![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145972931/rectangle_large_type_2_f8495e6d7df0304c3b808fc7c353ccbc.png?width=1200)
詩/祈り
祈り
どこかに祈りがあって
またどこかに
その祈りよ届け、という祈りがあって
どこかに、祈ることのほかは
もう何も残されていない人がいて
またどこかに
その人を慰めたいのだ、と祈る人がいて
神はいない
だとしても神という言葉のもとに集う、
そうして二千年を祈り続けた人の想いは
それでも聞き届けられることがなかった
だとしても
その想いこそは、信じるに値する
ならば
届くはずだ
その人のありのままを
受け入れることから始まる
自分をいらない人間だと思うことは
どこかにいらない人間がいる
と思うのと同じだ
誰にも間違いはあるけれど
間違って生まれてきた人など
どこにもいない、
人間の膿に
素手で触れる
1997年5月
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?