1921年創業の中華料理店がスマートレストラン化。来店客40%増を実現したオン・オフラインの仕組みとは | 五芳齋智慧餐庁
【一言で言うと】注文や配膳、会計をデジタル化及び無人化することで店舗運営の効率化を図る中華ファストフード店
基本情報
展開する国:中国
設立:2018年
店舗数:1店舗
ジャンル:レストラン
売上高:―
なにが特徴か
中国の外食チェーン五芳齋は中国東南部の杭州市で配膳や会計対応の従業員がいないスマートレストランを2018年1月にオープンした。「アリババ」傘下の「口碑(コウベイ)」の協力を得て実現したもので、行列に並ばなくても食事の注文や受取ができるので、待ち時間が節約できると評判になっている。
1. スマートレストランに生まれ変わった老舗
五芳齋は1921年に「粽子(ツォンズ)」(中華ちまき)の専門店として創業した老舗である。現在では幅広く中華料理・食品を提供し、中国全土に1000軒近くの各種店舗を展開中だ。
中国東南部に位置する杭州市の西湖区は杭州でも有数のビジネス地区。近隣で働く会社員たちの大きな悩みは、昼食時の長蛇の列だった。2013年にこの地にオープンした五芳齋文三路店でも、ランチ目当ての客は大勢列を作っていた。
2017年末、文三路店は改修のために1か月の休業に入り、翌1月末にスマートレストランに生まれ変わった。リニューアル後は列も見られなくなり、時間の節約になると周辺のビジネスパーソンに好評のようだ。
五芳齋文三路店の新しいネオンサイン/Photo by五芳齋
2. スマホアプリで注文から時間指定、そして支払いまで
五芳齋の店内では、配膳や会計対応の店員は配置されておらず、厨房とホールの間に40個ほどのロッカーが並ぶ。
注文は、1)店内にある自動注文端末を操作する、2)店のテーブルの上に表示してあるQRコードをスマホで読み込む、または、3)「口碑(コウベイ)」のアプリをスマホにダウンロードする……これら3つのいずれかの方法で行う。「店内で食べる」または「持ち帰る」、そして時間指定の有無などを選択すると、メニューが現れる。トップは五芳齋自慢の中華ちまきだが、第2位以下はビッグデータの分析によって一人一人違うものが表示される。食べたいものを選べば、自動的にアリババのオンライン決済サービス「支付宝(アリペイ)」で支払いも完了だ。
注文したものが出来上がるまで外出するもよし、店内で待つもよし、店内ではAR(拡張現実)によるゲームが楽しめ、正解すれば次回使える優待券がもらえる。料理が出来た際にはショートメッセージで通知が来るようになっており、注文時に表示された番号のロッカーに行き、暗証番号を入れると料理が出てくる。
暗証番号を入力してロッカーを開ける/Photo by五芳齋
併設の自動販売機コーナーもあり、こちらは文字通り完全に無人。スマホで開錠し、スマホで支払うので24時間利用可能になっている。
3.「口コミサイト」運営で蓄積したビッグデータ
この店舗をバックアップしている「口碑(コウベイ)」は、もともと口コミサイトの運営から始まった企業である。「口碑」という会社名自体が、中国語で「口コミ」を意味する。
サイト運営で蓄積したビッグデータが、顧客ごとにカスタマイズして提示するメニューにも生かされている。そのおかげもあり、改修前と比べて来店者数は40%近くアップしたという。
Banner Photo by五芳齋
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