見出し画像

今週の俳句と解説(2021.01.26-01.31)

ふと思いつきで俳句を作ってみることにしました。言葉を使ってなにかクリエイティブなことがしたいと思っていましたが、小説を書くのは時間がかかるしなかなか完成させられない。でも俳句の17文字だったら気軽にできるんじゃないかと思って始めました。

毎日1句を、#今日の一句 のタグをつけてインスタのストーリーとtwitterに投稿しています。そこでの投稿は句だけなので、どういう心情を詠んだ句なのかをnoteで解説しようと思います。色々な受け取り方ができるのが詩とか句のいいところなので、僕の解釈だけが正しいというわけではありません。その句の一つの側面を紹介するので、そこからあなた自身の経験や感覚を基にして様々に楽しんでほしいと思います。

異国の夜 餅の白きは 変わらずや

深夜に小腹が空いて、日本から持ち帰ったパックの餅をレンジで温める。餅ってこんなに膨らむんだっけ。静寂に包まれた部屋で醤油をたらしてかぶりつく。実家の雑煮以外で餅を食べるのなんて数年ぶりなのに、予想通りの知ってる味だ。世の中も自分の人生もあの頃から大きく変わってしまったのに、ああ、餅って変わらないなあ。

初歌舞伎 洋菓子片手の 家路かな

初めてのことに挑戦しようと歌舞伎を観に行ってみる。年齢層は50代以上が主で、自分が会場で一番若いんじゃないかと思うくらい。着物を着たマダムも多い。なんだか場違いな場所に来ちゃったみたいだ。歌舞伎そのものはたしかに迫力はあったけど、難しい。歌舞伎役者の話し方って本当にコウメ太夫みたいな感じなんだ。歌舞伎座から出た僕はちょっと背伸びをしてオトナになった気分。銀座の街を着物のマダムたちについて歩いていくと、老舗のデパートにたどり着いた。背伸びついでにたまには洒落たスイーツでも買ってみようか。

練乳は うちにはおらぬと 章姫が

イチゴに練乳をかけるのは邪道というのが我が家の教え。章姫という地元で生まれた品種が定番で、冬には毎晩のように食卓に顔を出して、その堂々とした佇まいはまさに姫のようだ。そんな我が家の食卓にたまの客人が訪れ、イチゴにかける練乳はありますか?なんて尋ねようものなら、そんなものはうちにはいない、と誇らしげに章姫は答えるだろう。

オリオン座 爪が伸びたな まだ生きている

パンデミックで人と会うことも叶わず、部屋でパソコンと向き合うだけの日々。日付の感覚が曖昧になり、昨日と今日がたいして変わらず、明日も同じように続くのだろう。憂鬱な気持ちを気分転換しようと仕事が終わりすっかり暗くなった空を眺めると、星座に詳しくない自分でもオリオン座がそこに輝いていることはわかる。星の寿命から考えたら人間が数年パンデミックで苦しむことなんて、ほんの取るに足らない一瞬なんだろうな。そう考えると少し気持ちが楽になり、目線を手元に下ろすと爪が伸びていることに気がつく。ああ、毎日が同じで変わらないような気がしていたけれど、僕たちは変化し続けながらずっと生きているんだ。

シングルベッド ボディーミルクを 覗き込む

ある冬の日、ひとり暮らしの家に初めて女の子が泊まりに来た。先にシャワーを浴び終えた僕はソワソワしながらベッドに座っている。お風呂から上がってパジャマに着替えた彼女は、そんな僕の様子には構わずベッドの端に座り、なにやらいい香りのするクリームを彼女の腕や太ももに塗りたくり始めた。なんなんだこれは。男兄弟に囲まれて育った僕には見当がつかない。ただ、これはすごくエロいぞ。僕は平静を装いつつ、生唾を飲みながら後ろから彼女の様子を覗き込んだ。

いかがだったでしょうか。自分で詠んだ句でも言語化することによって細かい情景が鮮明になったり、感情の動きに気づいたりして新しい発見がありました。気にいった句があったらコメントやSNSのメッセージで教えてください!
※一部フィクションが含まれます

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?