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詩/祈り

祈り

どこかに祈りがあって
またどこかに
その祈りよ届け、という祈りがあって

どこかに、祈ることのほかは
もう何も残されていない人がいて
またどこかに
その人を慰めたいのだ、と祈る人がいて

神はいない
だとしても神という言葉のもとに集う、
そうして二千年を祈り続けた人の想いは
それでも聞き届けられることがなかった
だとしても
その想いこそは、信じるに値する
ならば
届くはずだ

その人のありのままを
受け入れることから始まる
自分をいらない人間だと思うことは
どこかにいらない人間がいる
と思うのと同じだ

誰にも間違いはあるけれど
間違って生まれてきた人など
どこにもいない、
人間の膿に
素手で触れる

1997年5月

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