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はじめての海外出張in中国

6月中旬から下旬まで、2週間ほど中国へ出張へ行ってきました!

自分にとっては大学院5年目ではじめての海外出張(海外渡航も中3以来で12年ぶり!)だったので不安でしたが、なんとか遂行しました!

今回は上海に滞在して1件セミナー発表を行うのと、香港での研究会発表が主な目的でした。

アカデミア的な側面においても、日常生活的な側面においても、中国は日本とは異なる部分が多く、月並みな言葉ですが非常に刺激的でした。

ここでは私が感じた中国の雰囲気をお伝えします。

アカデミア的な感想

やっぱり環境が良い

中国の科学技術への投資は、話としてはもちろん聞いていたのですが、実際に自分の目で見たり現地の研究者の話を聞くと想像以上の環境でした。

今回の出張の前半では、上海交通大学李政道研究所というところに滞在させていただいたのですが、まずここの環境は文句なしに素晴らしかったです。

この研究所は2016年に設立された新しい研究所なのですが、ノーベル物理学賞受賞者である李政道氏が「国際的な研究拠点を作るべし」と国に働きかけて設立されたそうです。

まずこの時点で日本とはだいぶ認識が違うことがわかります。
日本のノーベル賞受賞者が何か提言をしたところで、研究環境が大きく変わるとか研究所ができるといったことはほとんどないと思います。

また、国際的な研究拠点ということもあり、中国国内の他の大学や研究所と比べて、かなり給与や研究費が潤沢であるような印象を受けました。
例えば、この研究所のポスドクの方が中国国内の他の大学のテニュアに移られるときに、ポスドクより給料が下がるといったことが起こるようです。

コロナ禍などもあり、今は一時的に中国での生活が敬遠されているかもしれませんが、この環境・待遇であればどんどん優秀な人が集まるのではないかという感じでした。

また、新しい研究所ということもあり、設備も極めて綺麗です。
オフィスが綺麗で過ごしやすいというのは仕事をする上で重要な要素の一つだと思うので、その点も文句のつけようがない環境でした。
秘書の方も多く在籍していて、近隣の宿泊施設まで手配してくれるなど、一端の学生である私のこともとても丁寧に扱ってくれました。


市民へしっかり基礎科学の重要性をアピールしている

例えば、今回滞在した研究所のメインエントランスは研究成果の多くで美しく内装されていたり、スーパーコンピュータもガラス張りの部屋で外から見えるようになっており、ビジター(ここでは研究者だけでなく一般の見学者も含む)に対して研究成果や研究環境を還元する姿勢が見られました。

他に印象的だったのは、栄えている駅の構内に衛星の一部分が展示されていたことです。
市民が日常生活を送る中で、自然と目に届く範囲にこういった基礎科学に関する研究成果が展示されている点は(僕の記憶では)日本ではあまり見たことがない気がします。

あまり多くを見たわけではありませんが、それでも特に基礎科学の重要性を市民にアピールしたり還元する姿勢や配慮が随所に見られた点は中国の素晴らしい点だと思いました。
国を挙げて基礎科学を含む科学技術を支援するのだという気持ちがとても伝わってきました。

研究所や博物館に自ら足を運ぶ人は、基本的には科学技術に対してポジティブな感情を抱いている人が多いと思いますが、そうでない人にも伝える手段として、パブリックな場所での展示が日本でももっと広まっても良いと思いました。いろいろ難しいのでしょうけどね。


日常生活的な感想

デジタル化がすごい

成田空港で2万円分両替して行ったのですが、現金を使うことは1回もありませんでした。

中国では電子決済が主流になっていて、例えば飲食店では注文から支払いまで全てスマホ1台で完結することが多いです。
日本ではPayPayとかが使えなくて大変不便な私の大好きなマクドナルドも、注文が無人になっていて感動しました。

また、基本的に個人情報が全てデジタル情報として管理されており、飲食や買い物に限らず他の支払いもデジタル上で完結することが多いようです。
(例えば車の速度超過の罰金とかも電子的に請求がくるそう。他にも日本でいうSuica的な交通ICカード等のチャージや自動販売機も基本的にスマホで払える)


デジタル化とはちょっと違う話かもしれませんが、電気自動車の普及率も目を見張るものがありました。

街中を走る車は体感3分の1くらいが電気自動車で、スクーター(原付チャリ)に関してはほぼ全てが電動でした。
というのも、電気自動車のナンバー取得は無料な一方で、ガソリン車のナンバー取得は車体代とは別でなんと100万円くらいが追加でかかるそうです。しかもガソリン車のナンバーの取得も抽選だそう。そりゃみんな電気自動車買いますよね。

これらは技術的にはもちろん日本でも可能なことだとは思いますが、中国のトップダウンで決まる構造というか、ある程度の国民への強制力がなせるスピード感でもあると思うのですぐには真似できなそうです。
(とはいえ、電気自動車はともかく電子決済は日本でもこのレベルになってほしい)

とにかく、日常生活にあらゆる場面で必要なことがほとんど自動化されていて、慣れればかなり便利に生活できる印象でした。

飯はうまい

日本料理にはない独特なスパイスの香りがするものの、中華料理なので基本的には日本人の口に合うものがほとんどです。

なので食事で精神的に堪えるということはほとんどありませんでした。
むしろ日本で食べない食べ方で美味しいものもたくさんあってよかったです。

ただ、中華料理はやはりどれも味が似通っているほか、本当に中華以外の選択肢がない(ハンバーグやパスタといった洋食があまりない)のは少々残念でした。


ただ、やはり移住して長い期間生活することに対して、外国人に優しくない構造も少なくなさそうでした。
これに関しては、アカデミア的な観点で見ると、国際的な研究拠点を作る上ではなかなか見過ごせない問題だと思っていて(アカデミアに限らずだと思いますが)、もう少し柔軟性というか例外扱いすることができれば良いのかなと思いました。


とはいえ、全体的に見れば、日本と文化が近いこともあり、日本人にとっては悪くない環境なのではないかと思えました。

何より、大学院生のうちに海外での滞在経験を積むことができたというのもかけがえのない貴重な経験だったと思います。

受け入れてくださった研究者や研究機関のみなさん、発表の時間をくれた研究会の運営のみなさんには感謝です。


実はこの出張から帰ってきた2週間後に、ヨーロッパへも1週間学会発表のために行きました。
そちらについても時間があるときに紹介したいと思います!


PS.
ヘッダーの写真は中国で食べた中で一番うまかったやつです。
茶色いのは普通の唐揚げなのですが、その周りに黒いものが大量にまぶされています。実はこれ、烏龍茶の葉っぱをあげたもので、食感的にはのりに近いのですが、食べた瞬間にほのかに烏龍茶のさわやかな香りが広がってめちゃくちゃさっぱりと唐揚げを食べられました。 

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