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Vol.24 不育症の助成金制度について

東京都港区北青山にあります不妊治療クリニック「表参道ARTクリニック」です。
(ホームページ:https://omotesando-art.jp/

こちらのnoteで生殖補助医療(ART: Assisted Reproductive Technology)やその周辺の分野をご説明する中で不妊について疑問、不安、お悩みをお持ちの方が「そうなんだ!」と理解できる機会をご提供できればと思っています。

※こちらのnoteに記載の内容は一部ですので、詳細はクリニックにてお尋ねください。

不育症の助成制度って?

以前、こちらのnoteで不育症についてご紹介させていただきましたが、今回は不育症に関連した助成制度についてご紹介していきます。
「不育症ってなに?」もしくは「私には関係ないかな」と思った方にはぜひこちらの記事を読んでみていただきたいです。

まず不妊治療の助成金にはさまざまな種類があります。
ここでは不育症の助成制度に関してご紹介するので、「そもそも助成金とは何か、不妊治療でもらえる助成金にはどんなものがあるか知りたい」という方はまずはこちらの記事を読んでみてください。

不育症の助成金の対象要件は、実は自治体によって違います。
今回は東京都の助成制度をベースにご説明していきたいと思いますが、東京都以外にお住まいの方も全体的な仕組みを知る上では参考になると思います。
各都道府県の具体的な制度については「○○県 不育症 助成金」とインターネットで検索していただければ、各自治体の案内が出てきますのでそちらをご参照ください。

現在の助成制度(2022年1月時点)

東京都には3種類の不妊治療助成金制度があります。
① 東京都不妊検査等助成事業
② 東京都特定不妊治療費助成事業
③ 東京都不育症検査助成事業

①と②に関しては前述のリンクをご参照ください。
今回は不育症に関する③を詳しくご説明していきます。
③の東京都不育症検査助成事業は①の東京都不妊検査等助成事業と同じく検査に対する助成金ですので、下記の表で①と比較しながら概要をみていきましょう。

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検査開始日の妻の年齢や申請期限などの差もありますが、一番大きな違いはその他の要件の部分です。
不妊症の助成金の場合は対象の検査がいくつかあり、そのうちどれか一つでも実施している場合はそのほかの検査と合わせて5万円まで助成されます。
一方、不育症の助成金の対象は検査項目が規定されており、その検査項目以外の検査にかかった費用は対象外とされます。
ではその検査とはどのような検査でしょうか。

助成の対象検査は?

不育症の助成制度の対象は下記の検査項目です。
ここでは項目の紹介ですが、また機会があればそれぞれのリスク因子と併せて詳しくご説明したいと思います。

○ 子宮形態検査
○ 内分泌検査
○ 夫婦染色体検査
○ 抗リン脂質抗体
○ 血栓性素因スクリーニング(凝固因子検査)
○ 絨毛染色体検査
○ 先進医療として告示された不育症検査(※)

※先進医療の指定は国の先進医療会議で順次認められていく仕組みです。
詳しくは先進医療を実施している医療機関の一覧|厚生労働省 で確認できます。

では、これらの検査を受けた人なら誰でもこの助成制度の対象になるかというと、実はそうではありません。
東京都の不育症助成制度には、「不育症」の方のみが受けられるという対象要件があります。
次はこれについて詳しく説明していきますね。

助成の対象要件は?

東京都の定める助成対象要件は「医師が不育症と判断した者」「2回以上の流産及び死産又は早期新生児死亡の既往がある者」のいずれかとされています。
なぜ妊娠を希望する全ての夫婦が助成を受けられないのかと疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

理由は制度自体がどのような経緯で出来たかにあります。
東京都の助成事業は「検査によりリスク因子を特定し、適切な治療および出産につなげることができるよう、不育症検査に係る費用の一部を助成」する為のものです。

つまり、不育症と診断された方が、次回は妊娠継続できるよう原因を検査しやすい状況にしましょうということです。

そもそも不育症の助成制度は厚生労働省が先導しその実施主体が自治体になっており、国と自治体が費用を半分ずつ負担しています。

厚生労働省のHPでは目的について、

「現在、研究段階にある不育症検査のうち、保険適用を見据え先進医療として実施されるものを対象に不育症検査に要する費用の一部を助成することにより、不育症の方の経済的負担の軽減を図る。」

