Curse Of Halloween 7話③

目を覚ますと誰もいなかった。
昨日の一部の記憶も無くて、怖くなって外へ飛び出した。
屋敷を出て、森を抜け、青い絨毯の上空へ……
そこまでは覚えている。
それから気が付くと、全く知らない場所にいた。
この独特な鼻を衝く臭い……どこかで嗅いだような……?
視界はぼやけたまま焦点も合わないが、自分の手が黒いことは分かった。
「フヒッ、どうやらお目覚めのご様子ですな~?」
誰かが話す声が聞こえる。
「この目は見覚えがありますぞ~?姿形は違えど、昨日の猫人族に違いありませんな~」
独特な口調の仮面の男がこちらを見ていた。
昨日の、と言われても、心当たりがない。
その男は黒猫の首の後ろを掴み、無理やり口を空けられる。
「じっくり堪能したいところですがな~、残念ながら悠長にしていられないんですな~」
黒猫の口の中に何か液体が流し込まれ、強引に飲まされた。
ほどなくして朦朧とした意識のまま、身体は黒い毛に覆われ、強制的に人型へと変化していた。
「フヒヒッ 良いですぞ~その姿でこそ価値がありますからな~」
全く力が入らず、されるがまま服を奪われた。
「オッホ!白く滑らかな肌……良いですな~!胸は小さいようですが、それはいずれ……おやおや~?これはもしかして、もしかしますかな~?」

独特な口調の声は聞こえなくなった。
あの独特な鼻を衝く臭いもしない。
辺り一面真っ暗な闇に包まれた空間に居る。
唐突に頭や顔に冷たい液体を掛けられ、少しだけ意識がハッキリとした気がする。
手足は広げた状態で動かせない。
手首と足首に冷たい拘束具を感じた。
口には何かボールのような物が固定されているが、呼吸はできる。
何かに顎を持ち上げられ顔を上向けると、ふわりと何かが香る。
微かにだが肌に何かひやりとした感触があったかと思うと、徐々に身体は熱を帯び、呼吸も荒くなっていった。
脈が速い……下腹部が……足の間が……ヘンだ……
太ももに何かが当たると、身体に電流が走ったように感じた。
それに続くように、頭からヌメヌメした何かが這うような感覚。
さっきの液体はただの水ではなかった……?
そのヌメりを帯びた小さく黒っぽい何かは、柔らかいモノもあれば、ゴツゴツしたモノ、ザラザラしたモノ……様々な形状で夥しいほどに数を増やしていった。
そのヌメりを帯びた何かは、ボールの隙間から口の中に入り込むモノもあれば、耳、首、胸、指の間、脇腹、下腹部、尻尾の付け根、太腿、足の間……身体中を這いずり回るモノもあれば、一箇所に固執するモノもあった。

そのヌメりを帯びた何かは、不快なほど身体中に様々な刺激を与え続けた。

嫌だ、いや、だ……イ、やぁ……
今すぐ振り払いたいほど不快だが、思わぬ別の感情が脳裏にチラつく。
震える手足の自由を奪う冷たい拘束具でさえ刺激となっていた。
だか、冷たいはずのその拘束具から、微かに温もりを感じた。
次の瞬間、広げられた手が下ろされ、柔らかく力強いふさふさした何かに触れた。
どこかで、触れたこと、が……ある、ような……
不快なヌメりを全身に纏いながら、そのふさふさした何かに身を預けるしかできなかった。
そしてこのふさふさでさえも、触れた部分が、僅かな振動が、身体をオカシくする刺激となる……
早く……早く、ラクに……ラク、に……?……それって、どうやって……?

ふさふさに寄りかかっていた身体が、どこか懐かしい場所に寝かされた。
依然呼吸は荒く、身体も思うように動かせず、熱を帯びたまま小刻みに震え、艶めかしくくねったかと思うと、時折痙攣したように跳ねる。
その中でも一際大きく跳ねるほど反応した箇所をヌメヌメする何かが執拗に這いずり回ると、不意に足の間からジワりと甘いミツが滲み出る。
それを待ち望んでいたように、近くにいた不快なヌメヌメは群れを成して押し寄せ、貪るように吸い付いてきた。
先ほどまでの這いずるだけの感覚より一層激しくなる刺激に、もはや呼吸も儘ならなかった。
クル……ィ……オカ、シ……ッ……
もう何も考える余裕が無くなりそうな、そんな頃合いに突如別の大きく長いヌメヌメが不快なヌメヌメを取り除くように舐め取った。
その新たなヌメリもまた身体を刺激し反応してしまうが、それでも何故か不快感はほとんど無かった。
ぼやけた視界の中で必死に大きなヌメヌメの元を辿ると、何かが見えてきた。
紅い……トカゲ……の、舌?
なぜトカゲがここに居て、このようなことをしているのか、全く見当もつかなかった。
肌に纏わりついていた全ての不快なヌメヌメが取り除かれたが、下腹部の内側に疼きが残っていた。
その疼きは何かを求めるように、足の間を痙攣させる。
トカゲの舌らしきヌメヌメは小さく細くなると、いつの間にか猿ぐつわが外されだらしなく開いた口の中を拭うように舐め取った。
その後、その身体の欲求に応えるように下腹部を辿り、足の間を確かめるように漂い、傷付けないよう慎重に、ゆっくり、ゆっくりと、ナカへと滑り込み、内側をもキレイに舐め取っていった。
初めての感覚に戸惑いを隠せないが、やはり不快感はほぼなく、寧ろ温かく心地よい光に包まれるような感覚の中、目を閉じ、意識を手放した。


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5月15日更新分です。
慎重にオブラートに包んだ……ハズ……

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