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UXデザイン初心者体験記:はじめてのヒューリスティック評価

はじめましてこんにちは。
NEWhでサービスデザイナーをやっているキタムラと申します。

私は日頃サービスデザイナーとして、新規事業のアイデアや構想などの上流部分位携わることが多いものです。
まだまだできる範囲をもっと増やしたいと考えており、
業務の中でUIに近い領域のUXにも挑戦しています。

今回は業務の中で行ったデジタルサービスのヒューリスティック評価について、実際に行った手順と具体的な内容、結果などについて書いていきます。

ヒューリスティック評価って何?

そもそもヒューリスティック調査とは「経験豊富なUI/UXのプロが、その経験知によってWebサイト・アプリを評価する分析方法」です。

要するに、「ちゃんと自分たちのアプリやサイトは、サイト・アプリがユーザーにとって使いやすいものになっているのか?」ということを第三者的な視点でチェックするというもので、
サイト・アプリの設計図をチェックしたり、実際に利用したりすることで評価を行うことをいいます。

どうやってやったの?ヒューリスティック評価の4STEP

具体的なステップを紹介します。大きくは下記の4STEPで行いました。

1.スコープを絞る
2.フローを整理する
3.評価基準を作る
4.評価する

それぞれのステップ別で内容を紹介していきます。

1.スコープを絞る

まず今回の仕事では、とあるブラウザ上のサービスの改善を行なっておりました。
前提として具体的に調査を行って改善策を作成するまで2ヶ月の期間で行うものでした。
期間が絞られているため、サービス全体ではなく、一つのフローに絞って調査と改善を行いました。

どう絞ったのかと言いますと、
ユーザーが求めていること」と「ビジネスサイドでやりたいと思っていること」の両方の観点で調査するべきフローを絞り込みました。

ユーザー視点を大切にしたいと考え、ユーザー側が問題に感じているだろう、と言う部分にフォーカスするのはもちろんですが、
それだけでは
・結局その改善をして収益に繋がるのか?
・ビジネスに跳ね返りはあるのか?優先順位をあげてまでやるべきなのか
という問いに答えることができず、
実際の改善までを上長決済を得ることができない…なんてことも多々。

せっかく評価しても改善まで至らないともったいない。
なので、最初にスコープを絞る際は下記のような手順を踏むと良いなと思います。

1.ある程度ビジネスサイドからも目測をつける
例:
・他の分析などからある程度アテがついてる「この部分を改善した方が良さそう」と思っている部分
・明らかに収益につながるはずの部分だがまだ手がついていない部分

2.ユーザーのストレスが大きな部分にスコープを絞る

1で行った、ある程度今まででもあたりをつけていた範囲の中からさらに、ユーザーがストレスを感じている部分に絞っていきます。
例:
・定量調査のフリーコメントで指摘が多い部分
・想定した流入ができていない、想定したユーザーの行動が行えていない部分

※私が関わったPJでは既存の定量調査を利用して、初期スコープを絞り込みました。

2.フローを整理する

ユーザー、ビジネス、2つの視点でスコープがある程度絞れました。
次は
・具体的にどのページで
・どの遷移をする部分なのか
を特定するために、ユーザーの行動を一旦可視化します。

例えば電子書店サイトのサービスを例にしていますが、下記のように整理をしました。

フローをこんな感じで全てスクリーンショットとともに貼り出して見える化しておいたことで、後々メンバーと話をするときも共通認識が取りやすかったです。
整理するポイント
①行動にひもづくユーザーの思考

ユーザーがどんな行動をし、そこで何を考えてをタイムラインとして整理します。
② ①にひもづく、具体的な画面
①で整理した時系列に合わせて、スクリーンショットやURLなど既存の状態を張り出して見えるようにします。

