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アジアのカルデラ

 東南アジアを旅行中に目にしたカルデラ火山の数々。いずれも日本列島と同じく環太平洋火山帯に属する。

火口を見下ろす空の旅(インドネシア)

 インドネシアのバリ島から東の方に島が連なっています。ヌサ・トゥンガラ諸島と呼びます。その島々は環太平洋火山帯の一角で、火山が連なっています。その東の端にティモール島があって、その東半分が独立国・東ティモールです。
 バリ島のデンパサールと東ティモールのディリを結ぶ航路はこの島々の上を飛びますから、飛行機の窓からたくさんの火山や火口が見えます。
 写真左はロンボク島のリンジャニ山。カルデラ湖とその中に新しい火口が見えます。北海道の洞爺湖と同じような地形です。
 写真中はスンバワ島のタンボラ山。巨大隕石が落下してできたクレーターのように見えますが、これもカルデラでしょう。
 写真右の海峡に浮かぶ島の名前はわかりませんが、右側に見える島はアロール島です。カルデラの中に海水が流れ込んで、その中にできた新しい火口が小さな島になっています。エーゲ海ギリシャのサントリーニ島も同じような地形です。
(以上、島や山の名前は、地形や写真を撮った時刻からグーグルマップと照合して確認しました)

カルデラ3つ

 日本から東ティモールに行くルートはシンガポール経由とデンパサール経由の2ルートありますが、シンガポール経由ではこの光景はあまり見られないでしょう。
 東ティモールからの帰り道、ジャワ島内の火山噴火の影響でデンパサール空港が一時閉鎖になってフライトが遅れましたが、そんな経験ができるのも火山帯を飛ぶルートならではです。

マウベシのポウサダ・ホテル(東ティモール)

 東ティモールのコーヒーの産地マウベシは標高1500mほどの山の中にあります。首都ディリから悪路を車で3~4時間ほどの行程です。山に囲まれた盆地のような場所にマウベシの街があって、街の中心が小高い丘になっています。
 この地形はカルデラです。カルデラの中に街があって、周りの山が外輪山で、中央の丘が噴火口です。確証はありませんが、インドネシアから続く火山帯の一角にある島だから、きっとそうでしょう。少なくとも、そのような地形に見えます。

火山2

 その丘のてっぺんにポウサダ・ホテルがあります。ポウサダというのはポルトガル語で「貴族の館」というほどの意味で、かつてこの地を治めていたポルトガル人の総督が住んでいた建物だそうです。現在はホテルとして営業しています。
 その昔、支配者が街の中心の一番高いところから、被支配者を見下ろしていたという構図なのでしょう。確かに素晴らしい見晴らしです。
 ところが、です。部屋にほとんど手をいれていないようなのです。上下水道は貧弱で、お湯が出るはずもなく、水シャワーもトイレもちょろちょろ流れる水を貯めて手桶で流すしかない状況です。
 同行の日本人の部屋のドア上の窓ガラスが入っていなくて、夜になって寒くなったと言って、急きょ段ボールをあてがって窓をふさぎました。別の同行者は夜寝ている間にベッドが崩れ落ちました。それはそれで楽しいのですけれど、このままではしょぼい安宿と同じです。
 歴史的建造物でロケーションもよいから、ホテルとしてのポテンシャルは高いはずなのです。南国の高地だから気候も快適で、海岸沿いにあるディリの避暑地にもなりうる場所です。実際僕たち旅行者もそこを選んだわけですし、同じ日にディリ在住の外国人も泊まっていました。
 にもかかわらず、部屋にお金をかけ手をかけるという発想が無いようでした。のんびりしているというか、もったいないというか、もうちょっと商売っ気があってもいいんじゃないかと思いました。(2015夏)

タール湖とタール火山(フィリピン)

 マニラから車で1時間半ほどのところにカルデラ湖(タール湖)とそこに浮かぶ活火山(タール火山)がある。
 飛行機からその地形を見ると、なだらかに高くなる地形が、あるところから急に落ち込んでいるのがよくわかる。

タール湖

 カルデラの縁の辺り(タガイタイ、標高700m)はマニラ住民の避暑地・行楽地・別荘地になっている。
 湖に浮かぶタール火山は世界一小さい火山だという。その火山の山頂近くにも小さなカルデラ湖がある。

タール火山

 晴れていれば舟で島に渡り火山に登ることもできたのだが、台風直撃のタイミングだったのであきらめた。

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