見出し画像

[毎週2000字ルーティン] 自然言語からプロンプト・エンジニアリングへ〜元翻訳屋のジョブチェンジへの道のり〜

はなしのまくら

だんだん秋が近づいてきたと朝走っていると感じるようになりました。空がどんどん遠くなってきます。ついこの間まで溢れるほど置いてあった無人野菜売り場が閑散として、お盆休み明けのサッカー部が練習していたり、涼しい木陰で朝おじさまが読書していたり。どれも夏が終わっていくことを感じさせます。

自然言語屋さんだった頃のわたくし

携帯電話黎明期からのガジェットおたくだったのですが、学生時代からコマンドで入れるコンピューターを訳もわからず触っていたりしたこともあったのですが、所詮「道具」としてしか扱っていませんでした。2000年に入った頃でしょうか(当時はフリーランスで通訳翻訳業を営んでいました)、機械翻訳の記事が新聞の一面を飾った日のことを忘れません。「私の今している仕事は機械に取って代わられる、斜陽産業なのだ(しかもマイナー言語だし)、あと何年やっていられるだろう」と腹を括りました。

その後、株式会社にしてえっちらおっちらと経営しはじめた頃にやってきた「ゆうちゃん」という紳士の話をしたいと思います。「ゆうちゃん」はハンサムで長身のロマンスグレーのスーツ姿で「タイ語が勉強したい」といらした生徒さんでした。素敵なスーツに身を包んでいらして物腰も言葉遣いも素晴らしい。その方はなんとユニコードの開発をはじめとした機械言語や自然言語を大企業で専門家としてやってらっしゃったプロフェッショナルジェントルマン。そんな方が私のレッスンに通ってきてくださるようになり、テキスト作りなどが円滑に行くためのプログラミングをたくさん作って提供してくださるようになりました。

自分で作字したり、それをどのアプリケーションでも出せるようにとか試行錯誤していたことお話ししたのがきっかけだったのかもしれませんが、私のやりたかったアイディアが「ゆうちゃん」のプログラミング技術で現実になっていくのは本当に楽しかったです。

「斜陽産業」の世界にいると思っていた自分が「プログラミング」の世界を知ることで「自然言語」と「機械翻訳」の架け橋的なことを私が扱っている言語の世界でやりたいなと思いはじめました。

その経験から、音声入力の世界やスキャニングとある大きなプロジェクトでもプログラミングを使う企画に参加したりしました。辞書のプロジェクトでは入力した言語が自動変換入力されるようなプログラミングを企画しました。プログラム自体はうまく作成できましたが、マンパワーの不足、理解者の少なさで心身が不調になってこのプロジェクトは最後まで参加することができませんでした。


グーグルさんには敵わない

先ほどのプロジェクトをはじめようとした頃はまだAI翻訳がまだまだでしたので、ありとあらゆる文法形式とそれに対応できる単語を適切に置いていく、というプログラムを膨大なデータベースの中でやっていたのですが、そんな中、Googleさんの自動翻訳機能が出てきました。誰かが機能を使えば使うほど、ウェブにある似たような文章を引っ張ってきて参照して学習していくGoogleさん。辞書というのは編纂時を起点にしてどんどんと古くなっていきますが、Googleさんは古くならない。むしろその使い方が正しくても間違っていてもどんどんアップデートしていってしまう。

膨大ななすべきデータ処理を前にして、白旗を上げて完全降伏でした。
もちろん、人間が編纂した辞書にはGoogleさんたちの辞書とはまた違った意味と価値があります。紙の辞書をこよなく愛した自分だからこそ心からそう思います。マイナー言語を学び、生活の糧とする自分にとって、多くのことを学ばせてもらい、励まされた感謝の気持ちがベースとなって動き出したこのプロジェクトはクリアする問題の多さに頓挫してしまいました。その理由の一つは、世界の流れがこちらにいく中で必要性を感じる人は本当に一握りだろう、そう判断しました。

そこから10年

ちょうどそのあたりでもう自分がこの業界に入った頃と完全に潮目が変わりはじめました。私があの衝撃的な新聞記事を見て15年以上経っていますから当然のことです。体の不調もあり、それ以降、こちらの仕事は開店休業状態になりました。改めてまた古い世界に入る気力や体力がもう残っていなかったんだと思います。

