20221108/月と天王星が喰われる日
ベランダにレジャーシートを敷いて
寒さに震へながら
月が天王星と共に喰はれるのを待つ
暖かいお茶は見る閒に溫度を失ひ
僕の身體は少しづつ冷たさに蝕まれる
次に同じ空が見れるのは二百十三年後ださうで
その位先になれば
僕はまた君と再び逢へてゐるのだらうか
神さまは赦して吳れてゐるか知ら?
僕は頭上の宵闇に祈りを向ける
あの月も
あの星たちも
どうか覺えておいてくれ
僕の思ひを
僕が死んだ後に
同じ月を見るあの子に傳へておくれ
何時かまた逢へる時まで
あの子が僕の匂ひを少しでも
感じてゐてくれるやうに
不意に僕の背から强い風が吹いた
木々が搖れ
葉がざざつと嘶く
天狗が團扇で仰いだやうな
突風
きつと逢へるよ
左側で夜の鴉がさう言つたやうな氣がした
性感帯ボタンです。