ルールの大切さ:組織改革論④
筆者は経営コンサルタントではありますが、日本のジャーナリズムの草分けとなるメディアでの仕事、個人的な執筆活動を行っています。自民党総裁選挙で以下のような記事を書きました。
<連載>
裏金問題について各候補の政策を分析しましたが、あまりに正面から問題に向き合った方は多くありませんでした。「自民党は生まれ変わる」と主張した方(高校の1つ上の先輩)の政治改革案を前に、個人的には残念な気持ちになりました。
議員票重視なので、内容が甘いものになるのは仕方ありません。組織として不祥事に対して、誠実に対応することは非常に重要なはずです。自民党という組織をもとに、不祥事への対応を考えたいと思います。
「政治とカネ」問題へのけじめ?
問題は
・自民党の5つの派閥は2021年までの4年間にあわせておよそ4000万円分の政治資金パーティーの収入を政治資金収支報告書に適切に記載してなかった
・所属する議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分の収入を、議員側にキックバックし、派閥の収支報告書にパーティーの収入や議員側への支出として記載していなかった
ことです。
裏金は法律違反です。派閥の偉い人たち、議員、ルールを守らなかったのです。不記載、お金の申告、などなど問題がおきました。
政党が「政策活動費」などとして政治家に支出し、その使い道を明らかにしなくてもいいお金が20年間で456億円もあったのです。
政党から支出され、幹事長として配分したのでしょう。
そもそも政党助成金が導入したのに企業献金は廃止されないということで約束を守っていないという点で、道義的にもかなり問題があります。
今回の問題の本質
今回の裏金事件、統一教会の本質は、自民党政治の存在基盤にも関係があります。一部の利益集団が政治へのアクセス権や影響力をカネや選挙で応援する対価と引き換えに得て、色々と影響を及ぼしていたということです。
①ある団体はお金を献金or選挙で応援する
②ある団体は献金を踏まえてアクセス権を得る
③ある団体はあるお願いをする
④政治家は団体のいうことを聞いて動く
こうした政治家と利益集団の持ちつ持たれつの関係性こそ問題の本質であるのです。内部のお金のやり取りの原資は党にあつまる企業・団体献金です。ですから企業・団体献金の廃止に踏み込み、新しい政党像を打ち出さないと自民党は再生できないはずなのです。
そもそも政治家さんたちは過去、政党助成金との引き換えに行った企業・団体献金の廃止の約束があったはずです。反故にされてきたこの約束の実現はいつなのでしょうか。政治家さんがたびたび口にする「政治責任」は問われないでしょうか。その意味で、道義的な問題はますます帯びるわけです。
落としどころ?
政治規制法の改正で、政治資金パーティ券の購入者公開基準を、現在の「5万円超」まで引き下げ、政策活動費については、支出の項目別金額と「年月」を報告させることになりました。また、上限額を決めた上で10年後に使途を領収書等により公開するとし、第三者機関のチェックを義務付けということになったのです。
しかし、10年後っていつだよ(笑)、5万円以下の人は公開しない理由は?
など疑問ばかりの妥協となって国民からの評価はとても低かったです。
政治倫理審査会にて説明もしない人たちもたくさんいました。政策活動費廃止、裏金事件の実態解明に向けた再調査、企業団体献金廃止などが競われていません。できれば、
・裏金議員には自民党の公認をしない
・政党助成金を交付しない
くらいはしないと国民は納得しないのではないでしょうか。
組織メンバーと対話しかない?
総裁選で勝った石破さんはこう言いました。
「政治家は勇気と真心をもって真実を語る」
「ルールを守り国民に信頼される政治。日本を守り、国民を守り、地方を守り、そして未来を守る。そのために全身全霊で臨んでいく」
「あらゆる人が安心安全で幸せに暮らす国」
「もっと国民を信用し、国民の胸に飛び込んでいくべき」
石破さんは著書で以下のように書いています。
対話することを重視する。その意味で、自民党は九死に一生を得たのかもしれません。そもそも自民党から離党したことのある外部の人間でもあります。
他人からの信頼・信用を得るには、いかに誠実に向き合い対話し、いかに他人が納得するか、が問われます。この人(筆者の元上司)がどのように「けじめ」を提案し、実行し、組織の規律を守れるか。組織においては、ルールがとても大事であり、ルールがしっかり運用されることがいかに大事かということを改めて感じました。そこは今後、しっかり見ていきましょう。
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