中国版Amazon Go。日本を含む海外展開を目論むAI技術をベースにしたスマートコンビニ | 雲拿智慧商店
【一言で言うと】スマホ一つを携えて店舗に入るだけで簡単かつスムーズな商品決済が可能な無人コンビニ
基本情報
展開する国:中国
設立:2018年
店舗数:10店舗
ジャンル:コンビニエンスストア
売上高:―
なにが特徴か
中国の空港では初となる、店舗に設置されたカメラとAIによって誰がどの商品を手に取ったかを認識し、店舗から出れば自動的にスマホアプリのアカウントから代金が引き落とされるコンビニエンスストアが登場した。
1. 中国の空港では初のカメラとAIを活用した無人コンビニ
近隣諸国からの国際線と国内線が発着している上海の虹橋国際空港。その第2ターミナル3階フロアに2018年10月31日オープンしたのが、AIを活用して商品管理を行う無人コンビニ「雲拿智慧商店(LePick)(ユンナージーフイシャンディエン)」。営業時間は午前7時から午後9時までとなっている。
これまでの中国では、商品に付けられている無線通信を利用したRFIDタグを活用した無人コンビニが主流であり(無人店舗ではないが、RFIDタグによる商品管理は例えばユニクロやZARAなどのアパレル店舗において幅広く導入されている)、買い物を終えた消費者はセンサーでRFIDタグを読み取り、代金を計算するのが通例だった。
ところが虹橋国際空港の「雲拿智慧商店」ではただ商品を持ち去るだけでよい。そのため、従来型の無人コンビニに慣れた空港利用者たちが物珍しそうに入店し、恐る恐る商品を手にして買い物をする姿が見られる。
退店する顧客/Photo: lieyunwang.com
2. Amazon Go第一号店に触発されて出来たスタートアップ企業
このコンビニを運営しているのは、現地上海のスタートアップ企業「雲拿科技(CloudPick Technology / ユンナークージー)」だ。同社は2017年に設立されたばかり。スタッフの多くは中国国外で博士号を取得し、米国のシリコンバレーやシアトル、または百度(バイドゥ)、アリババ、テンセントなどで勤務経験のある若い技術者である。
「雲拿智慧商店」には「雲拿科技」が開発したAIエンジンCloudPick++が活用されているが、これは2016年のAmazon Go第一号店のオープンに刺激されて、中国版Amazon Goをつくろうと開発されたものだという。
雲拿智慧商店の内部/Photo: lieyunwang.com
3. 現在一度に対応できる顧客数は20名程度
広さ50平方メートルほどの店内に入るには、まず中国の二大決済アプリの「支付宝(アリペイ)」か「微信支付(ウィチャットペイ)」を立ち上げて、アプリ内のミニプログラムを店舗の決済システムに紐づける必要がある。紐づけ後、スマホに表示されるQRコードをかざせば、ゲートが開いて入店できる仕組みだ。
コンビニの中を歩いて商品を手に取ってみる。その様子は10台ほど設置されているカメラで撮影されており、CloudPick++が常時店内の人の動きを分析し、誰がどの商品を買ったのかを判定している。「他の人に商品を渡さないでください」との注意書きが店内にあるが、それは他人に商品を手渡したりするとCloudPick++が混乱し、商品を手にして退店した人のスマホから料金を引き落としてしまうからのようだ。
現在のところ、CloudPick++が一度に対応できる人数は20名程度と限られている。そのため、無人コンビニとはいっても入口には2名の店員が常駐し、入店する人数を制限し、また顧客に買い物の仕方を説明している。将来的にアルゴリズムの精度が向上すれば、対応人数を増やすことも検討するという。
「雲拿科技」では直営、または技術協力によって中国国内でAmazon Go型の店舗を10店舗オープンしており、アメリカ、日本、韓国といった海外でも展開が計画されている。
Banner Photo by Edward He on Unsplash
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中国の省人型コンビニに新潮流 Amazon Go型へと舵を切る|日経クロストレンド
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00120/00008/
AI活用タイプの無人コンビニが普及へ?云拿智慧商店(LePick) が上海にオープン!|GloTechTrends
https://glotechtrends.com/cloud-pick-smart-store-181106/
参考
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