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週刊 表の雑記帳 第一二頁_パッとしない東京都知事選、首都は何処に向かうのか

 今週の目についた報道はtwitter参照。

三、四割の得票率での当選が予想される今回の都知事選

 さて、いよいよ来週末は東京都知事選の投開票である。今回の候補者はこちらにある通りで、22名もいる。過去最多の候補者数で大乱立だ、といった論調の報道も見たが、調べてみると四年前の前回(小池百合子さん当選)の候補者数も21名であった。それと比較すると大差ない。その二年前(舛添要一さん当選)は16名、更にその二年前(猪瀬直樹さん当選)は9名。遡って候補者数が多い都知事選を調べると、平成一一年の都知事選(石原慎太郎さん当選)の候補者数が19名であった。要するに、候補者数が多いときもあれば少ないときもあるという話であり、今回はその多いときであったというだけの話だろう。ここは恐らくあまり意味のない議論だ。ただ過去の傾向を見ると、候補者数の多い都知事選では票が分散して当選者の得票率も低くなりがち、くらいのことは言えるだろうから、今回も恐らくトップは35~45%くらいの得票率で当選するのだろう、くらいの予想はできそうだ。

 では、肝心の候補者の顔ぶれはどうなっているのか。目立っている候補者としては、現都知事の小池百合子さん、れいわ新選組の山本太郎さん、元日弁連会長で無所属の宇都宮健児さん、元熊本県副知事の小野泰輔さん、NHKから国民を守る党(N国党)の立花孝志さん、日本第一党の桜井誠さん、あたりであろうか。あと目立っているという意味では、一部にはお馴染みになっている後藤輝樹さんも外せないか。

実質的に何もしない小池百合子さん

 まあいずれにせよ、現在リードしているのは小池百合子さんというのが報道の概ね一致した見方だ(こちら)。これは武漢ウイルス対策で(政策の有効性は脇に置いて)存在感を発揮していたことを考えると自然だろう。終わり良ければ全て良し、とはよく言ったもので、直近目立つことをすれば途中が多少酷くても印象が良くなってしまう。これはノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが提唱したピーク・エンドの法則でも言われているようなことだ。小池百合子さんが四年前の公約「7つのゼロ」のうち一つ(ペット殺処分ゼロ)しか達成していないどころか、就任早々に築地や豊洲で無駄に大きな混乱を引き起こしたことを考えると、この意味で小池百合子さんは武漢ウイルスに助けられたとも言えるかもしれない。今回は東京大改革2.0と称して、抽象的な政策をたくさん並べている。政策実現に向けた具体的な工程が見えてこないあたりが、さすが小池百合子さんと思わされる。この四年間、実質的に何もしていないどころか無用な混乱を生んだ小池百合子さんが現時点で最も高評価を受けているということが、都知事候補の深刻な人材不足と知名度が勝敗の鍵となってしまう都知事選の問題を物語る。

支持基盤を分裂させる宇都宮健児さんと山本太郎さん

 一方、立憲民主党や日本共産党、社会民主党などが支援する宇都宮健児さんはどうかと言えば、前川喜平さんを副都知事に…などと冗談めかしてでも支持基盤にウケそうなことを仰っている(こちら)。しかしこちらは同じような支持基盤のアイドル、れいわ新選組の山本太郎さんが立候補したことにより、票が割れてお互いの得票数が下がることは容易に想像される。天下り斡旋や自称女性の貧困調査をされて問題になり、その後も恥ずかしげもなく活動されている前川喜平さんを副都知事に、なんて仰っている宇都宮健児さんは論外だが、一定数の支持があるというのが不思議なところ。宇都宮健児さん、山本太郎さん、両名とも掲げる政策が似通っており、まああまり正面切って反対しづらいものが並んでいる印象だが、「それはそうだけどさ…」という感じになってしまうのも事実。政策が似ていることで猶更票が割れることが確実だろう。

やり方によっては二番手になれそうな小野泰輔さん

 元熊本県副知事の小野泰輔さんは日本維新の会からの推薦を受けての出馬。掲げる政策にも、維新のお家芸ともいえる「身を切る改革」として知事報酬や退職金の削減が含まれる。政策を全体的に眺めると、カタカナが多用されるところは小池百合子さんと似た匂いを感じるが、小池百合子さんよりは若干具体的な記述が目立つ印象だ。このあたりは元県副知事の経験を活かしているところかもしれず、しっかり政策を読んで投票行動に反映させる有権者からは一定の支持を得られそうに思われる。与党支持層の多くの票は小池百合子さんに投じられるだろうが、一部は小野泰輔さんに流れるだろう。又、党としてはっきりとした支援先を明言していない国民民主党の支持層の票も一定程度取り込みそうだ。現状の勢いのまま小池百合子さんが当選したと仮定して、二番手の得票率をどの候補者が取るかというのは国政にとっても重要であろう。もし二番手が小野泰輔さんということになれば、立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組の支援を受けた候補者はごちゃごちゃ言ったところでトップ争いの蚊帳の外ということにもなり、存在感は一気に薄まる。主要野党の勢いが失われることにもつながりかねず、政府与党としては小野泰輔さんの躍進を期待しているというのが胸に秘めた気持ちではないだろうか。

自ら状況を厳しくしている桜井誠さん

 日本第一党の桜井誠さんは、一部の熱狂的な支持者がいらっしゃる様子だが、概ね評判が悪いように見える。恐らく過激な言動等が理由であろう。日本第一党の政策は保守層に支持されそうなものばかりだが、恐らくその過激な言動が支持が広がらない原因と思われる。桜井誠さんは口は悪いが実績がある、とか、もうお行儀よく日本を変えるのは無理だからある程度過激な言動が必要なんだ、といった擁護もネットを見ているとちらほらみられる。しかし桜井誠さんは仮に当選したとしても、過去の言動をメディアにつつかれ叩かれまくる風潮を作り上げられ、都知事就任早々に何もできない状態に追い込まれることが容易に想像される。又、日本第一党の政策は主に国政に関するもので、都知事になられた際にこれらがどのように都政に反映されるのかはホームページを見てもよく分からず、現実的にはあまり票を得られないだろう。

 N国党の立花孝志さんはホリエモン新党をつくり立候補しているが、同じくホリエモン新党から更に二人立候補させていて(いずれもN国党の推薦)、同党内で票を分散させている。これは最早当選する気はさらさら無く、目立とうとしているのだと理解できる。当選する気がない候補者について論じるのは無意味なのでこれ以上言及しない。

では自分は誰に投票するか

 このように考えていくと、絶望的な事実に思い至る。そう、積極的に一票を投じたいと思える候補者が見当たらないのだ…。これは消去法で決めることになることは避けられそうにない。とりあえずあと一週間、22名の候補者の公約をもっと細かく精査し、投票先を決めたい。

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