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全社的経営課題「いい人リーダーの放任マネジメント」~【解説】人的資本可視化指針(第19回)

いい人、情に厚い人、仁義に厚い人、モチベーター、そんな社長がいると仮定しましょう。ボトムアップでの話し合いを重視し、優秀な社員に任せているトップの経営は「守り」を得意としていて、「攻撃」と言える新事業開発はあまり得意でなく、たまに奇襲的な試みで成功するとしましょう。

マネジメントのベースは、年功序列、得意な分野中心、新規事業は部下任せ。しかし、人間性には優れていて、情に厚く、人間的にできていて、真面目、律儀、誠実、気配りの人。

人間力トップによる組織の「経営課題」

こういうトップがいた場合、どういったことがおきるのでしょうか。部下にとっては、部課長にとっては素晴らしいトップが率いた組織があるとします。しかし、ミッションや大きな戦略が示されないので、行き当たりばったりの経営になったり、部下任せて放任したままで、具体策は提示できません。人間性が優れているので皆が一定の尊敬をしていて、人柄がよく、組織は働きやすいムードがあるものの、一向に新規事業が進まないという感じでしょう。
部下からは「個人で立ち位置や狙いの話をするが、それがチーム全体で共有されていない」「具体的にどう戦っていくかを、ふんわりとしたものでなく」と不平もでてくるでしょう。特に、指示待ち社員からは「何をしたいのかわからない」という評価を得てしまいます。

いい人リーダーの放任マネジメントの限界

いい人リーダーの放任マネジメントの被害者は、タレント社員を活かしきれないことです。部長や課長は自由にやらせてもらえて楽しいし、裁量のなかであれこれやれてモチベーションがあがっていいかもしれませんが、若い社員は疑問を持ってしまいます。

社長は無能なのではないか?

「無能かもしれない」トップのもとで、社員はやるしかないわけです。社長に「なぜ?」を問うても、まっとうな答えは出てきません。論理的な回答がでてこず、社長に対して不信感しか残りません。

明確なビジョンはあっても具体策にまで落とし込む、約束事は明確にする、それが出来なければ周りに頼む・・・それができないトップはまさに経営課題といっていいでしょう。若い社員はやめてしまいます。違う会社に移りたくなります。実際、人間力が高いので部長レベルは「いい神輿」と思っているので、体制が長続きしやすいものです。最近の「どうする?家康」ではないですが、頼りない若いトップを有能な三河武士が支える構造といってもいいかもしれません。

経営課題がもたらすボトムアップ依存による混乱

年功序列重視、平等な機会均等、それはそれで素晴らしいところです。しかし、ボトムアップ型も度がすぎると「トップの方針が見えない」「放任」とみなされて、混乱してしまうでしょう。
このために、人事部門、CHRO、HRBPの役割は明確です。

①自分たちで考え、動かす主導権を移譲。メンバー選考も自主的にボトムアップ理論で任せてしまう・
②制度化・仕組化
③人事の仕組みを改める。機能する組みたて。

情の篤い・人を尊敬し合える「組織」はそれは素晴らしいものです。しかし、情があるから、ルールや決め事がなあなあになる、ルールが守られない、不公平感が充満・・・・となりかねません。

いい人リーダーの場合、補佐役やマネジメント体制を真剣に考える必要がありそうです。

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