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ロジカルシンキング~MECE編~

理的に考える力・伝える力は、コンサルタントとして価値の源泉となります。
クライアントが数多くの情報や問題点を把握しているケースでも、あえて彼らがコンサルタントに仕事を依頼するのは、コンサルタントが複雑・複合的な状況を分かりやすく整理・構造化し、問題解決への道筋を作ることができるからです。
加えて、今日においてはクライアントの多くは、社内研修で基礎技術を習得済みであり、コンサルタントとしては圧倒的な力量差を示さないとバリューを提供することができない時代となっている為、ロジカルシンキングは必須かつ重要なスキルとなっております。

今回はロジカルシンキングにおいて基本的な概念であるMECEについて記載いたしました。下記を参考にMECEを習得・実践してみてください。

1.ロジカルシンキングを習得する目的

冒頭部と重複しますが、ロジカルシンキングを習得する目的としては、下記が挙げられます。

・論理的に考える・伝えるという社会人としての基礎的技術を習得
・成果物の構想力および作成力を向上させる
・同僚・部下への指示・レビュー力を向上させる

2.MECEとは

MECEとは、Mutually Exclusive Collectively Exhaustive(相互背反、集合網羅)の略で、考察する事象が、ある同一次元上の複数の要素によって、もれなくかつ重複なく部分集合化されていることです。つまりモレなく、かつダブりがないことを意味します。

◆例題1:成人女性の分類

下記の分類はMECEとなっているでしょうか?

例1)独身・既婚

例2)主婦・OL・学生

例3)主婦・OL・学生・主婦でもOLでも学生でもない女性

例4)OL・フリーター

◆正解

例1)MECEです。モレなく、ダブりもありません。

例2)MECEではありません。モレもダブりもあります。
・家事手伝いのような場合がモレになります。
・パートの主婦とOLはダブりになります。
・夜間学校に通う主婦と学生はダブりになります。

例3)MECEではありません。モレはありませんが、ダブりがあります。
・パートの主婦とOKはダブりになります。
・夜間学校に通う主婦と学生はダブりになります。

例4)MECEではありません。ダブりはないが、モレがあります。
・専業主婦がモレています。

◆例題2:自動車

自動車をMECEに分類してみてください。まずは切り口(基準)を設定し、個別の要素を洗い出してみてください。分類の仕方には様々な切り口(基準)が考えられます。

◆正解

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3.ケーススタディ

下記についてあなたならどう考えますか?

◆ケーススタディ問題

あなたは日本を代表する総合電機メーカーでの会計制度変更・導入プロジェクトにアサインされた。
新基準の導入・定着をスムーズに行うために、各職場で「世話役(新基準に精通しており、身近なメンバーからの問合せ窓口になる人)」ができる人材を計画的に育成しようという話になった。

「世話役」向けの研修企画やガイドブック作成を行うにも、まずはどれくらいの対象人数になるのかを把握することが必要となる。

どのようなアプローチで必要人数を推定するか?

【分かっていること】
・売上高(連結)5兆円(事業別資料あり)
・従業員数(連結)15万人
・事業領域は多岐に渡る(SI、通信、物販など)
・新制度の適用範囲はソフトウェア開発
・全体を網羅した組織図や人員構成表が実在しないので、人事資料からは対象人数の特定ができない

◆ケーススタディ回答例

漠然とした議論を「分ける」ことで考えやすくすることが重要です。

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さらに「エンドユーザ数」は下記のように分解できます。

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今回は上記それぞれに対して下記のように考えることにします。

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従ってこれらを基に試算すると、下記のように推計できます。

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もう少し具体的に見てみると、実際には営業部門などにも影響があるので、間接部門の割合という式は適切ではない可能性がありますが、そのような議論も分解・推定したアウトプットを見せることで初めて可能になります。

実際のプロジェクトではどうしたかをお伝えしましょう。特に規模の大きいクライアントでは、ファクトやデータが分散していること(時には存在しないこと)が多く、仮説やロジックで推定を行わないとプロジェクトを前に進めることが出来ないケースが多いです。

4.MECEに考えるコツ

下記を意識すると漏れやダブりなく検討を進めることができます。

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以上です。今回はMECEについて記載しましたが、ロジカルシンキングについてはお伝えできる内容がまだまだあるので、時間がある時にコンテンツを拡充したいと思います。

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