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3項定理 と パスカルの四面体

 $${(x+y)^n}$$ の展開式に関する2項定理があって、その係数を手早く知るためのパスカルの三角形があるなら、$${(x+y+z)^n}$$ の展開式に関する3項定理と、その係数を手早く知るためのパスカルの四面体なるものがあっても良いだろうと考えて、作ってみた。
 まず2項定理の発展形としての3項定理は次の通り。

2項定理: $${(x+y)^n}$$ の展開式の $${x^{n-r}y^r}$$ の係数は $${_nC_r}$$
    (ただし $${r=0,1,2,…,n}$$)
3項定理: $${(x+y+z)^n}$$ の展開式 $${x^py^qz^r}$$ の係数は  $${\dfrac{n\textit{!}}{p\textit{!}\:q\textit{!}\:r\textit{!}}}$$
    (ただし $${p,q,r}$$ は負でない整数で $${p+q+r=n}$$)

 図左は通常のパスカルの三角形である。これを使って、$${(x+y)^n}$$ の展開式が次のようになる。

$${(x+y)^0=}$$       $${1}$$
$${(x+y)^1=}$$      $${x+y}$$
$${(x+y)^2=}$$    $${x^2+2xy+y^2}$$
$${(x+y)^3=}$$  $${x^3+3x^2y+3xy^2+y^3}$$
$${(x+y)^4=}$$ $${x^4+4x^3y+6x^2y^2+4xy^3+y^4}$$
     :

パスカル

 パスカルの三角形の立体バージョンを作ってみた。仮に「パスカルの四面体」と名付けよう。上図中の面 $${\small{OXY,OYZ,OZX}}$$ はいずれも通常のパスカルの三角形と同じである。違うのは四面体の底面にあたる部分で、すぐ上の3つの数を足した値になる。上図右に書いた通りである。これを使うと、$${(x+y+z)^n}$$ の展開式が次のように書ける。

$${\small{(x+y+z)^0=1}}$$
$${\small{(x+y+z)^1=x+y+z}}$$
$${\small{(x+y+z)^2=x^2+y^2+z^2+2(xy+yz+zx)}}$$
$${\small{(x+y+z)^3=x^3+y^3+z^3+3(x^2y+xy^2+y^2z+yz^2+z^2x+zx^2)+6xyz}}$$
$${\small{(x+y+z)^4=x^4+y^4+z^4+4(x^3y+xy^3+y^3z+yz^3+z^3x+zx^3)}}$$
      $${\small{+\,6(x^2y^2+y^2z^2+z^2x^2)+12xyz(x+y+z)}}$$
     :

 どれだけ使い物になるかは分からないが、多分合っているだろうし、頭の体操にはなるだろう。

 なお、さらに発展させて、4項定理は

4項定理: $${(x+y+z+w)^n}$$ の展開式 $${x^py^qz^rw^s}$$ の係数は $${\dfrac{n\textit{!}}{p\textit{!}\:q\textit{!}\:r\textit{!}\:s\textit{!}}}$$
    (ただし $${p,q,r,s}$$ は負でない整数で $${p+q+r+s=n}$$)

と3項定理と同じような形で書けるが、パスカルの三角形に当たるものは描けそうにない。4次元図形になってしまうからである。

◇      ◇      ◇

順列と組合せとその周辺 〜 
▷ 重複順列と重複組合せ        
▷ パスカルの三角形の裏事情      
▷ 3項定理とパスカルの四面体     
▷ 場合の数の数え方と確率の数え方の違い

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