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自作ボードゲーム「同色ゲームの世界」について

私はパズルの個人作家の1人です。そのパズルを用いたボードゲームを作りましたので、ご紹介したいと思います(作った経緯や背景とそのゲーム性や仕組み、その面白さについて述べてみたいと思います)。

ちなみに、パズルを用いたボードゲームとは、駒の勝ちパターンや完成パターンを探すプロセスにハプニング要素が盛り込まれ,指手のミスで完成が遅れたり負けが決まったりするパズル系ボードゲームのことを言います。プレイ感や収束までのロジックがパズルを解くときと似ています。

写真のゲームは、私が10年以上の歳月をかけて考案したもので、ストーリー性や運要素のない抽象的なボードゲームです。「パソコンやタブレットは難しい、と感じている人には盤や駒は魅力的なはず」「オセロや囲碁のようなゲームなら作れるのではないか」と思ったのが、作るきっかけでした。ゲーム構造を考え、ルールを設定し、試作版を作りました。そして、それを用いた「ゲームを通して論理的思考力を強化しよう」という会を開きました。子ども達は時間が経つのを忘れるくらい集中していました。完成できたときの喜びも大きかったようで、あちらこちらで私を呼ぶ声が聞こえました。インストしてみて、子ども達がゲームの規則性を見つけられ、仕組みを考えることができるようになったことが成果でした。最後に出た言葉は「え~っ、もう終わり」「もっとやりた~い」でした。「面白かった」と言ってくれた子がほとんどで、手応えを感じた私は、作るハードルも下がっていることもあって、実用化することを決めました

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商品化するのに時間がかかりましたが、リリースすることができました。マスと駒は色分けこそされていますが、形や大きさも同じなので、見た目はシンプルです。このシンプルさ故に1人用4種類、2人用6種類、3~4人用1種類、計11種類ものゲームを生むことができました。


駒はオセロぐらいの大きさで色付けされ、扁平な円盤状に形成されています。盤は両面が印刷されており、その盤面は表面が4×4正方形マスの正方形に、裏面が4×4六角形マスの菱形に形成され、それぞれ1対の同色マスが8組配置されています(上ヘッダー画像、下動画像参照)。そのため、駒を指したとき、指したマスの同色マスに、または同色マスの周囲に、次のような作用を生むことができました。駒を移動させた(配置した)とき、移動させた(配置した)マスと同色のマスに、または同色のマスの周囲に、駒がなければ、そこへ駒を配置する。駒があればその駒を取り除く、交換する、反転させる、除去する等のルールを設けることができたのです。


このルールのおかげで、駒の離散・集合、増殖・減少・消滅、交換、反転が起こり、ジレンマ、逆転劇、駆け引き、先読みの困難性が生まれたのです(先読みは、局面の変化が激しければ困難になる、少なけれ容易になる、1手先が読める程度の困難さが面白いのだが、ルールを調整することで、それを可能にしたのです)。


例えば、2人用ゲームにおいては、次の相手の一手により味方の駒が敵の駒と配置位置を交換され危険な配列パターンに陥ってしまったり、相手にとって危険なマスに自分の駒を配置して(ハメ手を打って)おいても相手はもう一方の対応(同色)マスに駒を配置し、交換してくれるかどうかはやってみなければ分からない。先読みができれば、その分だけ相手よりも優位に立てるのだが、局面が変化するので、また相手も同じようなことを考えているので、それも難しい。ハメ手を打つべきか守るべきか、思惑が絡んで高度な展開が生まれたのです。


1人用ゲームは、完成時のイメージを手がかりに、駒をマスに配置していったり、移動させていったりするのですが、色の異なる駒が同色のマスに配置された瞬間、それらのマスの駒の配置位置の交換が行われます。これらの駒の交換等により、局面が思わぬ方向へ展開されます。そのため、思い通りにいかない「歯がゆさ」やあと1歩のところで行き詰まってしまう「もどかしさ」が生まれたのです。

