見出し画像

店舗経営知識を詰め込んだAI店舗。需要予測や在庫管理効率化を推進するスーパーマーケット|Walmart

【一言で言うと】50年以上の店舗経営知識を詰め込んだAI実験店で、在庫管理の効率化や需要予測を始めた米大手スーパーマーケット

基本情報

主に展開する国:アメリカ
設立:1962年
店舗数:4759店舗(米国のみ)
ジャンル:スーパーマーケット
売上高:55兆円

なにが特徴か

2019年4月25日、米国大手スーパーマーケット ウォルマートは、ニューヨーク州のレビットタウンに新店舗 Intelliigent Retail Lab(IRL)を開店した。元々、食品を中心としたウォルマートブランドスーパー(Neighborhood Market)の中に建てられた。IRLは、人工知能をどのように店舗体験向上に活かすことができるかを試すための実験店舗である。約4600平方メートルの敷地に、設立以来培ってきたマーケティング手法や在庫管理手法などの経営知識をIRLに集中させ、実験から得た新しい知識や経験を既存及び新店舗の設計に取り入れることが狙いだ。

画像1

店舗内の天井にカメラが設置されている/Photo by Walmart

1. カメラを使用した在庫管理

IRLは1500台以上のカメラを通じて在庫状況をモニタリングする。棚から商品が無くなると専用の機器で、従業員に商品補充を知らせる仕組みである。例えば、肉売り場では、売り場から肉が無くなると「Restock Alert - Angus Ribeye Steak(リブアイステーキを補充して下さい)」の通知が、店員が持ち歩く専用機器に送られる。店員は、指定された位置に食品を補充する。カメラを設置したことでより多くの情報が瞬時に把握できるようになり、棚の商品補充管理のみならず、生鮮食品の鮮度が落ちて賞味期限に問題が発生しそうになれば、自動で通知が店員に送られようになる。

2. AIを活用した需要予測

カメラから得た情報を元に、AIが店内での販売状況や商品の在庫情報を整理する。その情報を店側が分析することで、商品の需要をリアルタイムで予測することに役立てている。需要予測精度が向上すれば、在庫削減・欠品削減などの効果が期待でき、ウォルマートが参加する食品ロスプログラム(U.S. Food Loss and Waste 2030 Champion)にも貢献できる。

画像2

一般公開されたIRL店舗内にあるデータ群/Photo by Walmart

3. 消費者に対してのAI事業の透明化

ウォルマートは、上記データを基にした施策について、消費者に対する透明性を担保するために、「データは1週間以内に消去」や「店内にデータセンターを設置」などの取り組みを行っている。さらに、IRLのCEOであるMike Hanrahan氏は「テクノロジーを隠さないようにしている」と述べている。データセンターには、2つのタッチパネルが置かれており、消費者は実際にデータがどのように使用されるのか、小売業におけるAIの可能性などをこのディスプレイから学ぶことが可能だ。データサーバー群も、同様に消費者から見えるように設計されており、中の様子を誰でも見る事ができる。

Banner Photo by Unsplash

関連ニュース

Walmart、「Amazon Go」対抗のAIコンセプト店をニューヨークに開店
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1904/26/news062.html

参考



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?