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[毎日30分ルーティン]RoamResearchやLogseaqで培うデータベース思考その2 データベース思考の原体験(取調べ通訳時代の経験から)

今回前回に引き続き、RoamResearchやLogseaq で培われつつあるデータベース思考のお話をしたいと思います。

その前に、私が通訳時代に経験した、プレ・データベース思考のお話をしたいと思います。

他のエントリーにもあるように、私は日本で一番長いキャリアの一つに「取調べ通訳」があります。日本で捕まったり、収監されている人の通訳ですね。正式な言い方よりもこちらの方が通りがいいかと思いますのでこの表現で。

入管や裁判所、警察や地検の通訳人や弁護士の接見に同行することもありました。

10年以上のキャリアを持っていますが、取調官と通訳人も人間同士なので相性があります。とある担当者とはツーカー(この場合の取調官と通訳人でそう感じるのは、取調官が聞きたいことを通訳人が事前に察知して、その呼水になるようなことまで事前の質問や流れの中で補足的に情報として聞き出せることだと理解しています)な相手がいます。

詳細を語るのは諸事憚られるのですが、当時、まったく違う3件の取り調べ通訳を担当しました。それも連続ではなく、数ヶ月のスパンを挟んで。全体では年単位の話です。
で、その一件ずつは他愛もない、まぁありがちなケースのように見えたのですが、最後のケースの時にその数ヶ月から一年ほど前に担当した人たちの名前が出てきて、まったく違う供述をしたわけです。

その間になんてことはない不法滞在、不法就労のケースも担当したのですが、不思議なことに登場する場所や人物がかぶるんですよね。

最後の3件目の通訳をしている間に気がつきました。「まさかこのケースは全部繋がっていて、最初の人は斡旋業者、2番目の人はそこで働いていた人、3番目の人は不法に外国人を働かせている内情を把握している関係者。まさかこのバラバラな話は全部繋がってるのか!?

ちらりと取調官の顔を見ると、ニヤニヤしています。どうやら私の推測は当たっていました。取調官に「どうして続いてるヤマだって教えてくれないんですか?」と尋ねると、「自分でわかった方が面白いでしょ」と言われました。

他人の人生を背負う取調べ通訳の中では、既知の事象に遭遇し、パズルのピースがはまってたように感じた経験は、10年以上立ち会った中でも早々体験できることではありませんでした。

私にとってのデータベース思考の原体験はまさにこれだと言えるでしょう。
何百件の取り調べの経験、警察、地検、裁判所、入管というさまざまな場所での取り調べの経験は記憶というデータの中に蓄積されています。取り調べ通訳の情報は前向きに記憶をしていないにも関わらず、ふとある時、点でしかなかった、一見まったく関係のなかった事件すなわちデータがあるキーワード、例えば就労場所、職種、担当者、役割などという取り調べ上、必ず通訳する必要な情報、すなわち自分の頭に必ず入っている情報(データ)の共通項目が全てマッチした時、それぞれの取り調べ時にはまったく見えなかった、壮大なストーリーが眼前に広がり、大きな事件が露呈するのです。

私にとってこの体験ほど取り調べ通訳としての醍醐味を感じた経験はありませんでした。自分では何もしないのに情報が時期が来れば目の前に壮大なストーリーを描いて見せてくれることが本当に面白かったことをもうかなり昔のことなのに鮮明に思い出せます。

本来ですと、取り調べの際は「その場限り」が原則なのであって、、めもも残さないでやってきたことではあるのですが、自らの脳内にある記憶や情報の連結はどうしようもありません。そういう私の気質まで見抜いて、私を全ての通訳人に選んでくださった取調官の偶然の産物に感謝するしかありません。

私がRoamreseachやLogseaqで経験したつながる経験は、今回述べたような体験の再現として、既視感を持って迎えられたこと、あの時の高揚感と共にその当時を思い出せたことがますます「脳内データベース化」という意識に繋がっていくのだろうと思います。

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