ゲームの自由度

全力で推したいゲームと言われると、真っ先に好きなゲームを思い浮かべると思います。ですが長いことニッチなジャンルを愛していると、ここで急ブレーキがかかります。

人に好きなものを勧めても、酷評された過去がフラッシュバックします。好みに合わなかったのは仕方がないことです。それよりも、せっかく勧めて貰ったのにあまり好きになれなかったと申し訳なさそうに謝る友人に心を痛めるのです。

そのため、今回は勧めたいというよりも、僕が大好きなゲームについて語ります。

それはズバリ、「風来のシレン」です!

有名なゲームじゃねーか!と思う人もいると思いますが、このローグライクというジャンル、物凄く人を選びます。

ただハマったら最後、無限に時間を吸われる恐怖のゲームです。そういった意味でも、あまり人に勧めたくありません。

このゲームは95年に発売されたスーパーファミコンのゲームです。あの時代によくもまあこんなゲームが作れたものだと本当に驚愕します。なんと言っても、当時18歳の僕がps3や3DSのゲームを差し置いて没頭したのです。

どんなゲームかと聞かれると説明が難しいのですが、簡単に言うと「ミニゲーム感覚のRPG」です!

ドラクエなどのRPGを想像すると、それは少し違います。なんせ、ストーリーはほとんどありません。ドラクエになぞらえていうなら、ダンジョンに潜り、ひたすら進んでいくというゲームです。

もちろん普通のダンジョンじゃありません。マップ・アイテム・敵が、ほぼランダムに生成されます。入るたびに形の違うマップで、拾ったアイテムを駆使して最深部を目指すことがこのゲームの目的となっています。

僕はどうしてこのゲームにここまで惚れ込んだのか。それはこのゲームの自由度にあります。

もちろん、広いマップを自由に行き来出来たり、どんな人でも殺せるというような、洋ゲー的な自由度はありません。SFCのシンプルなゲームです。ただシンプルだからこそ自由なのです!

ほんの一例ですが、このゲームには身代わりの杖というアイテムが出てきます。魔法弾に当たった相手が、主人公の身代わりとなり、数ターン他の敵の標的となります。かなり強い杖なのですが、これがラスボスにも効果があるのです。

最近のRPGでは、ボスに状態異常が効かなかったり、場所によって使えないアイテムがあったり、色々と例外が多いのが最早常識ですが、このゲームには全くありません。なんなら、ボスの部屋でとある巻物を読むと、何もせずに倒せます。

そんな簡単なのが良いのかと思われるかもしれませんが、そうではないのです。つまり、このゲームには「決められた法則を例外なく利用できる自由」があるのです!

これは、ゲームをする上で工夫する余地にも影響します。どこでも例外なく同じ挙動をするため、店から泥棒したり、敵からアイテムを稼いだりできます。

僕は、これを一種の自由だと思うのです。自由と聞くと、何にも拘束されない、なんでもできることを想像します。ですが、それはほとんどどんな状況でもあり得ません。必ず何かしらの制限はあります。それなら、使えるものを例外なく活用できることこそが、現実的な自由なのではないかと思います。

馬鹿みたいですが、僕はこの風来のシレンというゲームをやりながら、本当に人生について考えさせられました。僕たちは肉体の許す範囲で、なおかつ法律に触れなければ、どんなことでもできるのです。

また、これらの制限を逆手に取り、得をするように動く工夫もできます。僕は主人公のシレンと同じです。問題があっても、不幸なことがあっても、与えられたアイテムで、その都度柔軟に対処するのです。運の要素も沢山あります。理不尽な死に方をして、また一からやり直しということも何回もあります。ですが、その冒険で培った経験を活かし、失敗から学び、ひたすらゴールを目指し続けるのです。

僕はこのゲームから沢山のことを学びました。シレンは僕と共に成長し、共に達成感を味わったのです。最近、このゲームを親友に勧めたところ、3日で飽きていました。それもまた人生です。

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