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『生物と無生物のあいだ』

『生物と無生物のあいだ』(福岡伸一)について紹介&感想

どんな本か
生物学者が、生命の定義とはなんなのかを改めて検討する本。DNAの複製機能やタンパク質の構造に秘められた機能など、生命の構造美をひしひしと感じさせられる。とはいえ、中身はゴリゴリの学術書というわけでは全くなく、専門的な解説の合間にその事柄に関する歴史的経緯や自身の研究体験などが展開されるため、生物学を知らない人でも比較的とっつきやすい。内容的にはやや専門的な部分まで踏み込んでいるため、ある程度生物学について知識があるとすんなり読める。本書のもう一つの魅力は、随筆的な描写の文章力の高さである。言葉選び、表現、構成がかなり秀逸で、本書を「学問の入門書」というくくり入れてしまうことにはいささか抵抗があるほどに文章が上手い。高校の生物の授業で細胞や免疫を学んで少し興味が出てきた学生にちょうどよいレベルと思われる。

言いたいこと
生物が生物たるゆえんは「自己複製能があること」と考えられてきたが、実はそれだけでは不十分で、「動的平衡」という特徴も重要な要素である。動的平衡とは絶えず構成要素を変えながら全体としては変わらない一つのシステムを維持している状態のことである。

一般的な新書とは違って小説的な要素が強いので要約とかはしません。



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