何て言ってくれるかな


ピンクを着れなくなったのはあなたのせいじゃない

自然に笑えなくなったのはあなたのせいじゃない

大きな音で体がこわばるのはあなたのせいじゃない

あなたがコロサレタのはあなたのせいじゃない


生まれ落ちたその日からただ居るだけで尊重される自然の権利をもっていた

国より憲法より道徳よりも前に生まれた自然の権利

あなたもあの子もあの人も、人も自然も動物も、みんなみんな

息切れするまでがんばることだけが自分の価値だと呪いにかかったあなたは息ができなくなるまでがんばって

着たくない服を着て行きたくない場所へ入る時
なにを感じていただろう


16才のあの日死んだ

肉体は生きていても

泣くことも怒ることも感じることも忘れて

あなたのままでいてはいけないとされたあなたは死んだも同然だった


わたしは大切な人の喪失を経験していた

それはあなただった


あなたは周りが言うような人ではなかった

心の中では人には言えない感情を持っていた

下手な詩も書いた

悲しい嘘もいっぱいついた

そんなあなたがわたしにはとくべつだった


あなたの中を流れた時間がわたしの中にも流れていて

あなたの耐えた時間はなかったことになんてならない


態度がえらそうな先生の授業がストレスだったから途中でやめたよ

払った授業料は戻ってこないけど、お金より単位よりあなたがもうこれ以上死なないことが大事だった

心のない人のそばにあなたを置きたくなかった

何て言ってくれるかな

あなたが死んでゆく姿をもう見たくないから逃げたんだと言ったら

何て言ってくれるかな

親より評価より優柔であるよりあなたが息をしやすいことがわたしには価値があるよと言ったら

何て言ってくれるかな



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