数年前、最新のIT技術を駆使した英語を使った様々なオンラインレッスンを提供してくださる学校を見つけて入学したことがきっかけで、プログラミングを学ぶようになりました。

「ゆうちゃん」の作ってくれたプログラミングなどを触らせてもらっていたり、自分でウェブを作成するだけの知識は持ち合わせていましたが、仕事をしながらの勉強はなかなか大変で何度も挫折しながら、それでも諦めずにやっていることで「IT」や「AI」の世界が少しずつ身近になってきはじめました。「道具」というよりはこれからの「未来」を読み解く鍵としてプログラミング言語を学ぶことは、自然言語を学ぶよりも大きな発見や思想を感じることができました。なぜならそれは「人間が意図的に作る世界」だからです。この世界は合理的で美しく、誰にでも門戸が開かれ、平等に「Hello, World」と声をかけられることからはじまる世界なのだと感じた時の感激は今でも胸に残っています。
もうGoogle翻訳もDeepLも通訳翻訳業界から足を洗った私には脅威ではなく良いお友達です。AIの加速度的な進化も驚きと関心を持って人間社会との将来を見つめています。

エネルギー療法、エネルギー医学との出会い

そんなふうにプログラミングの世界と再接近をした中で新たな出会いがあります。Twitterのフォロアーさんが「占星術」でも「占い」でもないのに自分の心身の問題をクリアにしながら、食生活や生活の改善までアドバイスされていてとってもスッキリしている様子をツイートされていました。他の方は、ヘッドホンをつけてスキャンしてもらうことで、エネルギーバランスが悪いところがわかり、それを調整すると体調が良くなる、原因らしいことも教えてくれるという話も聞き、色々と調べてみました。


エネルギー療法は電気療法、磁気療法、手当て療法、遠隔ヒーリングなど、エネルギーを用いた補完・代替医療の一分野である。エネルギー医学、エネルギー医療とも呼ぶ。 扱われる「エネルギー」は、科学的に存在が証明されるもの、非科学的なもの、伝統的概念がある。
Wikipedia

国内では認知度が最近上がってきていますが、医療行為とは認定されていませんが、海外ではオリンピック選手の調整や宇宙飛行士のケアなどに使われている機械もあります。物質的な領域だけでなく、エネルギーの流れや周波数を分析、問題に対して統合的にアプローチする療法です。一度体験して、「なにこれすごい!」となり、2回目で「これを扱える人になりたい!」と思いました。
自分で質問できるタイプのシステムを使っているときに、「陽子さんはものすごく意図を理解するのが早い」といっていただきました。(これは数値で出ます)で、質問も言葉を厳選して適切な言葉を選んで入力してもらっています。
これはまさにプロンプト・エンジニアリングと方向性を同じくするもので、実はこれにわたくしの通訳時代の技術が役立つという気づきがありました。

全く違うバックグラウンドな相手とに「どれだけ誤謬少なく伝えるか」ということに焦点を当て続けます。
あちらの意図を汲み取りやすいのは「質問の意図」を知っているからであり、その言葉がいくら言葉足らずで説明不足にかんじても、さまざまな言語水準の人を相手に通訳をしてきた自分にはそれほど難しいことではありません。質問とは全く違う答えに見えても必ずそれが答えだという解釈に辿り着けるのは、「テーマに則っている」からです。

この一連の体験のおかげで、プログラミングを媒介として自分の次のキャリアと考えているエネルギー療法も元々の仕事である自然言語の通訳翻訳業も一つの大きな流れとなって今自分の中に脈々と流れはじめています。

エネルギー療法を学んでいると、神智学といった精神や魂のこと、生まれた瞬間のデータを解析する占星術もその基盤となっていることがわかり、人生で問い続けてきたことにようやく真剣に向き合う時が来たのかという感慨もあります。

AIに意図を伝えやすい表現、物質ではない領域への問いかけ、投げかけられてくる言葉の分析に共通点があるというのは奇遇なのかまた必然なのか、いまはこの世界を深く学び、実践していきたいという気持ちでいます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?