③現在すでに満たされている欲求と、満たされていない欲求
ユーザーの気持ちから見て、本来どういう行動がしたいのか、そこで何があると良いのかを考えた上で、現状でそれが満たされているかいないかを書き出しておきました。
この工程は後ほど細かく実際の調査で書き出していくのですが、すでにわかっているものはメモしておくと良いでしょう。

このように整理をすること自体はいわゆる作業なのですが、
画面の一覧表を作っておくことで
チームでの共通認識が取りやすくなる
整理した上で今回評価が必要・不要なフローが新たに見つかる
などのメリットが多いので、
面倒でもやっておくことがおすすめです。

3.評価基準を作る

評価する範囲を決めたら、次はどの基準で評価をするかを決めます。
評価をする際は当たり前ですが一定の基準が必要です。
今回のPJでは、一般的な10ヒューリスティックの基準を使って行いました。

書籍を参考に、下記の10個を判断の基準とします。

1.システムの状態を絶えず適切にユーザにフィードバックする
2.専門用語や社内用語でなく、ユーザが本当に使っていることばを使う。
3.ユーザがいつでも状況から抜け出せる出口を提供する。操作のキャンセル、やり直しができるようにしておく。
4.同じことを表すのに異なる用語を使わない。同じように操作すれば同じ結果が得られることを保証する。
5.エラー後の対応策の充実よりも、エラーの発生そのものを防止する。
6.ユーザに記憶を強要しない。選択肢を提示する。
7.上級ユーザ向けにショートカット機能やカスタマイズ機能を提供する。
8.インターフェースに無駄な要素を詰め込まない。必要最小限に整える。
9.エラー時、ユーザがエラーメッセージを頼りに問題を解決できるようにする。
10.マニュアルなしで使えるようデザインした上で、補助のためのコンテンツを用意する。

※参考書籍
ユーザビリティエンジニアリング(第2版) ―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法ーオーム社, 2014年

またもう一つ、
一般的な基準の他にも、そのサービスや企業として独自で評価しなければならない点があれば、評価基準に加えておきます。
例えば今回であれば、
「独自のECのポイントシステムが利用できる、お得感が伝わっているか」など、
本来伝えたいはずの要件が明確にあるのであれば評価項目に入れておきましょう。

4.評価する

実際の評価は下記のように、作成したフロー表に沿って画面遷移を手元で行いながら、スプレッドシートに記入を行いました。
評価基準に沿って確認をしていくという前提ではありますが、素直に触ってみて立ち止まるところ、気になる部分を全て記載し、それがどの評価基準に当てはまるのかを確認していきました。

例えばですが下記のように記入をしています。

Googleスプレッドシートを利用して行っています。
2で整理した遷移図に番号や名前を振っておくと、どこの話をしているのか、
評価を読む側も見やすいです。

Tips…課題と一緒に思いついた改善案は書き留めておく

本来は評価ののちのステップ行うものですが、実際に課題を書き出しながら、それをどのようにすれば改善できるかを思いついた時に書いておくことをしておきました。
どうせのちにやる作業だしな、と思って書き留めていたのですが、
個人的にはかなり次のステップの時短になったと感じました。


結果と個人的な気づき

評価を行ったことで、サービサー側では優先順位が高くないと思っていたページにも課題があり、改修すべきとページが見つかりました。
フラットにサービスを見ることは、自身がサービサーであると難しいことも多く、定期的に第三者的な立場でサービスを見ることの重要性を感じました。

ヒューリスティック評価は、評価者を誰にするかということがかなり大切だと感じました。
今回は自分が使い慣れている種類のサービスだったので、普段自分が使っているサービスやなどの他社比較をしながら評価を行うことができましたが、これがもし普段自分が全く使ったことのないサービスだった場合の評価はなかなか難しいと感じました。
評価者を選定する際は、類似サービスを使っている人、または周辺に知識のある人など、ある程度の造詣を持った担当者を選出する必要性を感じました。


はじめてやってみたことで、
手順や方法にはまだまだブラッシュアップの余地があると感じていますが、ぜひ皆様も参考にしてみてください。

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