人類の大きな転換点(1-1)

 今、この世界で生きていて困っているあなたは、今すぐに、目の前のことについての対策を知りたいと思います。けれども、お待ちください。この本は三章まであって、徐々に、対中国戦略や、内閣改造戦略や、選挙戦略や、コロナ対策など、細かく具体的な戦略に向かって進んでいきます。

 「なんだよー。ケチんなよー」という声が聞こえてきそうですが、焦らしているわけではありません。細かい話の方が、より具体的で面白いので、きっとあなたも興味を持ってくださると思いますし、僕もその話をしたいのです。

 ただ、最初から細かい戦略を話させていただくと、あまりにも突拍子もない戦略だなと口を開けてしまうでしょう。その結果、今までの歴史の二の舞を踏んでしまいます。
 この本は、全く新しい戦略について書いた本です。けしてトンデモ本でも、実現不可能な宗教本でもありません。本当は僕も、今すぐ耳あたりの良い言葉で、あなたを良い気分にさせたいのですが、実現可能な、具体的な、この世界を生きやすくする戦略について理解していただくためには、基礎から順番にお話をさせていただかないとなりません。焦る気持ちをぐっと堪えて、僕の話に耳を傾けてください。徐々に納得がいくようにお話をさせてもらいます。
 それではいきますね。人間社会のゴール編の最初は、「人類は大きな転換点に差し掛かる時が来ている」という内容です。

最初は目標を決める

 あなたは友人から、「速く走りたいんだけど、まず、何から始めればいいかなぁ?」と聞かれたら、なんと答えますか?
 筋肉をつける。腕をたくさん振る。足を速く動かす。姿勢を良くする。体幹をしっかりする。どれも重要かもしれません。
 けれども最初におこなう行動としては間違っています。

 一番大事なことは、どこに向かって、どのくらいの距離を走るのかを知ることです。

 100メートル走るのか。1000メートル走るのか。10キロ走るのか。42.195キロ走るのか。120キロ走るのか。560キロ走るのか。
 まずは、どこに向かって、どのくらいの距離を走るのかを決めることが一番大事なのです。

 どこに向かえばいいのかわからないまま走り出しても、ゴールには辿り着けません。そしてもちろん、良い記録なんて、絶対に出せません。 

 想像してみてください。

 100メートル走ると思って、瞬発力を鍛えて、号砲と共に全力で走った後で、「いえいえ。120キロレースですよ」なんて言われたら。涙が出てきますよね。
 10キロ走ると思っていたら、100メートル地点で「はいゴール」なんて言われたら。全力を出しきれませんし、トレーニングでは有酸素運動で遅筋ばかり鍛えているので、どんなに頑張っても参加賞どまりです。

 逆に、走るのが100メートルとわかっていれば、速筋を鍛えて、スタートの反射速度を高めたり、自分の体の特徴を知って、どのタイミングでスピードを出すのが一番適しているのかなど、良い記録を出すための対策をいくらでも考えることが出来ます。
 42.195キロと分かっていれば、長丁場に耐えられるだけのスタミナや、水をいつ飲むのか、どこでスパートをかけるのか、などを考えることができます。
 さらに、学校の校庭なのか、公園なのか、山道なのか、デコボコ道なのか、正確なゴールまでの道の様子がわかっているほど、より速く走ることが出来るでしょう。

 そうです。
 速く走るために一番大事なことは、まず、ゴールがどこかを知ることなのです。


言葉の罠

 この話を聞いて、あなたは、「いやいや、当たり前じゃん。ゴールもわからないのに走るなんて、頭がおかしいよ。そりゃ前提の話」と思うかもしれません。
 それでは考えてみてください。
 この話が当たり前ならば、簡単な質問です。

 あなたは、こんな国はいい国じゃない、総理大臣は今すぐ辞任しろ、世の中が悪いんだと言って、国や政府を非難していませんか。学校や会社に通っている人は、ひどい学校だよ、会社がブラックで、なんて言ってやしませんか。

 もしゴールに向かって進むことが当然だというのなら、あなたは当然、良い世界とはこういうものだ、良い学校とはこういう学校だ、良い会社とはこういう会社だ、という具体的なゴールが分かっていて、そこに向かっているでしょう。だって、ゴールがわかって、そこに向かって走るのは前提の話なのですから。
 では、あなたの思う、社会のゴールとは、一体どこなのでしょう。
 はっきりと、答えを話すことができるでしょうか。

 ふんふん。
 なるほど。
 そうですか。
 おそらく、あなたが考えている良い社会というのは、自分と仲間だけに都合の良い社会です。
 その社会内の全部の立場と、自分のいる社会以外との関係を考えていません。お金や現実の話を無視して、感情的に話をしているだけです。
 あなたの言う通りに社会を進めた結果は、今よりも、もっととんでもない社会になってしまいます。なんせ、他の人も、あなた同様に、自分勝手に、あなたや僕と一緒に住んでいる社会なのにも関わらず、自分の都合の良い方向に推し進めようとしているのですから。

 都合の良い方向に、お互いが推し進め合う先。
 その先に待っているのは戦争です。


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