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首都直下地震が怖い

首都直下地震が怖い

 東京首都圏は世界で最も危険な場所だろうと思う。環太平洋造山帯にあって、太平洋プレートとフィリピン海プレートと北米プレートの3つがぶつかり合う真上にあって、そして何よりも世界一の人口密集地帯である。
 東京首都圏の密集度は世界に類がない。都心から東は千葉まで、西は八王子まで、南は小田原まで、北は熊谷まで、建物がびっしりと建ち並び、隙間なく人が住んでいる。その範囲で人口は3千万人を数える。
 そんな場所で大地震が起きるとすれば、それは人類史上初めての出来事だ。巨大地震というだけならこれまで世界中で何度も起きているが、これほどの人口密集地帯で起きたことはこれまで一度もないのである。
 地震の一撃で、もしくは津波や火事で死ぬことを怖れているのではない。仮に死者30万人となっても、それは首都圏人口3000万人の1%に過ぎないわけで、確率的に言えば、おそらく自分は99%の側にいるだろう。99%の側というのは、生き残った被災者2970万人の一人になるということだ。それが怖いのだ。
 救援が来るとは思えないのだ。自分の元に食料が届くと思えないのだ。そしてその場合、首都圏から脱出しようにも、あまりに多い被災者のうちの一人となった場合に、脱出できるとも思えない。つまり、身体や住処が無傷でも、生きのびられるとは限らないのである。
 杞憂と思うだろうか。私はそうは思わない。首都直下地震は必ず起きる。それは明日かもしれないし、10年後かも100年後かもしれない。いつかは分からないが、遅かれ早かれ必ず起きて、その時に人類史上最悪の事態になるだろうと思うのである。それに備えることは、個人としても集団の中の一人としても必要なことだろう。
 それが起きた時に脱出できないとすれば、その前に脱出するしかない訳だが、さて、いつ脱出したらいいかというと、最適なタイミングというものは無い。合理的に考えるなら、できるだけ早い方が良いとなるし、むしろ今すぐ逃げるべきだとなる。いつ起きるか分からないということは、そういうことだ。すなわち、いつか起きる首都直下地震に対する備えとしては、あらかじめ首都圏を離れること以外には無いだろうと思うのである。
 熊本地震も北海道地震も起きた場所は人口が少なかった。しかも食料生産地だった。三陸の津波も高台に逃げてしばらく待てば、救援が来た。海岸線から一山越えれば、そこも食料生産地だった。ところが首都圏はそうじゃない。首都圏の食料自給率は1%以下、毎日トラックで外から食料を持ち込むことで成り立っている。
 南海トラフで巨大地震が起きても、首都直下地震よりは被害が小さいだろう。日本列島はどこで巨大地震が起きてもおかしくないのだが、東京首都圏だけは別格だと思うのである。アメリカ西海岸にも南米の太平洋岸にもフィリピンにもインドネシアにも、東京首都圏ほどの人口密集地帯はない。
 大正時代の関東大震災にしても、太平洋戦争時の東京大空襲にしても、当時の人口は今よりずっと少なかった。首都圏に人口が集まったのは、戦後だ。だから、今が危ないのである。
 さて、いつ逃げようか。

一番の防災グッズは「自転車」だと思う

 東京で大地震が起きたら、ボクはすぐに自転車をこいで、200km先を目指そうと思う。
 阪神大震災で被害が大きかったのは、直線状に延びる断層の近くに限られていた。断層から横方向に数キロ離れた場所では、被害はそれほどではなかった。
 中越地震では被害の及んだ範囲が広かったが、人口密度が小さかった。交通が遮断された地域でも、ヘリコプターでなんとか救援できる規模の人口だった。

 東京首都圏で、仮に「死者30万人、被災者3千万人」の大地震が起きたとしよう。これはありえない話ではない。この場合、死ぬのは全体の1%。残り99%は、生き残って被災者となる。
 前者の確率は無視することにしよう。自分はたぶん(?)その中には入らないだろうから。となると現実的な問題は、生き残った後に「生き延びられるかどうか」だ。
 「被災者3千万人」という数は、阪神 ・ 中越の数十倍の規模である。東京は外から物資を持ち込むことで成り立っている。食料流入がストップしたら東京は成り立たない。阪神では被災地の数キロ先に被害の及んでいない地域があった。そこから救援できた。中越一帯は農業地帯だったから、米は十分にあった。
 さて、3千万人もの被災者を救済できるのだろうか。食料と水を供給できるのだろうか。ボクはそれができるとは思えないのだ。避難所に行っても、時間の経過とともに弱っていくんじゃないかと思う。待っていてはダメなんじゃないか。速やかに移動を始めた方がいいんじゃないかな。被害のない場所=食料を手に入れられる場所=物流が機能している場所を目指して。
 移動のためには、車はダメ。道路が破壊されていたり、警察に止められたり。ガソリンが手に入るとも限らない。時には持ち上げたりすることもありそうなので、ベストの乗り物は自転車だと思う。
 自分の自転車が近くに無くても、駅前に放置自転車がある。2日間で200キロ移動すれば、まず大丈夫。できることなら、弱ってからでなく、元気なうちに移動を始めたい。

被災地東京で食べられる物は1つだけ

 東京には田んぼも無ければ畑も無い。イノシシも野ウサギもいない。全くのゼロではないが、3千万人口に対してはほとんど無いに等しい。
 そんな東京だけれども、実は1種類だけ、やけにウヨウヨ、たくさんいるのである。食べておいしいかどうかは分からないけれども、食べられないことはないはずだ。もしかしたら、意外とおいしいかもしれない。そんな生物が、ただ1つだけ、この東京に居るのである。田んぼも畑もほとんどない、イノシシも野ウサギもほとんどいない東京に、その1種類だけは、やけにたくさん、有り余るほど居る。食べるとすれば、私には他に思いつかないのだが、いかがだろうか。
 被災者となって、ある人は避難所に向かい、ある人は他の場所に居るのだろうけれど、早い人で3日、遅い人でも1週間も経てば、そのことに気がつくだろう。そして、そういう場面で有利なのは早く動く人、遅れれば遅れるほど不利になる。
 そんなことは考えたくない。そんな場所にいたくない。だったらどうすれば良いか。今すぐに東京を離れれば良いのである。

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