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スマホアプリで入店予約や注文を可能に。顧客のストレス軽減と利便性向上を目指す回転寿司チェーンの挑戦|くら寿司

【一言で言うと】くら寿司は、スマホで予約や注文ができる仕組みを構築し、回転寿司の顧客体験を変える取り組みをおこなっている。

基本情報

展開する国:日本
創業:1977年
店舗数:453店舗(国外含む)
ジャンル:回転寿司
売上高:1325億円(2018年10月末)

なにが特徴か

回転寿司の「ファミレス化」を主導してきた「くら寿司」が、スマホによる新サービスを始めた。顧客はくら寿司のスマホアプリをダウンロードすることで、“注文”、“持ち帰り”、“入店予約”が可能に。入店の行列に並ばず、また、入店後もストレスなく注文ができる点が目玉だ。

1. 回転寿司のファミレス化を先導してきた「くら寿司」

「くら寿司」は他の回転寿司チェーンに先駆けて、寿司だけでなくうどん、ラーメン、ハンバーガーなどサイドメニューの充実を図ってきた。いわば回転寿司のファミリーレストラン化。これによって寿司を食べない層も回転寿司に呼び込んできた。

ファミレスを模範にしたのはメニューばかりではない。カウンター席ではなくボックス席、通称E型レーンを導入したのも「くら寿司」が業界初だった。

そんな「くら寿司」が2019年7月に導入したのが「スマホdeくら」。その名の通り、スマホアプリを起点としたサービスだ。人手不足の解消や、待ち時間の短縮、それに2019年10月に導入された消費税軽減税率への対応も狙っている。

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スマホで注文できるのは業界初/Photo by くら寿司

2.積極的に新しいものを導入する社風

「くら寿司」チェーンを運営するくらコーポレーション取締役社長の田中邦彦は大学卒業後、お酢メーカーの営業マンとして寿司屋を回っていた。営業回りを続ける中でビジネスチャンスを見出し、1977年に独立、大阪府堺市に持ち帰りと出前専門の寿司屋をオープンした。

回転寿司の業界に進出したのは1984年で、大手としては後発組。しかしだからこそ新しいことに挑戦し、何度も業界初と形容されてきた。挑戦を繰り返してきた結果、今や「くら寿司」が持っている特許は35件、商標登録は168件にも上る。

スマホが主流になる前の2000年に、病院の予約システムにヒントを得て「時間指定予約」を業界で初めて導入した。次いでこの仕組みをスマホアプリで使えるようにしたのち、今回導入された「スマホdeくら」はそのさらなる進化形でもある。

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自動案内機でチェックイン/Photo by くら寿司

3.スマホ起点の新サービスは業界の常識になるか?

「スマホdeくら」の主な機能は①時間指定予約、②注文、③持ち帰り予約の3つ。

時間指定予約とは店に来る前にアプリ経由で席の予約ができる機能だ。従来、実際に店舗に来てから順番待ちするケースが大半だったが、行列を気にせずに来店することができる。

二つ目は「スマホde注文」。通常ならタッチパネルで注文するところだが、スマホで注文ができれば入店までの間に注文することができる。待ち時間に注文しておくことで座席に着くとスムーズに食事が楽しめる。タッチパネルも便利だが、スマホであれば手元で簡単に操作が出来るため、誰でも楽に注文が可能だ。複数のスマホアプリと連携可能な為、各自のスマホから好きなものをスムーズに注文ができる。

また、「スマホdeくら」導入を機会に、これまでは電話受付だけだった「お持ち帰り予約」をスマホでも使えるようにした。さらにLINE Payと楽天ペイによる電子決済も受けつけるようになった。また、同アプリは日本語を始め、英語、中国語、韓国語にも対応しており、訪日客の需要取り込みも狙っている模様だ。

新サービスの大半は全店舗に導入済ないし導入予定だが、「スマホde注文」は当面約250の店舗に導入されるという。実装にあたっては、そもそものスマホ経由での注文におけるメリット訴求、初期は現場での操作などをサポートする従業員への周知・教育も含めたオペレーション面での体制も考える必要がありそうだ。そういった課題がクリアされていくと、このようなスマホ起点のサービスが、回転寿司業界の常識になる日も近いのかもしれない。

Banner Photo by Wyron A(Unsplash)

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くら寿司/スマホで注文「スマホdeくら」導入、座席案内を自動化 ∣流通ニュース

参考

くら寿司(公式サイト)

業界初!スマホで 注文!『スマホdeくら』7月16日より全国のくら寿司にて順次導入開始 |PRWire(共同通信)


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