どのゲームも「対応(同色)マスの位置関係の把握と駒の位置関係の把握」が戦略の基礎になることは言うまでもありません。


もしマスに対応関係(相互作用)がなかったら、これほどの局面の変化や駆け引き、逆転劇、もどかしさ、ジレンマ、先読みの困難性は生まれなかったでしょう。


「このゲームの肝はボードの色配置だと思う、色数とその配置に数学的または理論的な根拠を示せ」と言われたことがあります。

盤面の形状は上下左右どの方向からもプレイできる形、すなわち正方形または菱形が良いことから、盤面のマス数は、整数の2乗のマス数、対応マスが複数組あることから偶数のマス数、2x2マスでは盤が小さすぎてプレイ不可、6x6マスでは色の識別が困難という制約を消去法で考えると、4x4の16マス(8色)が妥当であるという結論に至りました。この色数(マス数)は絶妙で色を識別するのに、あるいは駒を動かすのにちょうど良い数なのです。配色を数学的または理論的に説明することはできませんが、同色マスを非対称に、となり合わないように適当に離して配置だけはしてあります。そのため、プレイヤーは、マンネリズムに陥ることなくプレイできることは確かです。

「やっぱり、そうきましたか」「こっちに置く方がいいんじゃないの」「勝ったと思ったんだけどなぁ」「交換になるけど、それでいいの?」「うわぁそこに置かれたか」など、駒の配置のアルゴリズムが心地いいようです。


「対応マス」という概念は、私が学習塾を経営していた頃出版した「面白いほど覚えられる英単語ゲームブック」の盤面に書かれた「英単語の綴り」と「その意味」から生まれたものです。

このゲームブックは、子供たちに前ページで「英単語の綴り」と「その意味」を覚えてもらい、次ページの盤面でそれらを記憶強化してもらいたいと思って作ったのですが、対面でプレイできない、文字を認識しにくい(対応させにくい)、ゲームとしての華やかさがない等の欠点があり、ドリル書であるとはいえ失敗作でした。そこで、これを何とか挽回したい、と思って作ったのがボードゲーム「同色ゲームの世界」という訳です。 ゲームは、文字ではなく色を用いたことで、上下左右どの方向からもプレイできるだけでなく、シンプルかつカラフルなものになりました(パステル調の配色になんとも言えないゆるさを感じられると思いませんか)。


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このゲームは、プレイ時間が1人用が20分、2人用が3分、3~4人用が10分と比較的短かく、ルールも単純明快で非常に分かりやすいので、小学生(8歳以上)から高齢者まで楽しめます。


ゲームは全部で11種類あります。どのゲームにも「①駒をとなりのマスへ移動させる(任意のマスへ配置する)②駒を移動させた(配置した)とき、移動させた(配置した)マスと同色のマスに、または同色のマスの周囲に、駒がなければそこへ駒を配置する。駒があればその駒を取り除く、交換する、反転させる、除去するのいずれかをする」という①,②のターンがあります。プレイヤーは,この2回の駒の操作をターンごとに行うことで、ゲームを収束させることができます。「面白そうだ、やってみたい」と思われる方は、この基本ターンを覚えておかれると良いと思います。個々のゲームの目的、具体的な操作については、別の機会に述べたいと思います。

収録ゲーム ‥ ツー・バイ・ツー (1人用 )、ペントミノ (1人用 )、白赤入れ替えパズル (1人用 )、スリーエル (1人用 )、サイドステップ (2人用 )、2段目の戦い (2人用 )、デッドロック (2人用 )、反転8連結ゲーム (2人用 )、反転四目並べ (2人用 )、コネクション (2人用 )、サバイバルゲーム (3~4人用 )


面白さ」については、いろいろ述べましたが、それらをまとめると、本ゲームは「対応マス」というゲームたらしめる根本があり、その根本により「駒の配列パターンの変化」や「先読みの困難さ」「もどかしさ」または「駆け引き」「逆転劇」などの面白さを生むことができました。


「対応マス」を意識しながら、駒を進めるゲームはいかがでしたか。

このゲームを体験してみたい方、購入をお考えの方は 通販サイトBOOTH をご覧くださいませ。 

製品版購入価格1980円(消費税込み)。



最後までご覧いただきましてありがとうございました。真摯なアドバイスをいただきましたら、ありがたいです。        

                        ゲーム考案者 米澤 章夫


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