人事が悩むべきこと~【解説】人的資本可視化指針(第5回)
前回で、経営陣からの問い「人事は何をすべきか?」を提示しましたが、たんなる人的資本情報の可視化で終わってはいけないのが、人事の求められる役割です。
リクルート「人的資本経営と人材マネジメントに関する人事担当者調査(2021)」で面白い結果が明らかになりました。
「人的資本経営を実践していく上での課題」として
・従業員のスキル・能力の情報把握とデータ化
・従業員の学び直し・スキルのアップデートへの投資
が上位に挙がっていたのです。従業員のスキル・能力の情報把握とデータ化は54%、従業員の学び直し・スキルのアップデートへの投資は39%と多くの人事部門が「人的資本」について悩まれていることがわかります。
人事戦略を整えることに悩むべき
たしかに、従業員のスキル・能力の情報把握とデータ化や従業員の学び直し・スキルのアップデートへの投資については課題認識を感じるのはわかります。私が人事担当でしたらそう思うところです。
そもそもデータがない
投資をどうしたほうがいいのかわからない
急に対応しないといけないという思いに駆られるでしょう。
しかし、私はこのアンケート調査に衝撃を受けました。まさに、これは企業の人事部門の視点、意識であることです。この問題意識でいいのでしょうか?
投資家の視点で「戦略経営」を考えないと
人的投資の可視化は何のために行うのでしょうか?一番大事なのは投資家に投資してもらうことです。その視点からみると、先ほど挙げた課題は「人事部門」特有の課題であり、本来期待されているレベル以前の話に困っている現状でしょう。しかし、スキル・能力の情報把握とデータ化、従業員の学び直し・スキルのアップデートへの投資の検討を従来の人事のやり方でやっていては、いつまでだっても投資家や経営者が求める「人的資本可視化」にたどり着けません。
大事なのは
・企業が創造的なサービスや事業を開発できるか
・そのための従業員の人材育成・成長プランがあるか、実行されているか、機能しているか
・組織人事、従業員の士気、モチベーション、成長意欲を促す人事システム
が大事なはずです。
データがそろっていても、知りたいことが書いていなければ失望します。知りたいことを考えてポイントを抑えることに注力すべきでしょう。
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