知らすな

漫画は少し前から紙よりも電子で読む機会の方が増えてたんだけど、最近は文字の本も電子で読むようになってきた。

まず、赤ちゃん様が産まれてから片手と脳だけが空いている時間、というのがそこそこある。普通の本だと読めないけどスマホでなら本を読める!ということに気づいた。

それでKindle Unlimitedに入ったら意外とたくさん気になってた本とかもあったし、あと、自分の住んでる市にも電子図書館があり、本物の図書館に比べたらだいぶ少ないけどかなりいろんな蔵書があり、Kindleに比べたら動作も悪いけどそこまでストレスなく読めるということにも気づいた。

人生は気付きの連続だねえ。ということでどんどん本を読みまくっている。

こういう哲学者に現代人の悩みを聞く的な本が好きなので、見かけたらとりあえずパラパラ読むことが多い。

この本はNHKでやっていた番組を文字起こししたもの?なのかな、多分。それで一番最初のお悩みは「人を好きになれない」それにコメンテーターのミュージシャンがまず「これは問題ですよ。一番問題だと思う。」と言う。

まで読んで読むのをやめてしまった。好きになれないという悩みがある=好きになりたい、だからいいかもしれないし、なにより読み進めればまた違った展開があったのかもしれないけど、やっぱり人を恋愛的に好きになれないことを欠陥のように言う人がいて、誰もそれを諌めない状態から始まったものを読み進めようとは思えなかった。

多様なセクシャリティのあり方を知らなければきっとわたしはそんな一文には何も引っかからずに読みすすめていたと思う。もしかしたらすごく面白い本だったかもしれない、そのあとのページにすごくタメになることが書いてあったかもしれない、それがわたしの人生を変えたかもしれない、でも、わたしがそこに辿り着くことはない。

今の世の中には、とくにインターネットには誰かが誰かに「知らせたいこと」で溢れてる。野菜をもっと美味しく食べる方法とか、簡単で綺麗に見える収納術とか、そういういいことばかりじゃない。差別、分断、虐殺、あげればキリがない。知らなければスルーできても、知ったら選ばなければいけない、例えばスターバックスに行き続けるかどうか、とか、格安通販サイトで服を買い続けるかどうか、とか。

社会問題について活動をする人たちに異様な敵意を燃やす人たち、あれは結局「知らすな」ということだと思う。知らなければ気軽に享受できていたものでも知ってしまえば、そうはいかないものがたくさんあるから。

お得に、便利に、楽しく生きたいよ、当たり前に。でも、知ることはやめたくないと思う。知った上で、お得を、便利を、楽しさをとってしまうことも全然ある。あるけど、この後ろめたさから逃げないでいたい。そして、それを免罪符にもしたくない。難しくて、苦しい。

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