいいかなリスト」に仲間入りしてしまうとは

実は、今回久しぶりに食べてみて、眠っていた欲望に火がついて、頻繁に食べたくなるんじゃないかと想像していた。そうなることを少し期待もしていた
だけど全然違った結果でびっくり
肉大好き、唐揚げ大好きな僕なのに

1から4は以下に収録されてますー


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