と述べています。
つまり、不育症についてはまだ研究段階の事柄も多く、将来的には保険適用になる予定だが、現時点では難しい。
但し、それでは現在不育症で悩んでいる方の負担が大きくなってしまうので、その負担軽減のためにできたのがこの助成制度だということです。

では東京都の対象要件について分かったところで、それ以外の自治体はどうなっているのでしょうか。

東京以外の自治体は?

国主体の助成金ですので、不育症検査の助成金自体は要件が違ったとしてもどこの自治体にも存在します。
自治体によっては、現状不育症に該当しない方でもスクリーニング的に検査を受け、その費用の一部を助成してくれるようなところがあります。
現在のところ、生化学的妊娠は流産には含まれませんので、生化学的妊娠が続いている方にはとても良い制度といえます。
他には、不育症のリスク因子が発見されたら、その治療に係る費用を周期ごとに助成してくれる制度などもあります。
自分には関係のないことと思わず、ぜひ一度ご自身のお住まいの自治体の制度を調べてみることをおすすめします。

申請方法は?

東京都の申請方法は郵送のみで消印日が申請日です。
また、提出した書類は返却されないので事前にコピーを取っておくことをお勧めします。

〇必要書類
 ・申請書
 ・受診等証明書
 ・住民票の写し
 ・戸籍謄本

申請書や受診等証明書は東京都福祉保健局ホームページ(助成・給付 東京都福祉保健局 )に掲載されております。

最後に

不妊治療の中でも特に不育症の検査は高額なものも多く、なかなか全額自己負担と考えると躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。
制度について知ることで少しでもそういった方の金銭的負担や、心理的な負担が減ればいいなと思い、このような題材を記事にしました。

先ほども述べましたように、不妊治療や不育症についての研究は先進的な内容が多く、逆に言えばまだまだ研究段階のものが多いのが現状です。
助成制度も、来年4月の保険適用の内容によっては今ある制度から大きく変わる可能性もあります。
その都度こちらのnoteで情報発信していく予定ですが、もしそれまでにお困りのことなどございましたら、ぜひ当院HPからお問い合わせを送ってみてください。
当院医事スタッフが誠意をもってメールでお答えいたします。

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『不妊治療』と検索すると様々な情報であふれかえっていて、何が正しいのか?何が自分に合うのか?と不安になってしまいますよね。
まずはどのような治療方法があるか、ご自身にどのような治療が必要なのか、それにはどの程度の経済的な負担が見込まれるのかを正しく認識するうえでも、妊娠を希望されている方には医療機関への受診をお勧めします。
専門医に相談することで今まで抱えていた不安も少しずつ解消されることと思います。
その上で妊娠に向けて適切な検査や治療を医師や家族と相談しながら安心して進めてきましょう。

表参道ARTクリニックでは、30年以上不妊治療に携わってきた二村院長が今までの経験を踏まえ患者様一人ひとりに合わせた治療を行っております。
検査や治療に対しての必要性や費用の説明を医師が行いますので、患者様にとって安心して通えるクリニックであると思います。
様々な治療方法を提案し、患者様にも納得いただいた上での治療を行い、少しでも早く妊娠していただけることを目指しております。
「自分には不妊治療が必要かな?」と考えたら、まずは気軽にご相談にお越しください。


表参道ARTクリニック
表参道駅徒歩1分の不妊治療クリニック。
30年以上の経験を持つ院長が必ず診察いたします。
人工授精、体外授精、顕微授精などの治療に幅広く対応し、患者さん一人ひとりが納得できる治療法をご相談、ご提案します。

■こちらのnote
不妊治療を検討されている方、現在不妊治療を進めていらっしゃる方々の不安、疑問が少しでも解消するように、不妊治療にかかわる情報を発信しています。
こちらのnoteに記載の内容は一部ですので、詳細はクリニックにてお尋ねくださ

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